Neetel Inside 文芸新都
表紙

ドラゴンクエストオリジナル
魔界(側近戦)

見開き   最大化      

 しばらく経たない内に、オリアー、セシル、エミリアもヒウロ達と合流した。この三人もメイジ同様、四柱神戦で苦戦をした様子だったが、全員が無事だった。
 ヒウロは四柱神戦、アレン戦の事をみんなに話し、神器を手に入れた事も明かした。仲間達はそれぞれの反応を示したが、ヒウロの落ち着きぶりを見て、とりあえずは全員が安堵したようだ。
 そして、話は次なる戦いの事に移る。すなわち、魔王ディスカルの側近の二人である。
「ダールとビエル、ですか」
 オリアーが言った。
「……私はダールと戦った事があるけど、あの強さは異常だったわ。現時点でも、勝てるかどうか」
 セシルが不安そうに言う。
「ダールもそうだが、ビエルの強さも底が見えない。ファルス王国を消し飛ばしたからな。ビッグバンと言ったか。あんな技、聞いた事すら無い」
「メイジさんの言う通りです。ファルス王国は魔法防壁が張られていました。あれごと吹き飛ばすなんて、私は未だに信じられません」
 そう言い、エミリアが俯く。
「……でも、行かなくちゃならない」
 ヒウロが言った。
「俺達は、魔族を倒すためにここまで来たんだ。確かにあの側近二人は、今までの敵とは比べ物にならないと思う。でも、俺達は進まなくちゃならないんだ」
 四人がヒウロの目を見る。
「行こう。自分達の力を信じるんだ」
 四人が頷いた。
 そして、ヒウロ達は歩き出した。オリアーを先頭に、少しずつ奥へと進んでいく。すでに他の魔族は委縮してしまったのか、戦闘は全く起こらなかった。そして。
「……この扉の向こうに、とてつもない邪気を感じます」
 先頭を歩くオリアーが言った。
「みんな、行けるね?」
 ヒウロが言う。それに対して、四人が頷いた。
「行きます」
 オリアーが、扉を開ける。闇。扉の向こうは闇一色だ。ヒウロ達が周囲を警戒しつつ、部屋の中に足を踏み入れた。
「ようこそ」
 声。五人が、すかさず陣形を組む。闇が、晴れて行く。
「勇者アレクの子孫、そしてその仲間達さん、お待ちしていましたよ」
 漆黒のローブ。赤い長髪。細く長い眉。黄色の瞳。
「自己紹介は不要だとは思いますが、一応、名乗っておきましょうか。私は魔王ディスカル様の側近の一人、ダールです」
「ヒャハハ。俺様は初めましてって言うべきかぁ?」
 金髪のツンツン頭。つり上がった細い目。そして、異様に痩せている身体。
「俺様はビエル。ダールと同じ、ディスカル様の側近の一人だ」
 ヒウロ達はすかさず、戦闘の構えを取った。
「おやおや。まぁ、そう焦らずとも良いではないですか」
「構わねぇよ、ダール。俺様はさっさとやりたくて仕方ねぇ。四柱神のゴミどもが先だっつぅから、俺様はストレス溜まってんだよぉ」
 ヒウロが二人の魔族をキッと睨みつけた。
「俺達は魔王ディスカルを倒さなくちゃならない。その邪魔立てをするなら、容赦しないぞ!」
「……容赦、しない?」
 ダールがニヤリと笑った。
「聞きましたか、ビエル。容赦しないそうですよ」
「ヒヒヒ。勇者アレクの子孫は、稀代の笑わせ師かよ。久々に面白いと思っちまったじゃねぇか、オイ」
 ビエルが構えた。殺気。
「それじゃ、どう容赦しねぇのか、教えて貰おうじゃねぇか!!」
 ビエルが飛び掛かってきた。ヒウロがアレンの剣を構える。

       

表紙
Tweet

Neetsha