Neetel Inside 文芸新都
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наша бойна 僕たちの戦争
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戯曲からのセリフ抜粋 ブリッツクリーク
森の中から続々と現れるT34と歩兵。観測兵は報告に行く。「敵戦車三!正面に突撃砲です!」戦車部隊指揮官は戦車に乗り込み、指示をだす。「左舷から回り込む!暖気運転!ハッチ閉じろ!」観測手ががなる。「距離およそ三百!敵歩兵多数!」「砲塔軌部を狙え!」敵戦車部隊の攻勢が強まり、火砲の支援もないため、徐々に塹壕がつぶされていく。切れる少尉。それでも生き残るにはT34をなるべく多く破壊しなければならない。「戦車隊前へ!」分散して各自標的を確認。「全車両へ通達!各個撃破!」戦闘開始。開始早々、t34が一台停止。「敵戦車停止!」すかさず五号戦車長は次の指示を出す。「次弾装填!」「距離五百!」「連続射撃!」

イワンのタンクデサントを見て躑弾兵旅団の伍長がつぶやく。「イワンのくそったれどもが・・・戦車の上に乗ってやがる!肉の土嚢になるのが怖くないのか?」「オットー少尉の三号はどうして戦線にいないんだ!さっさと躑弾兵どもに狩らせろ!」「照準器固着!」「くそったれが!迫撃砲による支援砲撃を行う!」「「三号をだせ!」

気勢とともに、モンゴル騎馬軍団が森の中から走りでてくる。手にはサーベル。機関銃手はあわてて塹壕の大ドイツ連帯少尉に報告。「右舷に敵勢力!モンゴル騎兵のようです!」少尉は爪を噛みながら悪態をつく。「くそったれチンギスハンの汚れた血を断ってやる!機関銃前へ!」其の後戦闘は激化。敵勢力が一部拠点を突破。仲間がサーベルで切られるのをみて軍曹が一言。「やろう!ぶっ殺してやる!」

戦車隊指揮官車のなかで大尉が指示を出す。「左舷に鉄鋼弾、次いで砲爆撃も要請しろ」

大ドイツ連隊軍曹がイワンの数の多さに絶望して一言。「拠点防御が成り立たない!」

スクリーム・ミーミーズの砲兵支援部隊指揮官が部下に喝を入れる。「血の雨を降らせるんだ」

休憩中のパンター部隊の指揮官の一人が叫ぶ。「スターリンのオルガンか!ハッチ閉めろ!」

戦争を忘れて食料をあさるイワン(ロシア兵の蔑称)をみてスペイン人義勇兵が攻撃をかける前に一言。「奴らに行動原則を教えてやれ!」

88砲を水平射撃する空軍高射砲部隊砲兵少尉が叫ぶ。「ひきつけろ!」「装填開始!」

作戦司令部でマンシュタインが指示を出す。「第二中隊、第三中隊は正面から攻撃する。」「反撃する隙を与えるな」WAFFENssの中尉がつぶやく。「支援砲撃が必要だ・・・」

