Neetel Inside ニートノベル
表紙

炎上作番デスマチセブン
あとがき

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// log 2012/06/23 (Fri) add neetsha husima start

 このお話は、ぼくが新卒入社した会社をやめ、就職活動をしながら空いている時間で作ったお話です。

○背景
 もともと創作活動をしたいという願望はありました。ただ、今回幸運にも挿絵を描いていただいたもゃん先生のようにカッコいい、かわいい絵が描けない自分にとって、「漫画を描く」という行為は、110メートルハードルに棒高跳び用のバーが設置されているような感覚で、このコースを完走するのはとてもできないだろう、無理だ、そう思いました。
 ですから、ゲームのファンサイトに併設されたお絵かき掲示板で知り合った方から「漫画描いてみたら?」と言われても、出来るわけがないじゃない、と当時始めたばかりのツイッターでお返事していました。
 ただその時紹介された新都社には興味がわきました。描けないけど、見る専門でも全く問題ない。そこそこおもしろい。無料。無職の暇つぶしにうってつけでした。でも決して「無職の暇つぶしにもならんサイトだ」「少し言い過ぎではありませんか」「そうか、俺が間違っていた。新都社は無職の暇つぶしにうってつけである!」という文意で書いたのではないよ!
 そんなそれほど褒められたものでもない穀潰しが今は懐かしき新都社旧デザインのサイドバーを眺めていると、「文藝新都」「ニートノベル」という二つの文字列が目に入りました。どうやら新都社は漫画だけでなく、小説も投稿できるようなのです。

 高校生の時、中学校と180度異なる雰囲気に馴染めなかったコミュニケーション不全の私は、日常会話ができるような友人が作れませんでした。
 部活動もしていなかった私にとって、ライトノベルと呼ばれる分野は衝撃的でした。それまで苦痛でしかなかった「文章を読む」という行為が、楽しいもの、面白いものへと変化したのです。これは私を読書に没頭させるのに十分な理由でした。
 高校生時代は、ただ文章をひたすら読んでいるという感じでした。自分でなにか書いてみようなんて、夢にも思いませんでした。
 大学生になったころ、一度なにか書いてみたいと思うことはありましたが、それはほとんど形になることはありませんでした。

 そんな私にとって、新都社はとても魅力的なもののように思えました。

○転機
 SIerとは名ばかりの奴隷売買IT会社に就職した私にも、転機が訪れました。会社を辞めることになったのです。
 会社をやめれば、時間ができる。時間が出来れば、資格の勉強をしよう。そうすれば、自身のステップアップにつながるはず。そんなことを思っていた時期が、ぼくにもありました。
 蓋を開けてみると、資格の勉強なんて一切していませんでした。そもそもぼくは、勉強がきらいでした。テスト勉強はほとんど一夜漬けで、大学受験は一般入試を回避して推薦という汚い手を使い、センター入試やらではしゃいでいる同級生をほくそ笑むクソっぷりです。そんなぼくが、自身の今後のために勉強なんてするわけがありません。するとしても、再就職時に行われるといわれる筆記試験の勉強くらいです。ちなみにその筆記試験は地力のないぼくには難しすぎ、当然のように落ちました。
 資格の勉強をしないぼくが当時就職活動以外にしていたのは、ゲームでした。メタルギアソリッドのPSP版やら、メタルマックスのDS版やらを日々減っていく口座の残高から購入しては遊んでいました。
 これはダメです。ぼくの中の位置づけだと、ゲームは日々のストレスから解放され、純粋に楽しむことのできる時間でなければなりません。いわばガベージコレクションです。
 ですが、このときはゲームをすることが目的になっていました。再就職のための面接でストレスは抱えていましたが、それは後付け理由です。ガベージコレクションはそれ自体が目的ではないのです。ぼくは、「遊びでやってんじゃねーんだよ」の人とは違うんです。

