Neetel Inside ニートノベル
表紙

「剣」を渡された七人
はじめること

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ザー・・・・・
雨が降っている
雨は嫌いだ、全てを洗い流すから
涙も、喜びも、悲しみも、血も

     †
夢は何だ?
「始める事」
     †

私には傷がある
見える傷、見えない傷
どちらもある
嫌になるほど痛い
けど逃げるわけはいけない
だって――――
「――――会う・・・・」
「起きろカス」
ゴスゥ
「ぐあぁぁぁぁぁぁあああああ!」
血がぁ!血がぁ!
アイツ本気でハンマーで殴りやがった!!
「あ、すまんな手が・・・」
「滑った無し!」
「取れ・・・」
「取れたも無し」
「取れ・・・てハンマー持って勝手に殴ったんだ」
「いってぇ・・・・」
俺の姉はやりたい事をやる素直で(悪い意味でも)自分の思いを突き通す人だ
だが俺には容赦がない、今日はハンマーだったがたまに銃で俺の頭を撃ってくるのだ
ありえない、本気で酷い姉だが武勇伝は多い、芸人の何とかラジオのネタ以上に
「はっはっは!まぁ良いじゃないか≪高速治癒≫があるんだから」
「スキルに頼るつもりはない・・・まぁいつも殺ってくれて助かってるけど」
俺は頭の傷を触った
血は固まり、傷は塞がっていた
「しっかしすごいねぇアンタのスキルは」
「まぁな・・・・けど不自由だよ、寝るのに二人はいなきゃいけないのは」
「まぁ感謝しな!」
今の俺達の話を聞いたとおり俺の傷はすぐ塞がり、俺は死なない
ハンマーも刀も銃も爆弾だろうが戦車でも何でも持って来いだ
俺はそう人間では・・・・・・ない



なわけねーじゃん
俺は人間だが他と違うのは「スキル」と言うのを持っている
全人類の500万人の中の一人が持っていると言われる
デメリットとメリットを持っている
メリットは人智を超え
デメリットは死にいたる
最強の能力で最悪の能力だ
これでかなり苦しんだしかなり役に立った
そして俺は500万人の中の一人
俺の能力は≪高速治癒≫
傷はすぐ塞がり、死なず、血は固まる
不死の能力だといってもいい
不死といっても完全なものは絶対ではない
デメリットは自殺することが出来ない
そして起きたときに死ななければいけない
起きたときのみ死ぬことが出来て、そして死ななければならない
自分が起きて自分の首にナイフを当てても死ねない
当てた部分だけが鉄のように固まるのだ
だから最低二人は必要だ
だから毎日姉に自分を殺してもらっている
もし起きて死ななかった場合俺は死ぬことになるだろう
だから殺してもらっている
そしてその姉も「スキル」を持っている
姉のスキルは≪絶対勝利≫
どんな事にも勝つことが出来る、単純で簡単な能力
そしてデメリットは・・・
「なぁ・・・・」
「ん?あぁ・・・」
俺は姉の唇に俺の唇を近づけて
キスをした
「/////」
「または赤くなって・・・姉さんいい加減馴れろ、恥ずかしい」
「こ、これが普通だろ!!」
姉のスキルのデメリットは
人を殺さなければいけない
一日一回キスをしなければいけない
「何故キスなのか?」と言う疑問を一日悩んだことがあるくらい疑問に思っていることだ
そして姉は恋愛などの事は全くなくこのデメリットに困っている
今でも顔を赤くするくらいだからキスが相当恥ずかしいのだろう
毎日してるのにな・・・もしかしたら神様辺りが悪戯でこのデメリットをつけたのだろうか?
姉はこのデメリットを行わなかった時期があった
姉は死んではいないということは別のことだろう
姉はそれを教えてはくれなかった、聞くと笑って流されたが悲しそうな顔だった
俺達みたいな「スキル」持ちを「ハヴ」と言う
「ハヴ」達の団体も世の中にはあるそうだ
スキルのメリットを「神」
そしてデメリットを「罪」
そう呼ぶようになっている
何故なのかと言うのは分からないが俺達も呼んでいる
「あ~ぁ・・・この能力嫌だよ、無くならないかねぇ」
「俺もそう思うが今過去振り返るとあってよかったと思うよ」
「うっ・・・あ、あたしはそんな事ないよ!能力無しでも大丈夫だからな!」
「確かに・・・刀でヤクザさんの撃つ弾を弾く人だしな」
武勇伝は本気で多い方だ
「斎~飯にしようぜ」
「姉さんたまにはあんた作ってよ」
「嫌だ」
5時半に起こして飯作らせるのはやめて頂きたい
「斎~」
「はぁ・・・分かったよ」
俺の名前は干澄 斎(ひすみ いつき)高校一年
姉の名前は伊野 楽夜(いの らくよ)高校二年
俺達は高校に入りながらスキルハヴの団体「七月刀」に所属して夜にはそこに行っている
七月刀(ナナツキトウ)は通称「シチガツ」と呼ばれている
七月刀は街周辺などの「悪」を消す活動をしている
入っているメンバーは俺と姉、学園に二人、そして社会人と自宅警備員(ニート)だ
あと一人いるそうだがそれは俺もわからない
俺達の「悪」とは犯罪などのことだが、依頼として別のこともやったりしている
「い~つぅ~きぃ~」
「ガキか!大人しく待てよ!!」
俺は目玉焼きとソーセージを作り皿に乗せて姉に渡した
「サンキュ~」
「心にも思っていないことを言うな」
「少なくとも腹は君にお礼を言ってるよ?」
「腹だけだろ!!」
俺は姉と一緒に暮らしている
姉は義理だ、ある理由で一緒に暮らすことになったが何度死にたいと思ったか・・・
ちなみにある理由とは「スキル」に関係することだ
「ごちそうさまー!」
姉は元気良く立ち上がって部屋に戻って行った
俺は時々姉を尊敬し、姉を憎む
夢、希望、絶望、悲しみの全てを手に入れてそれを捨てた姉を憎み
時、空間、世界、理由をくれた義姉を俺は尊敬した
俺は何故生きているのかをくれて
俺に世界を見せてくれて
俺に場所を与えてくれて
俺に時間を与えてくれた
「はは・・・」
義姉を憎み、姉を尊敬する、か・・・・言っていて可笑しくなるな
食べ終わった俺は部屋に行き制服に着替えた
机の上にあるペンダントを胸のポケットに入れて部屋を出た
「行こう、斎」
「おう」
家の扉を開いた
何時も通りの世界だ
けど
これでいい
これこそが俺の欲しかった世界

本当にこれが欲しかったの?

「…っ!!」
何が世界だ
「やめろっ…!」
何が場所だ
「やめろっ…」
何が時間だ
「やめろ…」
何が…
「やめ」
「はい、パンあげる」
「てべぇききまみばんづっごんじゃり」
「食べろよ」
(いつも支えているよ・・・)
パチッ、と音を立てて脳裏に言葉がよみがえる
懐かしい言葉が、終わった言葉、忘れた言葉
だがこの言葉ここまでこれた
だから
まだ使わせてもらいます、姉さん

       

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Neetsha