Neetel Inside ニートノベル
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とある厨学生の憂鬱
第一話「初雪」

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 そこは狭苦しい部屋であった。何人かが座っていた。細長く並べられた机の最前列に、貫禄のある肥えた男が居た。その男が取り仕切っているのは明らかであった。その男は一回微笑み、おもむろに立ち上がるとこう言った。
「君達は選ばれし者だ。私と共に世界を作り上げようではないか!」


「先生大丈夫ですか。知り合いの精神病院ば紹介してあげますよ。」
「すまん、すまん。冗談だ。」
この人は生徒会の顧問である奥沢先生である。ウエスト120センチメートル。体重120キロの巨漢である。
「先生、早く役員ば決めましょう。」
我が校の生徒会は立候補制で、例年冬休みの2、3週間前に選挙が行われる。1年生2人と2年生4人である。まあ、事実上の人気投票である。よって、今から当選者の互選で役員が決まるのである。
「先ず、生徒会長をやりたいもんは居るか。」
「は~い、あたしやる。」
「なら、会長はもみじか。」
こいつは宮澤もみじ。小さい時からの幼馴染だ。何か、幼馴染って響きが良いな。特に朝起きる時とか興奮(ry
「次、敢えて書記。」
「先生、私やります。」
こちらは佐藤眞希さん。同級なのにさん付けなのは、暗黙の了解である。去年も書記だった。我が校にはただでさえ同じ苗字が多いのに、佐藤さんの場合は全校の5分の1である。頑張れ、リアル鬼ごっこ。
「ならば、次、会計。」
決める順番がおかしいだろ。会長の次に副会長を決めるべきだったのでは。
「じゃあ、あたしが。」
「えーと、どっちだ。」
「夏凛です。」
この子は九ノ崎夏凛ちゃん。腐女子…ハイ、次っ
「はい、は~い。先生、庶務がやりたいですっ。」
こちらは夏凛ちゃんの双子の姉。九ノ崎友夏ちゃん。陸上部のエースだ。腐女子の妹と違って少しまともだ。多分。
「それなら、香澄は副会長だな。」
「あっ、はい。そうですね先生。」
この子は、同級生で唯一の天然キャラの水野香澄ちゃんだ。萌えるな。
「そして、秋秀。お前も副会長で良かろう。」
「勿論!!。」
俺が副会長を選んだ理由は、余り目立たなくて良いのと参謀的な立場だからだ。まあ、生徒会の一存的なことも考えているのだ。
「ヤッホー。俺のハーレム。××××」
「スミマセン。取り乱してしまいました。」
「やっぱりアキはアキだな。保育園の頃からこんなんだったけんね。しゃーないね。」
『やっぱりねー』
みんなも同意するようだ。先生もかよ。
 
 という訳で翌日。生徒集会。
「生徒会長になりました、宮澤もみじです。宜しくお願いします。」パチパチパチパチ
「生徒会副会長を勤めさせていただく、水野香澄です。頑張ります。」パチパチパチパチ
「同じく副会長になりました、山口秋秀です。黒一点で頑張ります。」チッ
「誰や、今舌打ちした奴。出て来いや!」
「すいません。調子に乗ってました。」
 あー危なかった。まさか全校生徒が襲い掛かって来るとは思わなかったからな。急いで山口流奥義必殺土下座して良かったぜ。130人の学ランとセーラー服は相手出来ないからな。
「どうぞ続けて。」
「書記を勤めさせていただく、佐藤眞希です。宜しくお願いします。」パチパチパチパチ
「新しく会計になりました。九ノ崎夏凛です。一生懸命頑張ります。」パチパチパチパチ
「庶務の九ノ崎友夏です。皆さん宜しくお願い致します。」パチパチパチパチ
 
 いいな、皆拍手してもらえて。

 なんやかんやで午前中の授業終了。やっと給食である。この時間には、自分達が持ってきたCDなどを流せるのである。勿論、アニソンしか流れないがww。最近はハレ晴レともってけが多い様だが。他の学校はどうなんだろうか。早く食い終わって昼休みの準備をせねば。
「よう、ぐっさん今日は雪合戦やろうぜ。」
「おう、純か。勿論やるぞ。早よ行かな。」
因みにこの純君は皆からよくイジられるという、ある意味オイシイ子である。 
 まあ今日は初雪の癖して十数年ぶりに25センチ積もったらしい。お陰で何人か学校に来ていないが。昼休みになっても雪は止んでおらず、絶好の雪合戦日和である。学年・性別関係なくお互いに雪玉を投擲している。さて誰から仕留めようか。そこで俺が採った方法は雪玉を空高く投げて、無差別に攻撃すると言う物である。
「誰や今当てたの」「キャー」「痛てー」「山口か、コラー」「ぐっさん氏ねー」
という皆の叫び声が聞こえたが、気にしない。気にしない。生徒会の皆をはじめとして、同級・後輩・先輩・何故か先生方(人数が多すぎるので全員の名前は割愛させて貰う)が悠然とした足取りで俺の方へ向かって来る。よし、逃げよう。当然、逃げ切れる訳も無く、山際に追い詰められた。
「ハ、話セバ分カル。」
しまった。これは死亡フラグだ。俺は首相でも何でもない。や、止めろ。止めてくれ。う、撃たないで。
「問答無用。」


 皆にフルボッコにされた。まさか氷を投げて来るとは思わなかった。お陰で怪我した。生徒会副会長に何てことするんだ。
 そういえば、放課後に生徒会の話し合いがあるんだった。何でも、各委員会の委員長を指名しろとか。何故総理大臣の様な仕事をしなければならないのだ。委員会も委員会でおかしい。生徒は強制参加で、一部の委員会だけ忙しい。例えば、放送委員会や生徒委員会。前者は勿論の事、後者は学級委員と風紀委員を足して更にボランティアや雑用などをしている。ずっとそこにいたので分かる。まあ、野球部の筋トレをサボれるので良しとしようか。
 そういえば、明日から修学旅行があることを忘れていた。
 
 また忙しくなりそうだ。
 

       

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