Neetel Inside ニートノベル
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俺が好きなのはJKだ!
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 浪理小杉(ろうりこすぎ)達は考えていた。
 ライトノベルの主人公みたいにハーレムするには、どうしたらいいのだろうと…
 必要なのは可愛い女キャラだ。
 その可愛い、少しロリっぽい女の子に、あんな格好や、こんな凄い格好をさせて、萌えるのが、ライトノベルの真骨頂だと小杉は思う。 
 しかし彼にロリの趣味はない、相手は同年代に限る。
 そもそも子供に萌えていたら犯罪者ではないか。ということで、親友の洋地弱相(ようじじゃくそう)という、偉い坊さんの名前みたいな奴に、小杉は問い詰めたかった。
 クーラーのきいた部屋で、小杉と弱相は二人、ラノベ会議を開いていた。
 いや、違う、実は三人だった。
 もう一人、小杉にとっては論外である彼の姪、平名夢音(ひらなゆめね)という女の子が、その会議には加わっていた。
 小杉と弱相は十七歳の高校生、夢音は未だ十歳だから、いくら童顔好きといっても、小杉にとっては、とんでもなく対象外であった。
 しかし一人、鼻息荒く、さっきからジュースばかり飲んでいる奴がいる。汗が汁のようにシャツに染みている。
「いや~、しかしそれにしてもさ、夢音ちゃんってかわいいねぇ。なぁ、ロリっ小杉、お前も本当は、そう思っているんだろ」
 ちなみにロリっ小杉(ロリっ子好き)というのは小杉のあだ名で、この台詞は弱相、通称ヨウジ弱相(ようじよあい→幼女愛)が言ったものだ。
「え、あたしが? ほんとにぃ? さっきから褒めてばかりくれて、嬉しいよぉ!」
 夢音は純粋に喜んでいる。
 それにしてもなぜ彼が、こんなチビを好きなのかが理解できない。こんなチビが好き、イコール、犯罪じゃないか。
「夢音、お前、会話の主旨、理解してんのかよ?」
「してるよぉ。つまり、お兄ちゃん達は、漫画やテレビの主人公になりたいのねぇ。あたしのクラスにもいますよ。仮面ライダーに憧れる男子とか。うんうん」
 うん、分かってない。全然わかってない。やっぱ駄目だ。
「そうなんだよ! 夢音ちゃんは偉いねぇ、頭なでなでしてあげよう」
 こいつはもっと駄目だ。ロリコンだ。ペド野郎だ。
「なでなで…」
「わぁ、嬉しい~」
 なんだこれ…? なんだこの変な空気、俺はこんなことをするために来たのではない! そう、こうなると分かっていたなら… 小杉は後悔した。 
 事の発端は、弱相からの集合の電話だった。
 集合といっても、来るのは小杉と弱相だけである。友達、少ない所以。  
 白昼、ラノベを読んで、グダグダしているときだった。
 御日様はこぉんなにぎんぎらして希望的な休みなのに、家にヒッキーしてラノベかよ、と自分で自分にツッコミながら、ベッドに寝そべりつつ時間を潰していた。
 その時、ブゥ~ンとバイブ、弱相からの電話だった。
「はい、もしもし、なんですか? ヨウジ弱相(ようじょあい)君、ムカツク電話だったらすぐに切りますからね!」
 いつも彼は無意味ないたずらをしてくるのである。
「おお、ロリッ小杉、ムカツク電話ってなんだよー。いきなりそれはないだろロリ。このペド野郎!」
「さようなら…」
 ロリはお前だ、と小杉が切ろうとしたその時、
「あ、ちょっとまてロリ、ちょっと重要なことがあるんだ。話はそっちなんだ」
「で、なんの話なんだ?」
「重要すぎる会議だ…」
 弱相は真剣な口調で言った。だから小杉もついついそれに乗せられて、
「おいおい、なんだよ。言ってみろよ!」
 語調が強くなる。
「僕の家に来い、今すぐだ! お前の生活が一変するかもしれない、転機なんだ。いや、これは… とりあえず集合だ!」
「お、おいおい、超展開すぎて訳分からねぇよ!」
 弱相は一方的に喋り終えると、意味深に付け加えた。
「とりあえず、夢音ちゃんも誘ってこいよ。これは、重大なんだからな…」
