この日の授業も終わり俺たちは3人で帰っていた
「ねえ智と千代里さんって仲いいよね」
孟にそう言われて俺と千代里は立ち止った
「…そうかな?」「そう?」
俺たちは同じような感じで聞き返した
「ほら、息ぴったりだし」
「別に…」「…別に」
「ほら、また~。てか千代里さんって智の家に住んでるの?」
やばい…
「…住んでるよ。一緒に」
「えっ!?マジで住んでんの!?」
「なんでそんなに俺たちのこと聞くんだよ」
俺はちょっと強めに言った
「だってさ~智が千代里さんと一緒にいると―」
「いると…?」
「邪魔なんだよね」
「っ!?」
孟の目つきが変わった
この目は俺が千代里に初めて会ったときのあの威嚇したような目だった
「…智!こいつが追手だ!」
「えっ…孟が千代里を追ってきたやつなのか!?」
「…こいつは孟の姿をした智の記憶だ!」
《さあ千代里…帰ろう…》
こいつ!俺たちの脳に直接話しかけてきているのか!?
《所詮は記憶だからな…》
「…オマエ、誰に頼まれた?」
《さぁな!貴様に教える意味はない…》
「…智また目閉じてくれる?」
「『記憶断絶』をするの?」
「…あぁ」
俺は確認すると目を閉じた
「…はあああああああああっ!!」
静かに戦いの幕が開けた
目を閉じているのでよくはわからないが
まぶしい光と雷鳴のようなすごい音
「…智目開けて」
やっと終わったのだろうか…?
目を開けると
孟はいなかった
「倒したのか?」
「…いや、逃げた」
逃げたのかよ!?
「…だが必ずもう一度私たちに接触してくるはずだ」
「珍しく断言したな」
「…あいつは私をつれて帰ろうとしてた。それが使命だからな。使命を果たすまではしつこく襲ってくるだろう」
敵も簡単にはあきらめないってわけか
「…でも安心して。智は私が守るから」
女の子にこんなことを言われるなんて
情けない
守られるのではない
守らなきゃいけないんだ!
俺は誓った
--その日の夢--
「消えていく…俺の記憶が消えていく…!?」
「…落ち着いて!智の記憶は消えない!」
・・・・・
「…すぅっ」
「…起きろーっ!!」
「うあぁっ!?」
いきなり耳元で大声がしたので跳び起きた
「まったく…気分の悪い目覚め方だ…」
「…智がやれっていったんじゃん」
そういえばそうだった
「今何時?」
「…7時1分と13秒」
「まぁまぁな時間だな」
今日もいつも通りの朝だった
そして学校へと向かう
まさかまた孟に襲われるのでは?
だが孟とは出会わなかった
ホッとした
「うっ…」
突如激しい頭痛が頭を襲った
体の力が抜け
崩れ落ちる
「ち…より…」
必死に呼んだが千代里は気づいていない
…チヨリ?
誰だっけ?
「き…記憶が…き…えていく…!?」
きっと孟の姿をしたあいつが
自らを犠牲にし
俺の脳へアクセスしているのだろう…
アクセス?
そもそも俺って?
なにもかもが消えていく