 当時はそんなこと考えてませんでしたが、これまでぼくは「創作活動をしたいという願望がある」という欲求について、「漫画を書くには画力がない」「そもそもそんな時間的余裕や体力がない」という理由によって井戸の底に封じ込めてきましたが、「職を失するということ」と「新都社には文字専用の創作の場があること」と「時間がくさるほどできてしまったこと」が、やらない理由を吹き飛ばしてお釣りを寄越してきました。これ以上やらない理由を探す必要もありませんので、やるしかない状況です。

○内容
 なにを書くかについては、それほど悩みませんでした。ぼくが経験してきたこと、経験してないけど聞いたこと、それを面白く書きたいと思いました。
 IT関係ののデスマーチ話はネット上のブログに転がっていることはありますが、読み物としてまとまったものはあまり見たことがありません。未開拓ジャンルのパイオニアになれることを当時意識してたかどうかはもう覚えていませんが、とにかくIT系の悲惨な用語をタイトルにした物語にしたいという思いがあり、交響詩篇エウレカセブンというアニメタイトルをパロって「炎上作番デスマチセブン」というタイトルにしました。正直「デスマチ」の部分はあんまり語呂が良くないかなあと思ったのですが、他に思いつかなかったんだから仕方ありません。
 タイトルが決まればそれに沿った感じでメイン盾・・・じゃないメインのストーリーを組み立ていきます。プロットを考えるとか今までやったことなかったので全て手探り状態でしたが、まあこんなもんやろと適当にやりました。作り方については参考にならないと思うので省略します。

 一番苦労したのは、自分の語彙の無さでした。環境とか人物の描写が残酷なほどにできません。それでも「会話劇」にならないよう、できるだけ人物がなにをしているかの描写を文章で表したと思っていますが、多分できてないと思います。このへんの「お固い文章が書けない」という理由から、掲載誌はニートノベルにしました。
 語彙がないから、面白い言い回しが出来ない。ただ、読んでいて疲れるような文章にはしたくないし、読み進めると面白い文章にしたい、という思いがありました。ですから後で読み返した時に大幅に削ったものもありますし、付け足したものもあります。
 そんなこんなで話を作っていくうちに、無事お話を終えることができました。幸いなことに、完結後挿絵をもゃん先生が描いてくれることになり、完結後も多くの方に目を通していただくことができました。絵の力は偉大です。
 もゃん先生にはかなり無理を聞いていただきましたので、ぼくのことをめんどくさいやつだなーと思ってるかもしれません!申し訳ないです。
 挿絵化についてはふたりでかなり検討を重ねました。はじめは出来上がってきた絵についてぼくが文句を言っているだけだったのですが、「希望あるなら最初に言ってよ!」と温厚なもゃん先生も切れましたので(ごもっともです)、ぼくがラフ絵を提示し、もゃん先生がそれを元に絵を起こす、という作業体制になりました。これによって食い違いがかなり減ったので、とても良かったと思います。他の協業してる作家さんたちは、どうしてるんでしょうか。

○今後
 今後ですが、幸か不幸か再就職できてしまったので、作るにしても生産ペースは下がると思います。幸運なことに続編のご要望も頂いておりますので、なにか作りたいとは思いますが・・・。
 完結させて初めてわかりましたが、文字書くだけなんですけど、結構時間かかるんですよね。構想ねったり、人物考えたり、そういったことをするのにも結構パワーが必要なことがわかりました。世の中の作家さんの偉大さが、作ってみて初めてわかりました。ぼくなんか足元にも及ばない高品質の作品を、ぼくなんかよりずっとはやく、定期的に出し続けているんですから。
 まずは、タイトルですね。正直新都社の作品はタイトルが全てのような気がします。全然思いつかない・・・。

○おわりに
 御覧頂いた読者の皆様、トップ絵・キャラクターデザインをして頂いたうめっしゅ先生、驚くべきクオリティで挿絵を仕上げてくれたもゃん先生。すべての人に感謝です。

参考文献
・デスマーチ 第二版:エドワード・ヨードン
・プロマネ失敗学 あなたを成功に導く14事例の教訓:拜原 正人
・システムはなぜダウンするのか 知っておきたいシステム障害、信頼性の基礎知識:大和田 尚孝

※3つ目(ダウンするのか)は全部読んでない。

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