Neetel Inside 文芸新都
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「貴様のその剣!」
 クレイモアが呻く。汗が頬を伝っていた。
「……シリウスさんの剣です。神王剣・シリウス。この剣で、僕はお前に勝つ!」
 構えた。蒼白の刀身が揺らめく。オリアーの闘気が吹き荒れる。
「シリウス、シリウスだと! てめぇ……!」
 クレイモアが大剣を構えた。目が血走っている。
「そうかよ、その剣かよ! 忌々しい!! すぐに潰してやらぁ!」
 クレイモアが駆けた。大剣を振り上げる。オリアーが神王剣を構えた。身体が熱い。心が熱い。
「隼潰しッ」
 下段。オリアーが飛んで避ける。さらに上段。オリアーの闘志が燃え盛った。神王剣。大剣の腹に添えた。それだけだ。それだけで大剣をいなす。
「なぁっ!?」
 クレイモアが声をあげた。まるで紙切れの如く、大剣がいなされたのだ。
「てめぇ……!」
 すぐに大剣を横に薙ぐ。オリアーが後方に飛んで避ける。間髪いれずに大剣を振り下ろす。オリアーが身体を開いて避ける。当たらない。クレイモアの攻撃が当たらない。神王剣の力によって、オリアーの身体能力は劇的に引き上げられていた。
 オリアーが闘気を神王剣に乗せる。蒼白の刀身が輝く。拳をグッと内側に巻き込んだ。
「空烈斬ッ」
 闘気の旋風。
「ちぃっ!」
 クレイモアが大剣で受けた。ズザザザ、と足が地を磨る。旋風で身体が押し込まれた。オリアーが駆ける。すでに闘気を刀身に乗せている。
「海破斬!」
 剣が横に流れた。オリアーの闘気が、津波の如くクレイモアを打ち付ける。クレイモアの身体が縛り付けられた。
「……ナメるな、ナメるなよ、ゴミ虫!」
 オリアーの神王剣。大上段に構える。かつて、キラーマシンを真っ二つに両断した闘気を宿した剣技。
「大地斬ッ!」
 振り下ろす。
「ナメるなぁッ」
 クレイモアが海破斬の闘気を打ち払った。大剣。地から天へ向けて振り上げる。刹那、金属音。火花。大地斬と衝突した。
「……さすがは四柱神、という事ですか」
「ゴミ虫が。この俺様をナメるなよ。本気を出してやらぁ……!」
 クレイモアがオリアーを剣ごと弾く。大剣の柄尻をオリアーに叩きつけた。それをオリアーが神王剣で受け止める。その時、クレイモアが足を大きく開いた。グッと力を溜める。
「どあぁぁっ」
 クレイモアが雄叫びをあげた。その瞬間、全身が紅潮した。筋肉が膨れ上がっている。
「こっからだ。こっからが本気の勝負だぜ、シリウスの後継者ぁっ」
 大剣を構え、走り出す。速い。

       

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