Neetel Inside ニートノベル
表紙

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 もし今すぐ世界が崩壊するなら僕は喜んで崩壊を見守るだろう。
 何でかって? そんなの当たり前だろ。
 こんな恥ずかしい恰好してるんだぞ。マジで今すぐ死にたいよ。
 それなのに――

「ふむ。やはり先生の目に狂いは無かったな。佐藤にはワイシャツ+ニーソが似合う」
 先生の頭は完全に狂ってますけどね。
「しかし、一つ残念なのが裸ワイシャツでは無いという所か……」
 心底残念そうな表情で僕を舐めまわすように見つめる。
『確かに先生のチョイスは悪くはないですが、やはりメイドには敵いませんね』
『そうですね。ナースの次くらいには、いいんじゃないですか?』
 自分達の選択に自信を持ちつつも、視線で僕を犯している変態共。
 これって裁判所に訴えたら勝てますよね?
 でも、どうしてだろう? ここの人達は訴えても実刑を回避するような気がするのは。
 下手したら、僕が裁判に負けるような気がする。
 コイツ等は己の欲望のためならきっと、人には言えないような方法を取りそうだから。
 あーあ。マジで世界が崩壊しないかな。

「よし。佐藤の可愛さをじっくりと網膜に焼き付けたし、そろそろ例のアレをするか」
 例のアレって何だ?
『先生……あ、アレをやるって言うんですか?』
「ああ。やるぞ」
『ま、マジですか……アレをやるとは……』
 先生の発言に周りがざわつきだす。
 一体アレとは何なんだろう? まぁ、嫌な予感しかしないけどね。
   

「さぁ、やってまいりました佐藤優希の撮影会! 撮影会に参加される皆様、遠慮しないで
どんどんシャッターを切って下さいね!」
 ぼ、僕の撮影会だと……?
 しかも何でお前が進行してるんだよ。
 そして、何気なくカメラを構えるな!
「優希! バカみたいに突っ立てないで、何かセクシーなポーズをとりなさい」
「え……?」
 この人何言ってるの? 僕にセクシーなポーズをとれとか言わなかった?
 そんなの無理に決まってるじゃないか。
 そして、当たり前のように百瀬さんもカメラを構えているのね……
 
『優希こっちだ! こっちを見てくれ!』
『優希くん、足を! もう少し足を!』
『眩しい! 絶対領域が眩し過ぎる!』

 どうして、ここの連中は自前のカメラを持っているのだろう?
 写真を撮るのなら大体は携帯のカメラで撮るのに、ここの連中はちゃんとしたカメラを
持っている。
 人によっては、かなり高そうなカメラを持っている人間まで居る。
 ほんと、相当な変態の集まりだよね。
 そして健気に皆の要望を叶えている僕は、優しさの塊のような存在だと思う。
「いいよぉ~優希。何でお前はそんなに可愛いんだよぉ……」
「はぁ……優希素敵だわ。その苦悶の表情堪らないわぁ……♪」
 ダメだコイツ等。早くなんとかしないと……

 そんな僕の嘆きは意味もなく、撮影会は進んでいく。
 ワイシャツ+ニーソに始まり、メイドにナース。
 そして何故か他の服まで用意されていて、どんどん着替えさせられていく。
 時間が経つと同時に僕の人としての尊厳が奪われていくような気がする。
 はは……っ。泣きたいよ。


 ――人間の醜い欲望を見た――
 人の欲望は本当に醜くて酷かった。
 僕にも欲望はある。だけど――

『ほわぁーっ! この写真だけで、この写真だけで俺は――』
『あぁ……優希くん。ほんと可愛いわぁ……部屋に監禁したいくらい可愛いわ♪』
『今回の撮影会で一週間分のオカズが手に入ったな』

 僕の欲望は、ここまで酷くないと思うんだ。
 てか、酷くても人前には出さないと思う。
 それなのに、人前で平気で自分の欲望を曝け出すこの人達はある意味では羨ましい
のかもしれない。本当にある意味でだけど……
 結局僕が何を言いたいのかといえば、妙に哲学的な事を言って現実逃避がしたいって
事だよ!
 だってこうでもしないと、僕の精神がすり減ってしまうだろ!

       

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