Neetel Inside ニートノベル
表紙

マジカルお姉さん
相棒が欲しい

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 マジカルお姉さんとなって、一人の幼女を救った。
 穢れ無き幼女を助けたのはいいけど、何か物足りないような気がする。
 何か……そう。何か大切な物を忘れているような気がする。

「――あ。思いだした。とても大切な物を思いだしたわ」
 相棒が居ない。
 こういうヒーローには得てして相棒が居るものではないだろうか。
 マスコット的な相棒から、渋いおじさんの相棒まで。
 様々な相棒が存在する。
 そんな中で私の相棒は誰なんだろうか? 
 というか、魔法少女には相棒が必須でしょ。
 相棒……相棒……可愛らしい相棒。
 何処から拉致ってくればいいのかしら?
 何処かに私を興奮させてくれるような可愛らしい幼女はいないのかしら?
「…………幼女が欲しい」
 私には幼女が必要なのよ! むしろ幼女以外必要が無いわ!
「でも、どうすれば……」
 都合良く私の前に素敵な幼女が現れるわけもないし…………
 ここは一つあの場所に頼ってみようかしら。
 覚悟を決め、とある場所に電話をする。
 
『こちら、何でも派遣会社です』
 何でも派遣会社――この会社は自分が望む人間を望み通りに派遣してくれる素敵な会社である。
 都合良く幼女を見つけられないのなら、派遣してもらうしかない。
 きっと、この会社なら私が望む人材が居るはずだから。
「あ、すいません。一人幼女を派遣して欲しいんですけど」
『幼女……ですか』
 電話口の相手の声が少し低くなる。
 やはり幼女の派遣は難しいのだろうか。昨今色々と子供に関しては規制が大きいから仕方のない
事なのかもしれない。
「やっぱり難しいですかね?」
『いえ……そんな事は無いのですが……』
 妙に相手の歯切れが悪い。
『容姿も可愛くて雑務も完璧にこなせる。そんな娘が一人いるのですが……』
「何か問題でも?」
 容姿も可愛くて何でもこなせるなんてスーパー幼女じゃないか。
 その幼女の何処に問題があるのだろう?
『えっと、その……性格に少しだけ問題が……』
「性格ですか」
『ええ。気難しいと言いますか、少しばかり我儘な所が御座いまして』
 確かにそんな性格だと紹介はしにくいかもしれない。
 しかし――
「ああ。全然問題ないですよ。ですから、その幼女を派遣してもらえませんかね」
 幼女が手に入るのなら、なんら問題は無い!
 むしろ我儘幼女に罵られたい!
『……承りました。では、そちらに幼女を派遣させていただけます。期限はどうされますか?』
「そうですね……特には決まってませんが、給料は随時支払っていきますので」
『承知いたしました』
 
 少しばかり細かい契約の話を聞いて電話を切る。
「ふ、ふふ。ふふふふふ……っ」
 ついに。ついに幼女が私の物になるのね。
 考えるだけで卒倒しそうだわ。


 ピンポーン!
『何でも派遣会社の者ですけどー』
 来た! 幼女が来た!
 私は嬉しさを隠さず玄関に足早に向かう。
 そして勢いよく扉を開けるとそこには――――
「今日からあんたの所で働く小夜子よ!」
 とびっきりの幼女が居た。
 確かに生意気な感じがするけど、そんな些細な事はどうでもいい。
 今目の前に幼女が居る。その事実だけで私は満足だった。
 多少性格が悪くても、そんなものは後から矯正していけばいい。
 そんな楽しみも増えるのだから、むしろ喜ばしい事なのだ。
「はぁ……はぁ……えっと、私はメグミ。今日から宜しくね小夜子ちゃん」
「気持ち悪い眼で見ないで」
「―――――――――――――――っ!?」
 何!? この心を抉るような言葉責めは。怒りが込み上げてくるどころか、気持ちいいじゃない。
 いいわ。この幼女、気に入ったわ♪
 この娘になら、どんな法外な値段を請求されても構わないわ。
「ほんとに気持ち悪い……で、わたしは何をすればいいの?」
 頭の切り替えも早いのね。益々好みだわ♪
「えっとね、基本的に私のサポートをして欲しいのよ」
「サポート?」
「そう。マジカルお姉さんとして変態共を駆逐する私の手助けをね」
「…………」
 あら、何故か絶句してるわね。まぁ、そんな表情も可愛いんだけど。
「あんた正気なの?」
「ええ。正気よ。私は変態共から幼女……いえ、子供を守りたいのよ」
 そして幼女に感謝されて、ハーレムを築きたいのよ。
「面倒……でも、わたしも一応仕事だし諦めるわ」
「ふふ……宜しくね小夜子ちゃん♪」
「うん」
 口ではそんな風に言ってるけど、心の底ではきっと私に尊敬の念を抱いてるに違いないわね。
 小夜子ちゃんの目を見るかぎりそんな気がするの。


 こうして私は念願の幼女……じゃなくて、念願の相棒を手に入れた。
 これで変態を倒すのも楽しくなりそうだわ。
 だってそうでしょ。可愛い幼女が側に居るんだから。それで楽しくないなんて嘘だわ。
 これから、本当に宜しくね小夜子ちゃん♪

       

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