Neetel Inside 文芸新都
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7.大火の原因

都築課長は青年を富阪警察署に連行した。
「貴様!なんだこれは!」
「見ての通りのシンナーですよ」
「だから何に使ったんだ、それにこのライターは?」
「シンナーやライターを持っていたって罪になんないでしょ?」
「バカ!ライターはともかくシンナーを所持して街中を歩いていたら
それだけで立派な犯罪だぞ」
そこへ陽二がやってきた。
「あのう・・・都築課長、報告なんですけど・・・」
「ちょっと待て!今こいつに・・・」
すると陽二は驚いた。
「お前!この間参宮橋のコンサートで篠田の下手な歌を最前列で応援していた・・・」
「ばれたか!」
「なんだと?」
「そう、確かに俺は篠田様の下僕の水野だ、「幸せの輪」では「Nothing Cash」と呼ばれてるがね」
「貴様!まさか・・」
「そうよ、これ以上文京区に俺たちを嗅ぎまわってくれては困るのよ」
「貴様というやつは…」
「お待ちください、こいつを殴るよりもっといい使い方があります」
「何?」
「こうしたほうがいいですよ・・・」

数時間後、ニュースでは一大速報が流れた。
「臨時ニュースを申し上げます。先ほどの本郷地区の大火ですが、先ほど犯人が捕らえられました。
犯人の名は西東京市に住む「Nothing Cash」こと水野恒和、49歳で
この男は清瀬市の文芸サークル「幸せの輪」の幹部で、自供によりますと
文京区が計画していた「幸せの輪」に対する強制捜査を逃れる目的で
文京区役所を焼き払ったと供述しております」

これを見た篠田は唖然とした。
「バカな・・・彼が供述するなどとは…」
もちろんこれは陽二の策で、水野には写真と名前と年齢を聞くだけで
後の供述云々は陽二がでっちあげたものだった。
そうすることで他から証言を引き出そうというのが目的だった。

ところが、これが意外な方向に向かった。
まず警視庁は直ちに清瀬市に強制捜査を開始した。
清瀬市長以下市議会議員は全員逮捕された。
しかし「幸せの輪」の本部はもぬけの殻だった。

       

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