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『第12話、決戦前夜』




悠木は皆にある提案を持ちかける…それはもう誰も死なないために、悠木ができる精一杯の死神に対するあがき。

「今日、皆一緒の部屋で寝ませんか?」
「え?」

その場にいた全員が驚いた…

「な、なんで私が南条くんと一緒に!!」

セナは顔を真っ赤にして、慌て始めた。

「いや、別に天川さんと寝る訳じゃないよ。死神はこの中にいる…だから、もう死神の思い通りには絶対にさせない!」

この作戦はもっと早めに決行すべきだった。
悠木は今更ながら後悔している、信夫さんの時は余りにも手掛かりが少なすぎて作戦を実行する事は出来なかった。だが、そんな自分のせいで智和さんまで殺されてしまった…もう、悠長な事は言ってられない…

[屋敷の大広間にて]

「みなさん、今日からこの部屋で寝泊まりしてください。そして、一人では絶対に出歩かないでください…」
「明日の死神祭りの時はどーするんだ?」
「今は言いません…死神がこの中にいるかもしれないんです。みすみす、作戦を明かす様な事はしませんよ」
「そーか、この中に死神が…」

目には解らないが、明らかに緊迫して状態。口には出さないが、誰もが他の人間を疑っている。
悠木は思った。
これで良い…誰が死神か解らない状況でのこの緊張感…これで死神もだいぶやり辛くなったはずだ。
もし、この状況で人を殺そうとした場合、必ず人に見つからないようにしなければならない…無理やりにでも行動してみろ、俺が絶対に見逃さない…

「とりあえず…早いですけど、今日はもう寝ませんか?俺はもう疲れちゃって…」

まず、悠木が一手仕掛ける…早いも何もまだ夜の9時。
これ以上、死神に準備をさせない…

「そーですね…私も疲れました」

君川も悠木に賛成。

「私はまだ、眠たくないわ」

タカコを反対。

「俺もまだ…」

早貴も反対。

「佳奈さんと千代さんは?」
「私は別に…いいですよ」
「私も」
「それじゃ、私達だけでも先に寝ましょう。布団は私達殺人事件研究クラブと千代さんが取りに行きますから、みなさんはそこにいて下さい」

悠木は大広間を出て、部員達と先生に指示をだす。

「これから、重要な事は全部メールで会話します。着信音とバイブはちゃんと切っておいてください」

悠木達は全員分の布団を用意して、大広間に敷き詰める。

「トイレとかに行く時は必ず誰かに言ってから、出て行って下さい」
「そこまで徹底するのかい?」

早貴は疑問に思った。

「犯人扱いされますけど、それでも良いですか?」
「それは…」
「それじゃぁ、今まで言った事をきちんと守ってくださいね!お休み」

悠木は布団に入った。
それを見て、篠原・セナ・先生・佳奈・千代・君川が布団に入る。

「…」
「…」

タカコと早貴はそれを見て嫌々布団に入り、電気を消した…
さっきまで騒がしかった大広間が急に静かになる…

だが、悠木達はまだ寝ない。必死にメールを打つが普段全然使わない機能のせいかかなりぎこちない…

――――――――――↓メール会話だと思ってくれ―――――――――――――

悠木:みんな起きてれ?
篠原:「起きてれ?」って悠木君普段メールを使わないんだね。完全に誤字脱字じゃん
セナ:かわいい
先生:起きてれ
篠原:先生がやったって全然かわいくないですよ
先生:…
悠木:そんな事はどーでも良いですけど…明日が勝負ですよ
セナ:どーいうこと?
先生:何か掴んだんだな
悠木:明日、恐らく死神がやってきます
篠原:それは誰かが死ぬってことかい?
セナ:誰が殺されちゃうの…
悠木:殺させやしないさ…明日絶対に俺が捕まえる
先生:って事は、犯人がわかったのか?
篠原:実は私も大体の見当はついているんだよ!
セナ:本当ですか!?
篠原:嘘…ごめん…
悠木:死神は恐らく、今日皆で寝る事も想定内だったんでしょう…
先生:そこまで考えていたのか。そりゃ、決定的な手掛かりが落ちていない訳だ…
セナ:それで犯人は?
悠木:犯人は……まだ、わからん…どーしても繋がらない所があってね…
篠原:それは?
悠木:アリバイです…二回とも早貴さんだけアリバイがない…後は全員アリバイがある…そのせいで、どんなにトリックが解っても崩せない
先生:確かにまるで早貴さんを犯人に仕立て上げる様な感じだな
悠木:それじゃ、報告はここまでにして。おやすみなさい
セナ:おやすみ~
篠原:おやすみ
先生:おやすみ

――――――――――↑メール会話だと思ってくれ―――――――――――――

悠木は携帯電話を閉じた。
こんなに人とメールをした事は生まれて来て一度もなかった…メル友か…
少し考えたがすぐに眠気が襲ってくる、今日は父親の出てくる悪い夢を見ても大丈夫そうだ…

[三日目の朝]

悠木は一番に目が覚めた。
早寝をしたせいか、いつもよりも一~二時間はやく起きてしまったそうだ。

「みんな寝てるのか…」

悠木はふと佳奈の寝顔に目が止まる。
佳奈さんって綺麗な顔しているよな…やっぱりこんな森に囲まれていてのびのびとした田舎で育ったからかな?学校にいた時はそんな感じはしなかったが…これがギャップって奴か?…

「南条くんどこ見てるの?」

ついつい、佳奈の寝顔を見るのに夢中になっていた。

「いや…別に…」
「今、佳奈さん見ていたでしょ!」
「あぁ…見てたよ」
「何で…」
「だって、綺麗な顔しているから」

そこまでハッキリ言われるとセナも嫉妬する気も起らない…

「佳奈さんは確かに綺麗だけど…私はどう?」

セナは恐る恐る聞いてみた…
悠木は少し考えて答えた。

「天川さんは……佳奈さん程美人じゃないな!」

悠木は悪気があって言っている訳ではない…
こういう性格なだけだ…

「……」
「どーした?」
「顔洗ってくる…」
「一人じゃあぶ―――――」
「バカ!!!!」
「へ!?」

そして、またこの二人も起きていた。

「篠原…青いな…」
「はい、先生!本当に青いですよ」

ここまでの疑問
・返り血
・血が付着していない円状の跡
・なくなった首
・落ちていた花びら
・カーテンのついていない窓
・犯行が起こった日
・アリバイ

       

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