Neetel Inside ニートノベル
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ラズクから東に5kmほど向かった先にあるテェロン。
さらにそこから先には龍皇国があり、一応の友好条約が結ばれている。
しかし今回龍皇国との境のテェロンの森の砦が破壊されたということは
おそらく敵は"長歳龍"だろう。

「とりあえずテェロンの森に直行するか、街で荷物を置くかだが・・・」

「それは龍に殺されるか、俺に殺されるのどっちがいいかと聞いてるのか?」

戦闘狂の鉄がそんな悠長に待つはずもなかった。
分かりきっていたことだが一縷の望みをかけて行ってみただけなのだ。
ヴァンは苦笑いすると車をそのまま東へと走らせた。

-テェロンの森-
「さて、着いたわけだが・・・鉄。」

「言わないでも分かっている。貴様もその銀玉鉄砲の整備は今のうちにしておけ。」

テェロンの森にはすさまじい魔力があふれていた。
まだ足を踏み入れてもいない二人に感じ取れるほどの魔力。
二人はこれほどの魔力を持つ相手と戦ったことは一度しかない。
ヴァンは気を引き締めると、自分の異形武器 ‐ グエニール ‐の弾倉に魔弾をつめた。
ヴァンの異形武器はいわゆる、回転式拳銃、と呼ばれる形式で魔珠と同じような効力をもつ魔弾を
装填することで疑似魔法を発動することができる。
今回は対長歳龍ということで第五階より上の魔弾しか持ってきていない。
魔弾や魔珠にもレベルがあり高いレベルになるほど高い効力を発揮する。
だが高いレベルになるほど魔力を引き出され、無理に使用すると脳神経をやられる可能性もあるのだ。
それも承知でヴァンは第五階を4発、第六階と第七階を2発ずつ込めた。

二人が森の中心部あたりまで進んだ時、最初に異変に気付いたのはヴァンだった。

「おい、なにかおかしいと思わないか?」

「なにがだ?」

「砦が建設されるまで開発されたこの森にどうしてこんなに、”沼”があるんだ?」

森の中にはいたるところに沼があった。
沼というよりは地面が局地的にぬかるんでいるというのだろうか。

「やっぱりおかしい、これは重力系第三階の-曲空地 グメルブス-のあとじゃないのか?」

「そうだとしても誰が何の目的でところどころで魔法を使うというのだ。」

(それもそうか・・・考えすぎか)

少し気を抜こうと大きく息を吐いたヴァンは念のため知覚鏡をつけた。
知覚鏡を起動しておくことである程度の魔力の位置を察知できる、いわゆるレーダーのようなものだ。
二人はそれを頼りに魔力の発信源へと歩を進めていった。

       

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