Neetel Inside ニートノベル
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Super Warning
大人料金の子供

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僕は今の職業に満足している。

肩書きこそギャングと言うなんとも怖い感じのモノだが。

本当にしたいことが出来ている。

仲間からは少しずれているとバカにされたり、意見が合わなくて喧嘩になったりもするけど。。。

それでもいいんだ。


カノン・ロック
男/17歳/
職業/ギャング




-大人料金の子供編-




その日は久々に仕事が入った。
前の仕事から二ヶ月ぶりだ。
仕事がなくても生活に支障は特にない。
僕は親元を離れ一人暮らしをしているため生活費等が仕送りされてくる。
ちなみに親は僕が学校に通っていると思っているが、僕は15歳で中卒。
学歴はそこでとまっている。
二年間も親を騙し続けてるわけだから胸は痛むけど、
それでもやっぱりやりたい仕事が出来ているのはとても嬉しい。

ところでその仕事の内容だけど・・・なかなか大きいものだ。、
詳細は全く書いてない、その上無用心にポストに投函したみたいで、
今さっき封筒が家に届いた。
封をあけて中身を確認すると。

「西のギャングを壊滅させろ」

だけ。
ボスは信頼できるけどこういうアバウトなのはどうかと思う。
封筒の中をよく確認するともう一枚紙が入っていた。
その仕事の説明の集合場所、日時が書かれていた。
・・・。
僕は急いで支度をしてアジトへ向かった。

     

アジトに着くと見慣れない面々が並んでいた。

今回の仕事に抜擢されたメンバーだろう。
あいてる椅子に腰掛けると隣の人が話しかけてきた。
「俺はよくお前くらいの年のヤツと仕事を組むんだがなぁ・・・
そういう若いのと組むとなぁ、大抵そいつはここへは帰って来ない。」
その人は立ち上がり僕の肩を掴みながら続けていった。
「わかるか?死ぬんだよ!」
そう言い終えるとその人は僕に殴りかかってきた。
僕はそれを避けて後ろに回り込んだ。
周りにいる人たちはこちらを見ているだけで一切手出しも口出しもしない。
むしろあえて戦わせて僕らの力量を見定めているような・・・とか考えていた時。



「そいつは力の使いすぎで自分をダメにしちまったヤツだ。」



その声が聞こえた瞬間僕に殴りかかってきた男は壁まで吹っ飛びそのまま壁にはりつけ状態になった。
「相変わらずやっかいごとに巻き込まれやすいみたいだな、お前は。」
声のするほうを向くと、そこには僕の仲間がいた。
「ジュード!」
思わず叫んだのはとても久しぶりだったということと、そしてちゃんと再開できたということ。
彼はジュード・マクウェル。
僕が初めてこの職業に就いて仕事をした時に色々と助けてもらった。
「久しぶりだな、カノンもこの仕事に呼ばれたのか?」
「そうなんだ、でも・・・内容がアバウト過ぎて。」
二人で軽く笑った。
「まぁ、その内容も今から話してもらえるみたいだぜ」
ジュードが指差したのは入り口の扉。
そこから入ってきたのはボスだった。

その瞬間、場の空気が変わる。
流石ボスだ。
存在だけでここにいる全員を黙らせる。

そしてボスが口を開いた。



「おいっすー」



その瞬間、場の空気が緩んだ。

久々だったから忘れてたけど、そういえばこういうノリの人だったなぁ。
ジュードと顔をあわせて軽く笑った後、僕たちも席に着いた。
「ん?その壁に貼付けになってる彼はどうしたんだい?」
ジュードは「ヤベェ」というような表情を浮かべながらこっちを向いた。
ボスは壁に貼付けになっている男のところまで行くと。
「あー・・・こりゃダメだな。」
と言った後。
「力の使いすぎでダメになっちまってる。」
と瞬時に見極めた。
「まぁ彼はとりあえずほっておいて





楽しいお仕事の話しようか」

     

ボスは仕事の話を進めた。
どうやら僕の家に届いた封筒、その中身の内容通り。
仕事内容は至ってシンプルな「西のギャングを壊滅させろ」である。
しかし、なんとか全面戦争にはしたくない模様。
その理由が・・・。

「近頃、仕事から帰ってこない奴らが多くいるんだ。
俺はそいつらが組織を裏切って逃げたんじゃないかと踏んでいた。
だからそいつらを探すために捜索隊チームを組ませて裏切り者を見つけるように派遣した。
しかし、だ。
何故か、そいつら、捜索隊も俺のところに帰ってくる事はなかった。
とりあえずこの件を自分の中で保留にして過ごして五日後、つまり昨日のことだ。
捜索隊チームの中の一人と会った、それもここから最寄のカフェで。
そいつの話でわかったことだが、どうやら仕事から帰ってこなかったやつは全員。

西のギャングに殺されていたんだ。」

部屋にいる全員が驚く。
空気がざわつき始めているのがわかった。
僕はジュードと目を合わせて自分がビビっていることを口に出さずに伝えた。
その時一人の女が手をあげた。
「どうした?」
と、ボスが聞くと。
「私は一週間前と一昨日に仕事がありました、が・・・今こうしてここにいますが。」
「まぁまぁ、もうちょい聞いてくれ。
まだ続きがあってな。
そいつと推理した結果、殺された奴の共通点は、

俺から直々に仕事を受けたってこと。

そしてだ、ここからは俺の一人の推理だ。
恐らく、仕事に行って殺された奴らは全員一度アジトに帰って来ているんだ。
そしてアジトに帰ってきた瞬間に死んだ。」
部屋中がざわつく。
「その根拠だ、が。
カフェで会った捜索隊のやつがいるだろう?
そいつから詳しく話を聞くためにアジトへ帰ってきたんだ。
そしてそいつがアジトに一歩足を踏み入れた瞬間。

急に苦しみもがき始め・・・倒れた、脈をはかった。
死んでいた。
さらに、流石の俺もビビったのだが。
急に死体が消えた。
なんの痕跡も残さず。」

と、ボスが一通り話し終えた。
先程の女は納得した顔をしていた。

「まぁ、勘のいい奴はもう気付いてるだろうが・・・。
これをしたのは西のギャングの力を持つ者、『能力者』だ。」

全員が納得した表情を浮かべた。
僕も恐らくそうだろう、と途中から思った。
死体が急に消える。
こんなこと出来るのは、力を使える人しかいない。

「そしてさらに、だ、今日ここに集まってもらった奴は

全員力が使える奴だ。」



・・・流石ボス。
僕は力の使えない無能力者。
アバウトすぎる。

       

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