Neetel Inside ニートノベル
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でもまてよ…
「歯…、ちょっとまて…。記憶はその記憶の持ち主にはアクセスできないんじゃないのか?」
そうだ確かそうだったはず
前の孟の事件でもそうだった
彼は俺にアクセスしようとして消えた

今回の道理も消えるのではないだろうか?

「彼は貴方の記憶『孟』を使って一度試しているわ
だからきっと消えない手段を習得しているはずよ」
俺の質問に対しての歯の回答は意外なものだった

なぜ俺の記憶と歯の記憶が接触しているんだ?
「なんでだよ、なんで俺の記憶の中の孟とお前の記憶の道理が接触してるんだよ?」

歯は俺を見つめたまま何も言わない

「なんか言ってくれよ…」
くそ…
「...それは...私が…孟のいとこだから」
「どういう意味だ?」
「わたしは記憶と人間の間に生まれたの…母が記憶で父が人間…」
え?
「あなただって千代里という記憶と愛し合っているじゃない?
それと同じことよ…。私の両親も記憶と人間が愛し合ってはいけないという禁則を犯したの」
俺と千代里の関係は…禁則事項…
記憶と人間は関係を深くしてはならない…
刹那―
『記憶…断絶ゥ…!!』
グシャッ
俺の顔に血がついた…
俺の目に映ったそれは…
歯舞という人間と記憶のハーフが
真っ二つになったものだった…
「…ったク。しゃべりすぎなんだヨ…」
「道理…!」
こいつ…!!自分の記憶の持ち主を切りやがった…
「さてト…さっさとコイツの記憶と一体化するカ…」
「まて…!」
そんなことさせてたまるか…!
「あぁン?」
「―おまえは…」
『…記憶断絶』
千代里!?
パシュゥゥゥ!!
道理の周りに無数の記憶の歪みができた
「この技は!?」
間違いない!道理の使ってきた技だ
「てめェ…俺の技をパクリやがったなァ?」
「…あなたの攻撃を見て学ばしてもらったわ」

カッ!!

一瞬まばゆい光が景色を覆った

「…!?」
「なにっ!?」
俺と千代里は驚いた…

「何だヨ?学習能力はあるみたいだガ…全然キレがないヨ?」
まったくの無傷…だと!?

「今度ハ…俺の番だよネ?」
「…くる!」

「記憶隔離!!」
スゥン!


…………
俺たちは真っ暗闇の中にいた
「ここは?どこだ?」
「…道理はわたしたちを隔離した」
「え?」
「…記憶隔離はこの世界から記憶を隔離する技…。まんまとやられたのよ」


その頃、現実

「ふゥ…邪魔者はいなくなったシ、さっさと済ますカ」
道理は崩れ落ちた舞の肉体に手をあてた
「記憶結合!」
歯舞というハーフの記憶すべてと道理が一体化していく
記憶の最凶悪禁則事項を道理が破った瞬間だった
彼はジョーカーへと変貌を遂げている

ガシッ

「…ッ!?」
道理は腕に違和感を感じた
道理の腕を歯舞がつかんでいるのだ
「貴様!?まだ生きていたのカ!?」
歯舞は苦しそうに言う
「あ…あんた…なんかに…私の記憶なんて…渡…さない!」
「あの攻撃を食らっテどうして生きていタ?」
「あん…たら…記憶は…傷ができるとすぐ再生するでしょ?
私はハーフだから…速度は遅い…けど…再生できる…のよ」
「畜生!まさかジョーカーになるためのこの作戦ガ最後の最後で失敗するなんてナ…」
「道理…さっさと終わらせましょう」
「何をする気ダ!?…まッまさカ!?」
「記憶…拒絶!」

「貴様ァ!拒絶だト!?」
歯舞が道理を取り込んでいる
逆に道理という記憶が歯舞というハーフと一体化している

「それはね…私が…
記憶と人間の副産物だから…」
「くそッくそッ!うぐゥぅぁああああああああああああああああアァ―!!」

シュゥ…

道理は消えた

そのことを知ったのは俺と千代里が記憶隔離から開放されてからだった

       

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