「嫌だ」
 弱相は夢音に片思いをしている。危険すぎる。変な悪戯でもされたら責任は取りかねない。いくら重大でもリスクは負いたくない小杉。   
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ! 絶対つれて来い、連れて来なければ一生呪うからな!」
 怒り口調で弱相はまくしたて、一方的に電話を切った。
「なんだっつうんだよ、クソ…」
 小杉はなんでもすぐ気になる性格だ。だからこれがいつも通りの罠ではないかと疑りつつも、気になって仕方がない。もしかしたら本当に重大なことかもしれないのだ。
 結局、家隣の夢音を誘って、弱相の家に行くことにした。
 夢音は弱相がいつもお菓子をくれて優しいとかいうことで、何も知らずに彼を好んでいた。彼も夢音も好んでいるのだから、これは両想いではないかという意見が出そうだけれども、そんなエンディング誰が望む? 法律違反じゃねぇか。
 小杉は色々と考えを巡らせながら、インターホンを鳴らすと、ホクホク顔の弱相が出迎えてきた。
 ようやくハメられたのだと後悔した。
 彼は夢音をつれてこさせるために、様々な機略を使うのである。ある時は交通事故、ある時は宇宙人捕獲、ある時はUMA捕獲、テロ予告なんかもあった。
 つれてこなければ、僕は、僕は、どうにかなっちまう…お願いだ…連れてきてくれればそれでいいんだ。哀しそうな声で、こう囁くのである。そして家に来ると、ホクホクと出てくる。
「待ってたよ~」
「あ~、弱相のお兄ちゃん、私も会いたかった~」
 彼は萌えながら、ぎゅぎゅうっと暑苦しく夢音を抱きしめる。
 夢音はこのことを両親に報告しているらしく、小杉と弱相に感謝しているというのだ。夢音のことを可愛がってくれて、ありがとう…。弱相の可愛がるというのは、絶対にニュアンスが違うと思うのですが、とはいえない小杉であった。
「お前、また俺を騙したなー!」
 凄い剣幕で小杉はにじり寄る。
「お、おい、なにマジギレしてんだよ! 違うって、本当に重要な用事があったんだ! 
 こぉんな怒っちゃあ、駄目だよな~、夢音ちゃ~ん…」
 途中まで必死で、なんで途中から猫なで声なんだよ。
「そうよ、小杉お兄ちゃん。弱相さんをいじめたりしたら、夢音おこるからね!」
 はっ、可愛い、と小杉も思ってしまったが、いかんいかんと我を取り戻した。
「しかしこいつはな、もう本当のことをぶちまける! こいつは性…」
「やめろぉ!!!」
 弱相は小杉の言葉をさえぎった。
「夢音ちゃんの気持ちを考えてやれよ! せっかく来たのにこう喧嘩されちゃ、悲しいだけだろ。もうやめてやれよ!」
 弱相は悲哀を込めてそういい、夢音はヒックヒックと涙を滲ませていた。
「二人とも、喧嘩したら、いやだ…」
「ああ、ごめんよ、ごめんよ。もうしないよ…」
 小杉が悪者になって、悶着は終わった。
 恐るべき、ロリパワー知的能力。
「ところで弱相、重大な話って、用件はなんなんだ?」
「ああ…、そのことか…」
「そのことかって…」
「あのな…」   
 弱相は夢音の手を取りながら、あたかも深刻そうな顔をしながら言った。
「ライトノベルの主人公みたいに、童顔キャラからもてるには、どうすればいいのかなって思ってさ…
 いや、むしろもう主人公になりたくね?」
 用件は、くだらないものだった。
「何言ってんだお前…」
「だ、か、ら、ラノベみたいにもてるには、ってことで会議しようぜ。夢音ちゃんも入れて、挟み込んで」
「わ~い、嬉しい~。でも熱いから、あんまりギュウギュウしないでね」
「します!」
 弱相はきっぱりと言い切った。夢音は、わ~いわ~い、とはしゃいでいる。
「最低だ…。用件もなにもかも、最低だ…、人間のクズだ」
「いいじゃん、ロリ小杉!」
「いいじゃん~!」
 夢音も弱相ものりのりだ。
 ラノベの主人公みたくなるって、頭が病気じゃねぇか…
「できるよ、きっと!」
 夢音は小さくそういって笑った。弱相も笑った。
 このロリと、ロリコンがっ!  
