銀でも、桂が無くとも詰むはずだと、響は三度目の読み直しを始める。
 後7三銀合から先同角成、後同玉、先1三竜、後5三銀合から先同竜、後同金、先6二飛成、後8四玉、先8六香、後8五銀はなく、しかし桂を渡したくないのだから後8五角と受けることになり、先同香、後9四玉、先9五銀、後同玉、先9六銀……まさか、という思いが全身を貫いた。
 後9四玉と引かれ、詰ます手が無い。銀二枚に大駒一枚ならば桂馬など幾らでも代わりが効くと思い込んでいた。ただそれだけで自らの首を斬られることとなった一手、五三手目5七歩同銀からの、あまりに痛い読み違いだ。