ロビンがユーシスちゃんの選んだ、かわいい系のスーツを着たところ。
そこから話が盛り上がりすぎて、ストーリーを破壊したワンクリップ(またか)
いくつもの過去がいま、あきらかに……!
~~かわいいロビン~~
『ユーシス君てホント、可愛いの好きなのね。
ロビンはこういうの目もくれないから新境地だわ!』
アリスに言われてみれば、うん、確かにけっこうかわいい。
「え、可愛いの……?」
ロビンは赤くなる。
『まっ、ギリギリ及第点かな。
あーもーロビンもあと10歳くらい若かったらなー』
ユーシス君は見る目があるな、とぼくは改めて感心してしまった――
あと10歳若かったら、ロビンは6歳だ。
今はきりっとしてかっこいいロビンだけど、あのころはすごくかわいかったのだ。
もちろんそんなこと言ったら怒られる(前世の記憶があるせいか、ロビンは子ども扱いされるのをすごく嫌がった)し、それにちょっと恥ずかしいから言わなかったけど。
「ユーシス。おまえ、なにかんがえてる?」
『なーいーしょー』
「こらー!」
『だいじょぶ、いざってときはまた街灯のぼって意識飛ばしてあげるから♪』
「やめろー!!」
ユーシス君にからかわれてロビンはもう半泣き。
ごめん、申し訳ないけど、気の毒だけど、かわいいかも。
『もーじょうだんじょうだん。
……でもボクとリアナおねえちゃんがおしゃれして、クレフお兄ちゃんだけ普段着ってのもあれだよね。
あれ、でもなかにはアリスお姉ちゃんもいるし、どうしようかな?』
そんなことを思ってると突然話の中心がぼくたちになり、ぼくは言葉に詰まった。
アリスはさばさばと言う。
『あたしはいいわよ。
身体はクレフなんだし、クレフに合うものでいいわ。
生きてる頃からおしゃれなんて興味なかったし、もう長いこと死んでるからね』
『………… ダメー!!』
するとユーシスくんは目をうるませて叫んだ。
『そんなのもったいないよ!!
だったらますますやってみなくちゃ!!
大丈夫、お兄ちゃんは小柄だしかわいいから、女の子の服でも露出がなければ充分着こなせるよ!』
「『……………………………………………………』」
「そういわれてみれば……」
『確かにニャ。』
「え、そうなの?」
ちょっとびっくりしたことに、ロビンもアリスもリアナもミューも異論を唱えなかった。
ぼくはただの、地味でさえない男だと思うんだけどな……
しかしアリスはどうも、やってみようかという気持ちになっている様子。
うーん。
女装なんてしたことも、考えたこともない(むかし、村の祭りの出し物でさせられかけたけど、ロビンがものすごく反対してお流れになった)けど……
アリスにはいつも、すごくお世話になってる。
もし、アリスがやってみたいなら。
「待て待て待て待て!!
クレフに女装させる気かっ?!」
そこまで考えたとき、ロビンが叫びだした。
「そ、それはまずいだろ!! いろいろとまずいだろ!!
クレフは素直なおひとよしだから反対しないけど、俺はクレフの兄貴分として反対だ。
どうしてもって言うなら、いざってときには……」
ロビンははっと黙り込んだ。
なぜかちょっと顔が赤い。
そのとき気づいた――これってあのとき(出し物会議のとき)の言葉と同じだ。
あのときロビン、なんていってたっけ??
『“いざってときにはクレフを嫁にもらうって誓約書にサインしてからにしろ。で、村長さんに許可を取れ。さもなきゃ俺はぜったいにそんなことは認めないからな!!”
……うーん熱血☆ ロビンかーっこいー♪』
そのときユーシス君がにやにやしながら暴露した。
ロビンは耳まで真っ赤になって頭を抱えてしゃがみこんだ。
はたから見ていると、ロビンがひとりで百面相している状態なので、いいかげん忙しすぎて壊れちゃうんじゃないかと心配になってきた。
やがてロビンはそのままの姿勢で、泣きそうな声でぽつりと言った。
「……あのさユーシス。おまえなんで俺だけよびすてなの……?」
『かわいいから!』