Neetel Inside ニートノベル
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ソフトBL小説集
「僕達の新記録」(学園ものBL)

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 高校受験当日に、父の爆死と母の蒸発と姉の結婚と弟の逮捕が偶然重なったために、試験どころではなくなった僕は受験に失敗した。その後も心神喪失状態で何がなんだか分からない内に、僕は県内最悪の不良高校に進学するハメになってしまった。
 人よりほんの少し美形で、内気で、か弱くて包茎の僕がそんな学校に馴染めるはずもなく、とにかくイジメから逃れるためだけに、僕は昼休みになるといつも人気のない場所を探して、体育館の裏や体育館の天井裏や体育館の裏ビデオ陳列室に隠れて過ごしていた。裏ビデオのうちの一本には僕の姉と弟が出演していた。撮影していたのはどうやら父で、母がスタイリストとして姉の髪の毛をセットしている様子も一瞬映っていた。
 この学校に居る限り、そんな平和な日々がいつまでも続くわけはなかった。
 僕が裏ビデオを見尽くしてしまい途方に暮れていた頃、体育館のドアを開けて入ってくる集団がいた。僕も見たことのある中年の用務員さんが、不良達に引っ立てられている。血なまぐさい事件の臭いがした。裏ビデオ陳列室には僕の精液の臭いが充満していた。
「おっさん!」
「おっさんよう!」
「なあおっさん!」
「おお」
「おっおさん?」
「おかあさん!」
 語彙の乏しい不良達が用務員さんを追い詰めている。ひい、うはあ、と、小突かれるたびに聞こえる用務員さんの声は、悲鳴というより喘ぎ声に似ていた。
「おっさんよう」不良達のリーダーらしき、金髪リーゼントをビシっと決めて、超短ランの下はボクサーパンツ一枚という出で立ちの男が重々しい声で、やっぱり「おっさん」から始まる言葉を用務員さんにかけた。
「おっさんよう、俺らぁ知ってんだぜ? おっさんが俺らのことをじいっと見つめてたの。こんなクソみたいな高校に自ら望んで勤めようとする奴なんざ、偽善者の教師以外には変態しかいねえって相場は決まってんだ。おっさんさ、俺らを見て興奮してたんだろ? ホモなんだろ? ヤラれてえんだろ? 俺らにボロボロになるまでマワされて、体中の体液を精液に置換されて、泣き喚きながら昇天してえんだろ?」
 うひいいいいぃいっ、と用務員さんは気色の悪い泣き声をあげる。遠目に覗き見る僕の眼にも、流れる涙はうれし涙で、がたがた震えているのは武者震いに思えた。
 それから見た光景はとても詳細には描写出来ない。不良達は用務員さんの服を寄ってたかって破き、自分達の学ランやパンツも破き、それから用務員さんの尻にある門をぶち破った。
 それも一人じゃない。バラバラじゃなく、同時に。
 二人目のナニが用務員さんの解き放たれたブラックホールに吸い込まれた時、人体というのは凄いものだなあ、と僕は感心する他なかった。
 三人目のナニが飛びこんだ時は、不良達の体術の素晴らしさに驚き、呆れた。
 四人目から絵に描かれることは諦めた。
 五人目で用務員さんは「ありがたやありがたや」と念仏を唱え始めていた。
 六人目が「こいつはすげえや!」と叫んだ。
 七人目は先ほどのリーダー格の不良だった。当然彼も用務員さんの尻にナニを突き刺したのだが、どういうわけか彼の表情は曇っていた。
「ちくしょう! 変態用務員との複数人同時アナルファック記録、これじゃ先月のおっさんの七人と同数止まりじゃねえか! ちくしょう、リュウジの奴がおたふく風邪で休んでなけりゃ、新記録達成出来たってのに!」
 どうやら彼らの仲間が一人休んでいるようだ。
「おっさん、あんた自分のちんこ伸ばして自分のアナルに挿れられないか?」と金髪リーゼントは用務員さんに聞いている。用務員さんは残念そうに、
「あんたらに突かれているおかげでこちらもびんびんなんじゃ。曲げることは出来んわい」と言った。
 しかし彼らは諦めなかった。
 彼らはまだまだ若くて、無限の可能性を秘めていた。
「あっと一人!」と誰かが言い出した。
「あっと一人!」と誰かが唱和した。
「あっと一球!」と叫ぶ奴もいた。
 やがてその場にいる全員が「あっと一人」コールを始め、体育館内に反響し、増幅し、それはやがて一筋の鋭い一撃となって、覗き見していた僕を撃ち抜いた。
 僕は裏ビデオ陳列室のドアを開けて駆け出していた。駈けながら服を脱ぎ散らかしていた。ビデオの中で姉がそうしていたように。家に帰ってきた父が母の元へ向かう時のように。自然と僕は笑顔になり、不自然なくらいに僕のペニスは怒張していた。無限の可能性を秘めているのは彼らだけではなかったのだ。
「来た」
「来た!」
「来い!」
「恋?」
「あっと一球!」
「Yeah! Fuck You!」
「行くぞ新記録!」
「イクぞ八人目!」
 僕は回転しながら、輝きながら、悦びの声をあげながら、不良達の間を縫って、用務員さんの開かれた校門へと登校した。
 その日、僕の本当の高校生活が幕を開けた。
 僕の光輝く青春時代が。

 記録は翌日十二人にまで伸びた。

(****HAPPY*END****)

       

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