 小杉は頭が痛くなった。
 しかも弱相の部屋は、夢音に引っ付くため、ガンガンにクーラーをきかせていた。頭痛に拍車をかけられる。

 こうして始まった緊急会議とやらは、一向に前に進む気配すら見せなかった。
 そりゃそうだ、弱相にとっては、夢音といられるというだけで、目的のほとんどは達してしまったのだから。ラノベの主人公みたくなる、というのは口実に等しい。
 始まってからずっと、弱相は夢音に引っ付いてばかりいる。
「おい、ヨウジ弱相(ようじょあい)、いい加減に真剣に考えてくれよ。ラノベの主人公みたくハーレムするにはどうすればいいのか、ちゃんと考えるんだ!」
 夢音に荒い息ずかいでへばりつく弱相は、ん~、いちおう真剣に考えるふりをした。
 そもそもよく考えれば、この会議に夢音の存在は不要、というよりもむしろ邪魔になってくる。呼ぶ意味などなかったのだ。
「そうだなぁ、ん~、はぁはぁ、僕もすごく考えているんだよ。でもなぁ、人望とか全然ないしなぁ… 困ったなぁ…はぁはぁ」
 全然こまってなさそうだった。夢音にくっついて、はぁはぁ、している時点で考える気なんてないだろう。客観的に見て危ないし。キモイし。
「ねぇ、なんで弱相のお兄ちゃん、そんなにも息があがってるのぉ? しかも熱いし、風邪、ひいてるの?」
「子供にはわからぬ、大人の事情だ!」
 弱相はピシリと格好よく決めた。
 夢音はひぃ、と気おされた。
 俺にもし人望などがあったら、こんな所でこんな会議なんてしているはずがない。普通の学生みたいにデートに花開かせたり、友人を引きつれて楽しくゲーセンに行ったりしていることだろう。 
 いいや、始めから違う。
 そもそも人望があったなら、夢音にくっ付いてはぁはぁする、ロリコンで気持ち悪い奴となんかつるんだりはしないだろうな。小杉は思った。
「と、どうするんだよ、議論はいかにしてハーレムするかってことだろ? 一向に案が出て来ないじゃないか」
 小杉は震えながら言った。クーラーがききすぎて寒いのだ。
「ハーレムってなにぃ…?」
 夢音は尋ねる、意味が分からないのは当然だ。 
 小杉は弱相に、説明するように目配せをした。
「それはだね、夢音ちゅわん」
 小杉はついジュースをふきだしそうになった。なんだよその、ちゅわんって。
「ハーレムとはね、男の子が女の子に取り囲まれて、面白おかしく、その、ボディタッチなども含めて、ちょっとこう微エロっていうのかな、あのつまり、なんかちやほやされて嬉しいって言うか、なんていうか、もう愛くるしく萌えるような時間を過ごすことなんだ…」
「ぜんぜん意味わかんないよぉ」
 夢音が首を傾げるのは当然だ。
 そこで小杉が口を挿む。
「簡単に言ったら、一人の男の子の周りに沢山の女の子がいて、みんなで楽しく遊ぶことなんだ。俺たちはさっきから、それがしたいな、って話し合っているんだよ」
「ああ、なるほど!」
 夢音は納得したように手を叩いた。
「じゃあ、あたしは今、そのハーレムなのねぇ」
「違う!」  
 こんな逆ハーレム、あってたまるものか! 俺と弱相って、普通の女子高生なら絶対に嫌がっている。それに萌えているのは弱相だけだし…
「いやぁ、違わないよ。僕とロリ小杉に囲まれて愛されて、夢音ちゃんも幸せだなぁ。これは素晴らしい逆ハーレムそのものだよ」
「ハーレムではなく犯罪だろ!」
 小杉はすぱっと言った。
 なんか白っとした空気が流れてしまった。
「まぁいいや。ところでどうするべきだろうなぁ、ラノベの主人公みたくなるの」
 ツッコミを無視して、弱相はぼやく。
「お兄ちゃんたちは、いっぱいの女の子と遊びたいだけなのですよねぇ?」
「そうだよ、夢音ちゅわん」
 だから、ちゅわんとか言うなよ、小杉は思う。
「だったら、あたし、それ叶えてあげますよ。ううん、簡単だと思いますよぉ、ハーレムなんて」
 夢音はクスッと笑い、小杉と弱相ははっとした。
 そう、女の子は女の子どうし、ツテがあるではないか。なぜ今まで気づかなかったのだろう。二人は顔を見合わせた。
