Neetel Inside ニートノベル
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ニーノベ三題噺企画会場
お題②/反則/うのじ

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「傘、時間、組織!」
放課後の部室で何時ものようにダラダラしていると、彼女が急にそう呟いた。…呟く、にしては勢いも声量もあったから、唱えた、かな。まぁいずれにせよ、何の脈絡も無く相手も無く、何かを受信したとしか思えない様子。まぁ彼女が意味不明な振る舞いをするのはもう日常茶飯事であるので今更どうという感想も無いのだが、どうせなら常識という奴にアンテナを向けてくれると嬉しい。しかし、俺の儚い祈りは届くことなく、それは今日もバッチリ圏外であるみたいだ。謎の呪文を呟いた彼女は、どや顔でこちらを見ている。
「…いや、そこで誇られても、全然意味が分からないんだけど」
「何者かによってよくわからない義務が課せられていたのだけど、その義務は、もう無いの。制限付きではあるけど、あとはなんだって出来る、何をしてもいい。これが自由…!!」
両こぶしを握って明後日を見つめている彼女にどこから突っ込んで良いものやら。多重影分身とか出来たら、一人ひとりに違う突っ込みさせられるんだが、残念ながらこの事象空間内には俺は一人しかいないので、とりあえずひっかかったところだけ聞くことにした。
「…制限?」
「そう、制限がある。具体的には、42桁×50行。最大2100文字が限界」
…謎が増えた。
「文字ってなんだ?…えーとなんだそれ、制限時間みたいなもんか?」
「厳密に言えば大分違うんだけど、本質的にはまぁ、そこまで間違ってはいないかなぁ。ちなみにそろそろ残り行数が半分に」
「全然分からんが、そう言われるとなんだか焦るな。流石俺、プレッシャーに弱い。で、その制限以内だと何が出来るんだ?」
「うん、何をしてもいい。義務は果たしたからもう自由」
「…自由を強調されても、元々組織社会のしがらみに囚われてたりするわけじゃないし、なんか恩恵もあまり感じないんだけどなぁ」
「自由は求める人にとっては何にも増して尊いものであり、持つものにとっては読み終わった雑誌のようなものである!」
「…あー、お前が犯人か」
「…え?」
「ここんとこ、カメラ雑誌が何冊か見当たらなくなってるんだが、お前が捨ててたのな」
「あ…う…」
「あれ、ゴミじゃないからな。時代の流れを振り返る為に、毎号保管してんのよ。ホラ、バックナンバーはこっちの奥の棚の中。古いのだと数十年前のとかあるからなぁ…ぶは、うわすっげぇ埃」
「………」
「あー、いい、いい、そんな泣きそうな顔スンナって。古本屋でも探せばすぐ見つかるし、最近のだからプレミアとか無いだろうし」
「…そうなの?」
「そうなの。…よし、それじゃあ、今から散歩にでも行くか?近所の古本屋めぐりコースで」
「…うん、いく!」
はー、天気怪しいし、とりあえず傘もってくか。え、お前、持ってきてないの?馬鹿じゃねーの、天気予報見とけよちゃんと。ま、いいさ、俺の傘でかいし、お前くらいなら一緒に入れるだろ。ほらいくぞ。…なんでそんなウキウキしてるんだよ、お前。

       

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