Neetel Inside ニートノベル
表紙

ぼくが死んでから死にたくなるまで。2
Act2-2. ユーシス君がパジャマパーティーを中止してご両親と再会してお姫様になってお父さんとダンスを踊るまで。

見開き   最大化      

Act2-2. ユーシス君がパジャマパーティーを中止してご両親と再会してお姫様になってお父さんとダンスを踊るまで。


~~ユーシス君、おねがいする~~

 意外と服屋さんで時間をとってしまった、と思ったけれど、ユーシス君にとっては“想定の範囲内”だったらしい。
『さっ次はお芝居だよ! ボクこれ入院前から気になってたんだよね~♪』
 ますます上機嫌のユーシス君について劇場に入ると、中はほとんど女の子やカップルばかり。
 華やかな雰囲気にぼくとロビンは気おされてしまう。
「お、おいユーシス……これ、どういうやつなんだ?」
『もち、恋愛モノ! まあロビンにはちょーっと理解できないかな~?』
「う、…俺だって、恋愛ものぐらい……見たり…… ちょっとはするさっ!!」
『ふ~ん~~。それじゃいこっかー。後で感想聞くからね♪』
「お、おう、どんと来い!!」
「ロビンったら。
 クレフ、行きましょう。人が多いからはぐれないようにね」「え」
 リアナが言った、そのときぼくの腕がやわらかなぬくもりにふれた。
 見るとリアナがすぐ隣にいた。
 リアナの腕が、ぼくの腕にからんでた。
 ぼくはもうそれだけで、頭が爆発しそうになってしまって……

 われに返るとそこは、レストランらしきテラス席。
 目の前にあるのは空になったケーキ皿と、紅茶。
 ユーシス君がロビンをからかい、ロビンがむきになり、リアナがころころと笑い、アリスとミューが深々とタメイキをついていた。
 もちろんぼくは、お芝居の内容をほとんど覚えていなかった。
『まったくもー、男どもはこれだから。
 カラダ共有してなかったらおいてけぼり決定だねっ。
 あ、ミューは別だよ? ミューはちゃーんとわかってるもんねーv』
 ユーシス君がそういいながら、ミューの頭をなでなでする。
「男どもっておい。」
『んにゃあ右右、もちょっと右だニャ。
 おお、そこそこ。そこがいいにゃん。ユーシスおまえわかってるニャ~』
『うふふ。どういたしまして~。
 ねえミュー。いっこだけいいかなお願い』
『なんだニャ? 我輩はいま機嫌がいいからモフモフぐらいならさせてやってもいいにゃん』
『ほんと? じゃあ今日ボク、ミューとリアナお姉ちゃんの部屋にいきたい!』
「げほ、げほ、げほげほげほっ」
 いきなりの発言にロビンが咳き込んだ。
『アリスお姉ちゃんもいっしょにさ、今日のお芝居の話したいっ。
 あとあと、お姉ちゃんたちのお洋服とりかえっこしてみたりとか!』
「おまっ、ちょ、待て!! それにクレフに女装はって!!」
 するとユーシス君はにんまり笑った(客観的にはどっちもロビンなんで忙しい)。
『て・お・く・れ♪
 気づかなかった? クレフお兄ちゃんのジャケット、ダブルでしょ。これね、右上前にも左上前にもできるの。メンズとしてもレディースとしても着れるんだよ。つまり……』
「…………まさかっ」
 ロビンが血相変えて、ぼくの肩をつかんだ。
「……あれ?
 メンズは、左上前…レディースは右上前……だからええと……」
 しかし奇妙な顔でボタンの位置を確かめ始める。
 リアナの服を見て「あっボタンないか……」自分の服と見比べて「あれれ? ちゃんと左上前だし……」
 ユーシス君が勝ち誇って笑う。
『はいうっそー♪
 でも叫ぶのやめてね~ここじゃ目立っちゃうから♪♪』
「っ…………………………
 この、………
 この、……このっ………
 バカユーシス!!」
 ロビンは涙目で小さく叫んだ。
『ひーっかかったひっかかったー。もう、可愛いんだからv
 だからロビンはやめられないんだよ♪♪♪』
 アリスが再びため息をつく。
『ロビン……あんたもちょっとは落ち着きなさい。
 まったく、クレフのこととなるととたんに導火線短いんだから』
「うう……ほっといて……。
 もう俺明日まで寝るから……なんかあったら起こして……」
 ロビンはついにふて寝してしまった。
「わかった。おつかれさま、ロビン」

       

表紙
Tweet

Neetsha