「そ、そうか! 夢音ちゅわんに頼んだら早かったんだよな!」
「で、でもちょっと待てよ…」
 小杉は考えた。    
 夢音の紹介ということは、来る相手もみんな小学生ばかりではないのか。
 弱相は別としても、小杉にそういった趣味はない。
「夢音の友達、年齢が高校生以上の奴、いるか?」
 小杉は夢音に尋ねた。
「えっ…どうして?」
「あの、俺、そういう女の子と遊んでみたいんだ」
 夢音は戸惑った。
「ああ、うんっ、そういえば、いるよっ! 高校生の、その、あの、可愛い子が…」
 なんか語尾が小さくなって、訝しい感じの喋り方だったが、小杉はとりあえず喜んだ。
「そっか、いるのか、やった」
 紹介から始まる恋愛なんかもザラじゃない。これはチャンスだ。
 なぜか夢音は視線を合わせようとしない。
「夢音ちゅわん、友達って、それ以外は君と同年だよね?」
「そりゃあねぇ」
「やったぜぇええええ!!!!」
 弱相は小杉以上に喜びをあらわにした。
「あはははは! やったぁ!」
 夢音も手を叩いて喜びの輪に参加した。
 素晴らしい空気が流れた。
 先ほどの夢音の態度を気にしながらも、生きていればいいことあるんだな、と小杉は思った。弱相はそれ以上に思った。
「でも…」
 夢音は一瞬、小杉になにかを伝えようとしたが、小杉の嬉しそうな顔を見て、ぐっと言葉を飲み込んで笑った。
「ううん、なんでもないよぉ」

     

 小杉は夢音を家まで送り、紹介という喜びに身を打ち震わせながら、帰宅した。
 夢音ちゃんが、女子高生を紹介してくれるというのだ、やっと自分にも春が来た、嬉しくてたまらない。
 もてない、ということは、高校生にとっては死活問題だ。
 小杉は夢音ちゃんを送ったときに、彼女の母親にもらったお菓子をボリボリ食べながら、ベッドに寝そべった。
 こういうパターンであれば、漫画などでは大抵不細工な女の子がやってきて、有無を言わさず気に入られ、なぜか追い掛け回されるというシュチュエーションが多い。
 しかし夢音ちゃんは確約してくれたのだ。
「むちゃくちゃ可愛いですよぉ」
 あの可愛い夢音ちゃんが認めるのだから、間違いはない。
 ああああ、なんて嬉しい…
 小杉は興奮冷めやまずに、布団を抱きしめながら言った。
 ちなみに女の子を誘うための口実としては、パソコンを無料で教えるということになっている。
 小杉と弱相はパソコンのインストラクターを目指しているという設定で、教えるという経験値を蓄えるために、夢音の友人を誘っているということになっているのだ。
 弱相はともかくとして、小杉はさほどパソコンに詳しい訳ではない。
 インターネットでニコニコ動画に投稿できる程の知識だろうか。
 そんな小杉と比べて、弱相の技術はすさまじい。
 中学生のときまでは、小杉が弱相にパソコンの使い方を教えていたのだが、ある時、弱相がインターネット上に転がる、アレなサンプル動画の存在を知った。
 小杉が説明すると、弱相はもの凄い勢いで興味を示し、それが元凶の始まりだった。
 圧縮解凍ソフトのダウンロードからはじまり、ウイルスの侵入を防ぐための処置、効率よくエ○サイトを見つける方法、小杉の知らぬ間に独学を進めていった。
 さらには動画を目一杯収納させるためにも、ハード方面まで手を伸ばし、プログラミングも勉強している。それもどれもこれも、全ては本能のなさしめた偉功だといえる。
 気づいた時には、弱相はプロになっていた。
 質の悪いハッカー並に変貌していた。
 その最初の被害者は、間違いなく小杉である。
 ある日のことである。小杉が弱相から借りたフラッシュメモリを開いてみた。
 なんでもこれは面白い動画を入れてあるから、絶対に見ろといって、ニヤニヤしながらよこしたのだ。別の意味で感動的でもあるからと…
 無警戒でそれを開くなり、急に変な喘ぎ声が大音量で流れ出して
「幼女の○○○○」