療養所で軍医が凍傷の兵士の足を診て。「足の皮が長靴に張り付いてやがる・・・」
 Афганистан 1982
―――暑い。猛烈に暑い。それでも大尉はM88防寒着を着ている。一体どうしたというのだろう。ソヴィエト人将校としてのプライドからだろうか。だとしたら頭がくるっているとしか思えない。ここではみんな頭がくるう。アフガニスタンの暑さが、戦場の空気がそうさせるのか。暑い。僕はBTRの上に乗っている。僕の祖父はT34の上に乗った。そしてナチの砲撃で木端みたいになった。   僕は煙草を吸う。みんな煙草をすう。体力が落ちるらしいが・・・そんなことは誰も気にしないし、そもそもみんなどうだっていい。そう、どうだっていいのだ。この国はそういう考え方でいることに僕たちを慣れさせるのです。・・・・・・また道端で人が死んでいる。―――――とある歩兵兵長―
―――プッシュ、と音がして、突然車列前の装甲車めがけてRPGが飛んできた。装甲車の銃座が外れ、中から火だるまになったシェフチェンコ車長が飛び出してきた。熱いのか。それとも混乱しているのか。僕は想像してみた。真夏のラーゲリで飯を炊いた時の顔面にかかる火の暑さの何倍のものが体にひっついてはなれない。しかし、どうしてRPGは、そんな物騒なものは、僕たちめがけて飛んでくるのか。それはムジャヒディーンというアフガニスタン人のゲリラが僕たちを憎んで、殺そうとしているからです。彼らは僕たちを憎んでいます。それも涙が出るほど憎んでいます。僕らが彼らの家や、家畜を焼いたりするからです。僕もそんなこと人にされたら嫌です。でもこれは戦争だから仕方ないのです。四十年くらい前に、ドイツから来た十字軍は僕たちの村を焼いて、踏みつぶしました。でも彼らは挙句僕たちに追い出されて、逃げられなかった者たちは、殺されるか、収容所へ送られました。六十万いた彼らの十字軍は最後には五千人いるかいないかくらいになってドイツに帰りました。今度は私たちが十字軍です。赤い十字軍です。きっと僕たちもこの大地、イスラムと鉱物資源と岩山の大地・・から追い出されるでしょう。きっとたくさん殺されます。そんな予感がするのです。――――同じくとある歩兵兵長―
―――多くのロシア人の若者はどうしてここで戦っているのか、たぶん本当には納得していないでしょう。納得できたら、戦争に勝てる、そんな気がしさえします。アメリカはベトナムで負けたそうですね。きっとアメリカの若者たちもどうして自分たちが戦っているかわからなかったのでしょう。その点で行くと、四十年前の戦争では、若者たちには戦う理由が、勝たなければいけない理由があった。だから・・・彼らは僕たちより幸せだと思います。彼らは適当に選ばれて地獄に放り込まれ一度きりの人生の幕をその糞だめのなかで閉じたでしょう。愛する家族に見守られながらではなく、不意に飛んでくる敵からの恐怖と敵意の混じった鉛の塊、もしかしたら味方の誤射で死んだかもしれません。やり切れませんよ。でも彼らは、死ぬとき正しい戦争という大義に自分の人生のトリガー全てをゆだねて、これは仕方なかったんだ、俺は国のために戦った、って思って、何となく納得して死んでいくと思うんですよ。逃げてますね。大義に。でも逃げることは、逃げる場所は必要なんですよ。その点僕たちには逃げる場所なんてどこにもありません。僕たちは悪ですよ。悪の手先ですよ。僕たちは戦争なんて糞だ!悪魔の所業だ!俺たちの人生を返せ!って言いながら、死んで行くんですよ。でも、逆に、そうやって死んでいく権利を持っているともいえます。――空挺部隊上等兵―

キャプテンフック
遠い昔、私は子供だった。私はとにかく普通の大人になりたくなかった。大人は大変そうだった。会社では汗水たらして生き残りレースで命を削り、稼いだ金は税金として搾取される。結婚しても子供に尊敬される自信なんてないし、きっとこんな面白くない男だ、ついてくる嫁もろくなもんじゃあなかっただろう。どうせ金目当てのぶら下がりだ。私は勉強がよくできた。おかげでこの仕事に堕ちるまでは一流企業の社員だった。でも勉強なんて本当は嫌いだったのかもしれない。かもしれないというのは・・・・本当は自分が何をしたいかわからないからだ。とにかく俺は普通の人生に満足できなかった。自我が肥大していたのだ。両親は表面上は円満な家庭を演じていたが、本当は人を信じたりするようなやつらではなかった。だから私も自然とそういう人を信じれない大人になってしまった。今だって部下のことは信用していない。本当はさびしいんだ。心の底では永遠に現れない自分の母親を探しているのだ。恋愛はうまくいったためしがない。いつも相手に依存してしまい、相手を疲れさせてしまい、捨てられる。たまたまうまくいけば相手にはだいたい下心がある。本当は下心があるのかわからないが、私は何せ人を信じられないものだから、疑ってしまい、神経衰弱に一人陥るきらいがあった。
 俺は会社を辞めた。そして海賊になった。今はそれなりに稼げている。でも自分の人生には満足していない。きっと一生満足できないだろう。・・・・今日もきっと平和な一日だろう。おれたち海賊はめったに上陸したり、他の海賊船と殺りあったりしない。無駄だからだ。もっぱら密輸が専門だ。必要となればするが・・・・、もちろん勝てない相手には喧嘩はしかけない。
自分のやりたいことだけやって生きてる奴にこないだ会った。信じられなかった。だがそれはピーターパンじゃない。ピーターパンはおれの分身だ。奴は一生大人になれないだろう。

       

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