Neetel Inside ニートノベル
表紙

見開き   最大化      

ギルドに戻った二人は早速出撃の準備を整えることにした。
宝珠一式と自らの異形武器、携帯食糧などを黙々と準備する二人。
二人の間には沈黙が保たれていた。

やがて準備を終えたヴァンが口を開いた。
「さて、用意するものはこれぐらいかな。
 鉄、分かってるとは思うけど今回は遊び半分でこなせる仕事じゃないからな。」

「そんなこと分かっている。
 貴様こそ過去に引きずられて俺の足を引っ張るなんてことはやめてくれよ?」

「・・・っく、鉄!!ふざけるなっ!」

10年前の事件のことで精神がすり減っていたヴァンは
いつもの軽口もスルーできず、鉄につかみかかっていた。

「貴様が近接戦闘で俺に勝てるとでも思っているのか?
 ここで決着でもつけるか、この場所で。」

そういう鉄の目にはいつものような触れたら切り裂かれそうな覇気は感じられなかった。
鉄もまた師を失った記憶に対してどう向き合えばいいのか分からず苦しんでいたのだ。

「・・・いや、すまん。頭に血が上りすぎていた・・・」

「ふん、わかればいいのだ。」

長年一緒に行動していた二人はお互いのことを理解していた。
だからこそ気難しく周りから煙たがられているような二人が
十三の狩人まで上り詰めることが出来たのかもしれない。

「俺たちはいつものように依頼を受け、いつものように異形を狩るだけだ。
 それが出来なければ俺たちはかられる側だということをゆめゆめ理解しておけ。」

鉄はそういうと自らの異形武器 -三日月宗近  ミカヅキノムネチカ -を腰に括ると荷物をギルドを出ようとした。
ヴァンもそれに続き荷物を持ってあとを追い、二人はテェロンへと向かったのだった。

       

表紙
Tweet

Neetsha