 という文字が画面一杯に広がってフリーズした。なんとウイルスが仕掛けられていたのだ。
 パソコンから流れる喘ぎ声とフリーズでパニックになった小杉は、ああああ、と叫びながらマウスを連打した。
 そんな状況の中、一つ年下の妹がうるさいとやってきて、ドアを開けて画面を見るなり顔面蒼白。
「お兄ちゃん、なにそれっ!」
 軽蔑したような眼差しでみられ、
「ち、違う! これは友達が、友達が俺を罠にハメたんだ! ウイルスなんだよ、これはウイルスなんだよ。お兄ちゃんは、断じてロリコンじゃないんだ!」
 必死で弁解した。
「ちょ、なによこれ、気持ちわるーい! お兄ちゃんさいてー!」
 妹の香成(ろうりかな 通称:ロリ高生)が叫び声をあげ、目を画面に戻すと、パソコン画面が変化していた。
 色とりどりの幼女の写真が映し出され、消えて、また違う幼女が映し出され…、ああ、なんというロリバラエティ…
「ぎゃあああああ! ち、違うってー! これは弱相が嵌めたんだ! お前もあいつのことは知っているだろ、いや、知らないか」
「知るわけないでしょ、この変態、スケベ、犯罪者!」
「犯罪は犯してねぇーよ!」 
 小杉は香成に突っ込んだ。
「俺は本当に被害者なんだ、信じてくれよぉ。このフラッシュメモリー、こいつのせいなんだよ…、ウイルスだったんだ」
 小杉は涙ながらに訴えた。
 さすがに香成もこの様子に胸を打たれたのか、
「そうだよね、普通にスケベなことしていたなら、ここまで墓穴掘るわけがないよね」
 と、納得しかかっていた。
「そうなんだよ。ほんと、俺じゃないんだよ…」
 香成と手を取ろうとしたとき、ある言葉がパソコン画面に打ち出された。そのせいで、今も香成には気持ち悪がられている。
 画面の言葉、
「ロリっ小杉、どうだった? よかっただろ? ついでにほら、始めての留守番っていうゲームな、これ入れといてやったから。お前さ、幼女キャラを舐めるように見てただろ…
 一緒に夢音ちゃんと風呂入ろうな。
 僕な、すげー楽しみにしてんだよ。それが叶ったら、お前の欲しがっていたエロゲー、ロリ系だったっけ? 全部やるから。
 じゃあな、ロリッ小杉→ロリッ子好き。 
                 お前の親友、洋地弱相(ヨウジョアイ)より」
 これを読んだ瞬間、香成の歯ががちがちなっているのがよく分かった。
「お、お兄ちゃん…、ど、どういうことなの? え? なにこれ? 夢音ちゃんとお風呂ってなに? え…? なにそれ…」
 引きながら一歩一歩うしろに下がる。
「いや、違う、違う…んだ。俺は夢音ちゃんと風呂に入った事もないし、入りたいとも思わない。俺が好きなのは、JKだけだ! JKだけなんだ! JKしかエロスを感じない。JKなら何でも許せる。JKだけが好きなんだ! 信じてくれ!」
 女子高生大好き宣言をしても、ロリコンと思われるよりかはマシだった。
 そうだ、なりふりを構ってなんかいられるものか…。しかし香成の一言は強烈だった。
「お兄ちゃん! あの、私もJKなんですけど! 私に興味があるっていうことなの!」
「あるわけねぇだろ!」
 最高に突っ込んだ。目玉が飛び出すほど突っ込んだ。
 香成はわんわん泣いた。
「お兄ちゃん、キモーイ、サイテー! ロリコンだし女子高生好きだし、シスコンだし、気持ち悪すぎるよ! 近寄らないでっ! このクズ!」
 全てが悪い方向に誤解されたようだった。
 こういうことがあってから、妹の態度はよそよそしくなり、反抗期を迎え、家庭崩壊の危機を迎えた。
 全て弱相のせいである。
 そんな弱相が小学生に勉強を教えるというのだから、恐ろしくて仕方がない。
 小杉は溜息をついて、ベッドに横になりカレンダーを手に取った。
「はぁ、大丈夫なのだろうか…」
 考えると胸騒ぎがおさまらない。

       

表紙

パンドラちゃん 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha