Neetel Inside ニートノベル
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ぼくが死んでから死にたくなるまで。2
Act3-1. リアナが小さな女の子を拾って「ぼーいはんと」につきあってアルバイトしてデートをして告白されるまで

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Act3-1. リアナが小さな女の子を拾って「ぼーいはんと」につきあってアルバイトしてデートをして告白されるまで

「コドモみたいって言ったの……怒ったんだよな、ごめん。
 でも俺は、君のそんなところがすごく素敵だと、おもって……
 行かないでくれ。君が好きだ!!」
 そう言って、彼は彼女を抱きしめた。


~~オトナの恋がしたいの!~~

「ただいま帰りましたわ」『おじゃましまーす』
 タッセルの町にきたぼくたちは、まずしごとを探すことにした。
 どうしようもないときは領主様に助けていただくけれど、路銀や生活費くらいは自分たちで稼ごう。それがぼくたちのやり方だ(ぼくたちソウルイーターは禁足地が住所だから、その関連でいろんな税金を払っていない。というのに税金から出される援助金をあまり使ってしまうのは申し訳ないし)。
 とはいえ、町の様子がわからないのでは探しようがない。もしさまよってたり、さまよいだしそうなひとが見つかれば、その保護が最優先になる。
 そのため、宿を取るとぼくたちは、ばらばらに町を歩いてみた。
 ぼく(とアリス)が部屋に戻ると、すでにロビンが待っていた。
 それからしばらく後に、リアナとミューが帰ってきた。
 しかし、リアナの口からはただいまのほかにおじゃましますが流れてきた。
「え?!」
「リアナ、もしかして……」
「ええ。紹介します、ミミ・ベルワースちゃん。5歳の女の子です!」
『はじめまして、ミミでーす!
 アリスさん、クレフさん、ロビンさん、しばらくのあいだよろしくおねがいいたします!』
 ミミちゃんと名乗ったその子は、いっぱいの笑顔で元気に頭をさげてきた。
『はじめまして! よろしくねミミちゃん。
 ミミちゃんの願いをかなえるために頑張るからね!』
「ありがと、アリスさん!」
 ミミちゃんが笑う、と身体はリアナなんで、リアナの顔がにっこり笑う。
 いつものリアナとは違う笑い方にちょっとびっくりし、同時にこんな顔も素敵だな、なんて思ってしまう。
「あの……よろしく、ね」
「よろしくな、ミミ」
「はい、クレフさん、ロビンさん!」
 ミミちゃんはぼくたちふたりの手をぎゅっと握った。
 うーん、何回されても、慣れないな、こういうの。
 ぼくはまたしてもどぎまぎしてしまい、アリスに呆れられた。
「それで、ミミちゃん。このふたりはどう?」
「うーん、クレフさんは“そうしょくけい”でステキだし、ロビンさんは“いけめん”でカッコイイけど、うーん、もうちょっとオトナのひとがいいな」
「そう、ごめんなさいね」
『うみゅ、やはりこいつらでは役者不足だったにゃん』
「ミューったら。わたしの旦那様たちをそんな風に言われたら悲しいわ?」
『いや、その、若すぎるというイミだにゃん。決してそれ以上の他意はないにゃんっ』
 そうしょくけいってどんなカタチだろう。あ、“草食系”か。え、でもステキだなんて……
「俺たちはって、何の話?」
 そう考えて照れているとロビンがぽかんとした顔で聞いた。
「あ、ごめんなさいね。
 実はミミちゃん、恋人をさがしているの」
『うん!
 ミミね、じゃなかった、わたしね、ステキなオトナの恋がしたいの!!』

       

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