「あれ、髪切った?」
「……おぉー」
「いやなんで感動するんだよ」
「戸田くんがそんな微妙な変化に気付けると思ってなかった。ちょっと短くしただけなのに」
「いや僕をそんな馬鹿にするなよ」
「でもこないだあたしが筆箱変えたときは気付くのに2日かかったよね」
「「…………」」
「ふっ」
「くっ」
「まあ今回分かったことは褒めてあげましょう、よしよし」
「撫でんな! てか今西人の頭撫でるの好きだよな」
「うん、髪の毛触るの好きー」
「んーよく分かんないわ」
「やってみる?」
「え、いいの?」
「いいけど掴んで引っ張るのはやめてね」
「おっけー、どれどれ」
「ど、どう?」
「よくわからん」
「えー! なんかあるでしょ!」
「あー、なんかイメージしてたよりやらかいし軽い、かな?」
「ほうほう」
「……んー」
「な、なんでゴムのとこつついてんの」
「いや、ここでスパッて切り落としたらどうなるのかなーって」
「にゃー!」
「っわ、いきなり動くなよ!」
「なに恐ろしいこと考えてんの!」
「いやだって、なんか面白そうかなーって」
「人の髪の毛なんだと思ってんだー!」
「いいじゃん、考えるだけなら」
「だめです! やるなら自分の髪の毛でやって!」
「僕そんな結べるほどないし」
「ないんだったら伸ばせばいい!」
「いやそれはないだろ」
「いいじゃん女の子みたいで。スカート貸すよ?」
「なんで僕が女装する話になってるんだよ!」
「大丈夫、頑張ればいける」
「その頑張りはしなくていい頑張り」
「じゃあジャンケンで負けたら女装しよう」
「今西が負けたらポニーテールちょん切るならやってもいい」
「むー」
「ふっ」
「あさってのゼリーあげるから」
「どんだけ安く見られてるんだよ僕……」
「いやいや、戸田くんは貴重な人材ですとも」
「じゃあもうちょっと盛れよ」
「おー盛ってやる!」
「ちょ、ま、髪の毛の話じゃない! しかもそれは盛るじゃないぐちゃぐちゃにするだ!」
「うっさい! も少しさわらせろー!」