Neetel Inside 文芸新都
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「車ヲタクなの。車興味無い?」
「車ってどういう方向の?(車かあ、だいぶ興味あるけど、この人車好きだっけ?)」
「本格的に競技やるんだ」
「レースとか?」
「そこまで行くと金掛かるから、タイムアタックとかだね」
「ははあ、(タイムアタックとかw全然大したことないじゃんF1でもGTでも予選じゃん、車と車が競い合う感じ全然しないじゃん)おもしろそうですね」

 先輩の笑顔に見とれつつ、半分バカにしつつ、適当に相槌をうっていると

 「じゃあ、うちのぶ見にこない?」
 一瞬不気味に笑顔が3割増になった気がした。
 「えっ?ぶ?」
 「じどうしゃぶ」
 「まあ、良いから見に来てよ」
 「はあ、はい」
 
 先輩の笑顔に騙されてフラフラと付いていってしまった。連れていかれたのは、体育館の隅の薄暗いエリアだった。そこには2つのバケットシート並べてハンドルコントローラで対戦しあう、おっさんが二人いた。そしてその周りで笑顔を振りまく謎のイケメン。

とてもシュールだ。一瞬にやついた僕の背中を知ってか知らずか先輩が思いっきりドついて、一言

「一匹ゲットだZE!!」

えっ、いつから僕モンスター?しかもゲットってただ見に来ただけなのに・・・
おっさんが声に気づいて振り向きつ・・・振り向かずに視線は画面上に釘付けのままで
「ようこそぉ、よく来たね」
その言葉言う前に、ゲーム止めれば良いのにと思いつつ
「どうも。ちょっと興味が有って見に来ました」
すると、今度は反対側のおっさんがシフトレバーを叩きつつ
「山野に?」
・・・。「いえ、車に」
「ひどいなあ、私には興味ないんだ ハハハ」
キツイ、言葉のカウンターパンチ、キツイ 

       

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