Neetel Inside ニートノベル
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思いついたものをそのまま書く
天使になりたい

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 「どうして羽がないのかな?」
愛美ちゃんが窓の外、遠い空を飛ぶ鳥を指差して笑う。
「鳥に羽、ついてるじゃん」
「そうじゃないよー、私たちにだよぉ?鳥にあるんだから、私たちにだって羽があってもいいよね?って思ったんだ」
愛美ちゃんは、時々すごく不思議な事を言う。私は愛美ちゃんのそう言う所がなんだか面白くて、大好きだった。でも他の人は違うらしい。愛美ちゃんはいつも一人ぼっちだった。
「ずるいなー、鳥は空を飛べて。私も飛びたいなー」
遠くを見る目を見ていると、その中に吸い込まれてしまうようで、ふっと視線をそらして窓を外を見た。鳥はもうずっと遠くに飛んで行き、黒い点にしか見えなくなっていた。
 「学校は楽しい?」
「うん、楽しよ」
そんなわけないじゃん、と心の中で悪態をつく。「楽しくないよ」なんて言えなかった。お母さんが嬉しそうに聞いてくるから、楽しくないと言ったら心配されてしまうから、言えるわけがなかった。
 私もやっぱり、一人ぼっちだった。きっと私も変わり者なのかな、と思う。でもそんなもの誰も教えてくれないから、治しようもなくて、結局いつも一人ぼっち。自分で気付かなくちゃいけないなんてとっくに知ってる。でも、そんな簡単に出来ない。皆そうなはず。そう自分に言い聞かせるのが、いつの間にか当たり前になっていた。

 いつもの空き教室、いつもの席、いつもの窓。二人で机を窓に向け、画用紙と絵具を広げて、ずっと止まっていてはくれない空を描く。いつかあの夕陽を飛べたらいいね、雲みたいに自由にどこへでも行きたいねって笑いながら。校庭では部活動や楽しそうにおしゃべりしながら帰る生徒の声がたくさん。私たちは静かにそれを聞いていた。
 愛美ちゃんが急に私の手を握った。
「ねぇ、早紀ちゃん、お祈りしよう。私たちに羽をくださいって。それでもし羽がもらえたら、私たち二人でどこか遠い遠い所へ行こう」
愛美ちゃんがじっと私を見つめる。愛美ちゃんの手はすごく柔らかくて、暖かくて、無性に悲しくなって。気付いたら二人で大声で泣いていた。ずっとずっと、声が枯れても、気付いた皆がこっちを見て指差しても、私たちは二人で泣いた。
 どうして私たちは天使に生まれなかったんだろう?もし天使だったら、こんな所とっくに飛び去ってしまったのに。どんなにお願いしたって、私たちは天使になんてなれない。願うのだって、きっと滑稽だ。
 私たちは、天使になりたい。

       

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