Neetel Inside ニートノベル
表紙

マジカルお姉さん
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「前回は少しシリアスになり過ぎてたから、今回は緩めに行こうと思うの」
「……は?」
「サクサクっと変態を始末して、にぱ~と幼女を愛でたいと思うのよ」
「言ってる意味が分からないから日本語で話してくれる?」
「だ~か~ら~」
 油断していたとはいえ、幼女を変態から助ける事が出来なかった。
 確かにそれは悲しいし、恥ずべき事なのは間違いが無い。
 だけど、落ち込んでばかりいたら前を見て歩く事が出来ないじゃない。
 気持ちを切り替えないと、また同じ過ちを繰り返してしまうから。
 だから――

「緩く話を進めて行こうと思うのよ」
 一種の手抜き……だと言葉が悪いわね。そうね……閑話休題って所でいいかしら。
「相変わらず意味が分からないし、それをわたしに言って何がしたいの?」
「何がって……」
 それは勿論。あんな事やこんな事を――
「死ね」
「いやん♪」
 あー小夜子ちゃんの言葉のナイフは、相変わらず気持ちいいわね。
「あんたなんて、永久に落ち込んでたらよかったのに」
「それは出来ないわよ♪」
 だって、私の基本的モットーはポジティブシンキングと幼女を愛でる事だしね。
 そんなわけだから――
「小夜子ちゃん。出かけるわよ」
「はいはい。分かったわよ」
 不貞腐れている小夜子ちゃんを連れて外に出る。
 今日も今日とて、変態を始末しましょ~♪
 可愛い幼女に感謝されて、抱き締めて、
 想像するだけで鼻血が出そうだわ♪


「ランドセル幼女……こ、これはお持ち帰りをするべきなんだな」
「ひ、ひぃっ!?」
 ああ。嘆かわしい。どうして変態はそんな恐ろしい表情で幼女に近づくのかしら。
 そんな顔で近付いたら幼女も怖がるでしょうに。
 ここは、やはりマジカルお姉さんの出番みたいね。
「小夜子ちゃん!」
「はいはい。勝手にしなさい」
「うん♪」
 さぁ、行くわよ! 悪しき変態を倒すためにマジカルお姉さんが今行きます。

「唸る拳! 吠える幼女愛! くたばりなさい変態野郎! 今ここに放送禁止レベルのフルボッコを!」
「えっ!? な、なんなんだな?」
「変態に答える言葉なんか無いわよ!」
「ぐぼはっ!?」
 問答無用で叩きつけられる正義の鉄槌。
 変態のリアクションなんか一々待っている必要は無い。
 相手が行動を起こす前に倒す。これが正義の味方の力よ。
 相手のリアクションを待つのなんてテレビじゃないんだから関係ないわよ。
 だって、この一連の行動を見ているのは、愛しの幼女と小夜子ちゃんだけなんだから。
 そう。変態に襲われている彼女と、小夜子ちゃんにとってカッコよくあれば他はどうでもいい。
 私の一番のご褒美は幼女の笑顔なんだから。
「――と、まぁ色々と正当化してみたんだけど、どうかな?」
「どうって、わたしに何を求めてるのよ」
「………………愛?」
「死ね」
「あふん♪」
 ほんと、小夜子ちゃんは可愛いわね♪
「ほんっと、気持ち悪いわね。ところで彼女はいいの?」
「ひ、ひぃっ!?」
 小夜子ちゃんに促されて彼女を見ると、酷く怯えていた。
 それもそうよね。だって、あんな変態に迫られてたんだもんね。それは覚えて当然だわ。
「ふふ……もう大丈夫よ」
 あなたを狙う変態はお姉さんが軽く始末しておいてあげたから。
「ひぅ……っ」
 ああ。本当に怖かったのね。これはもう一生もののトラウマになってるかもしれないわね。
 だけど安心して。お姉さんがその心のトラウマを取り除いてあげるから。
「さぁ……お嬢ちゃん。こっちにおいで~」
「ひっ!?」
「もう大丈夫よ~何も怖い事は無いんだからね~」
 今からは恐怖の時間じゃなくて、私を幸せにしてくれる時間なのよ。
「はぁ……一人の変態が終わったら、また変態が出てくるなんてお気の毒としか言いようがないわ」
「さぁ、お姉さんに全てを任せなさい♪」
「あ、ああ…………うわぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「あ……」
 幼女が、愛しの癒し時間が逃げて行く。
 どうして? 何で君は私から逃げるの?
「子供に逃げられたくらいで落ち込まないでよ。それに変態がいたら誰でも逃げるでしょ」
「で、でも、変態は私が始末したじゃない」
「いや、あんたも十分変態だから」
「な――――――っ!?」
 わ、私が変態ですって!? 私は普通の紳士……いや淑女なのに。それなのに変態だなんて。
「ひ、酷いわよ小夜子ちゃん!」
 こんな素敵なお姉さまに対して変態だなんて。
「…………はぁ。自覚がないなんて最低ね」
「…………」
「呆然としないで早く帰るわよ」
「う、うん……」
 小夜子ちゃんにとって私って、変態に見えてたのね。
 その事実は少なからずショックだわ。
 でも私はめげないわよ。きっと小夜子ちゃんも理解してくれるわよ。
 いや、理解できなくてもいずれ私が理解させてみせるんだから。

 頑張れ私! 負けるな私!
 だけど、少しだけ泣きたいよ。ぐすん。

       

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