Neetel Inside ニートノベル
表紙

マジカルお姉さん
スネーク中……

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 敵の本拠地に潜入……非常に危険で大きなリスクを伴う行為。
 しかし、私はそんなものを気にせず潜入している。
 何故かって? それは――

「……暇だからさ」
 最近悪質な犯罪者が減ってきて、私の出番が少なくなっているのよね。
 それ自体はとても喜ばしい事だけど、これでは幼女に巡り合う機会が失われてしまう。
 だから私は……
 生涯のライバルであり、宿敵のあの女の本拠地に忍び込む事にしたの。
 そこであの時の幼女を救出するんだ。
「メグミ。聞こえる?」
「あ、小夜子ちゃん? 聞こえるよ」
「そう。じゃあ、道のりを案内するわよ」
「うん。ありがと」
 今回は、小夜子ちゃんは自宅でお留守番なのですよ。まぁ、それでも一応仕事はしてもらうんだけどね。
 私が潜入して、小夜子ちゃんが案内をする。
 実に完璧な計画。
 だけど、一つだけ気になる事があるんだよね。
「ねぇ、小夜子ちゃん」
「何? あまりあんたから話しかけてこないで」
「あぅ……」
 ひ、酷いよ小夜子ちゃん。まあ、そこが可愛い所でもあるんだけど……って、そうじゃなくて、
「何で道案内が出来るの?」
 かなり気になるんだよね。普通、相手の拠点の道案内なんか出来ないよね。
「企業秘密よ……」
「…………」
 恐るべし小夜子ちゃん。実に怖い娘だわ。
「メグミ。そこ左よ」
「了解」

“どんどん進むよ。マジカルお姉さんが行くよ♪
 敵の本拠地を叩きに今向かいます。
 撲殺されたくなかったら、今すぐ逃げるのよ♪
 マジカルお姉さんは自重しませんよ?”

「さて、歌も歌い終わったし、ゴールは近いのかしら?」
「そうね。そこを右に曲がったらゴールよ。そして、耳障りな歌だったわ」
「えへへっ♪ 褒めないでよ」
「……死んで」
 もうっ。ほんっと、小夜子ちゃんは照れ屋さんなんだから。
「――っと、ここね……」
 ここに、あの幼女がいるはず……
「あら、遅かったじゃない。今日は何しに来たの? 負け犬さん♪」
「むっ――っ!?」
 何で? 何で、あの女が居るのよ?
「初めから、バレてたみたいね」
 そ、そんなぁ……
 それじゃぁ、幼女を救う事なんて出来ないじゃない。
 私じゃ、あの女には――

「誰か、来たの?」
「ええ。可哀想な負け犬さんがね♪」
「負け犬……」
 あ、ああ……あの娘は……
 あの時の素敵幼女。
 そんな……もうあの女の物になっているなんて――
「メグミ。帰ってきなさい」
「さ、小夜子ちゃん……」
「分が悪過ぎるわ」
「…………うん」
 せっかく会えたのに、すぐに逃げないといけないなんて。
「ふふ……っ♪ また会いましょうね」
「ふんっ! 絶対に嫌よ」
 あんたなんか大っ嫌いなんだから!
「お、覚えてなさいよ!」
「ええ♪」
「ばいばい。負け犬さん」
 うぐ――っ! 素敵幼女が毒を吐いた。
 …………いいかも。

 いやいや、よくないもんっ!
 絶対にいつか、元の清楚で素敵な幼女に戻してあげるんだから。
 待っててね。
 マイ・エンジェル。

       

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