Neetel Inside ニートノベル
表紙

この身体はキモチイイ……!
ep9.少女調教2-1 R-18注意

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 ユキは首輪を片手に、もう決まり事のように、その言葉を口にする。

「契約、ちゃんと覚えてるよね」
「はい。今から私はあなたのものです」

 わざと倒錯的な言葉を選んだ。早く酔えるように。ユキに。ユキとの関係に。あるいは、自分に。

 逃げるように。

「どうしても嫌だったら、首輪外してもいいから。それ以上は何もしない」
「分かってます」

 素っ気ない、短い返事をしてしまう。そんな安全装置のような決まり事、今の私には必要ない。

「掛けて欲しいんだっけ?」
「はい」
「いいよ。こっちおいで」

 ベッドに腰掛けているユキの前に、私は膝を付いた。こうすると、ちょうどユキを見上げる形になる。彼女は艶を含んだ笑みで私を見下ろしている。

「髪をあげて」

 むき出しにされた首を、ユキの手が這う。首輪を掛けられ、金具でそれを固定されれば、もう私に自由意思はない。ユキはくいっとリードを引っ張り、私を寄せた。眼前に迫るユキは普段とは全然違う、あのサディスティックな雰囲気を纏っている。

「首輪……もう少しきつくして頂けませんか?」
「ん? きつめの方が好み?」
「はい。お嬢様に所有されている感覚がしますから」

 距離が近い。もうほんの少し顔を寄せれば、キスも出来てしまう。ユキは探るように、じっと私を見つめていた。

「今日はやけに私を煽るようなことを言うんだね」
「……そうですね」
「そんなに煽ると、本気で苛めちゃうよ?」
「え……」

 ゾクリと背中に悪寒が走った。

 あまり不必要に煽り過ぎるのはよそう。本気のユキは、予想よりもずっと容赦がないかもしれない。

「ふふ、怯えた顔しないで」
「いえ、そんなつもりは……すいません」
「可愛すぎて本当にしたくなるから」

 ユキは艶(あで)やかに笑う。

 怯えた顔でそんなことを思うなんて。ユキは思った以上に根がサディストなのかもしれない。そう思うと、不安でちょっとだけ身体が強ばってくる。

 そっとユキが、私の顎を掴んで、品定めするように睥睨する。不安が加速していく。

「良いね、そういう顔。好きだよ。怯えてる」

 ……やだ。怖い。前の時とは全然違う。前は確かに威圧的だったけど、どこか優しさがあった。でも今のユキの表情は、上手くはいえないけど、なにか純粋に自分に恐怖する人間を見下して楽しむような、そんな愉悦が滲んでいる気がする。

 顎を掴まれているから、私は顔を背けることが出来ない。目を逸らしても、ユキの視線が私を射抜いているのが良く分かった。

「さて、どうしてあげようか? 今凄く加虐的な気分だから、ジュンのことめちゃめちゃにしちゃうかもね」

 口元をほんの少しだけ綻ばせて、彼女は告げた。でも全然目は笑っていない。

 身体が竦む。恐怖が躙(にじ)り寄ってくるような感覚が、私を支配しそう。

「私のものなのに、私を挑発するなんていけない子。もっと従順になるように、ちゃんと教育してあげないとね」

 まるで知らない人に脅されてるように、怖くて動けなかった。ユキは私をじっと観察して、ふっと笑った。

「ちょっと脅かし過ぎたかな」

 急に緊張感が緩んだ。思わず息が漏れた。

 ユキも人が悪い、わざとあんな風に威圧していたんだ。その証拠に、今は悪戯っぽく微笑んでいる。

「……怖かったです」
「ごめんね。でもあんまり私の嗜虐心を煽ると、こんな風に止まれないから気を付けなさい」
「わ、わかりました」

 もしもあんな調子で責められたりしたら、どうなってしまうんだろう。考えるだけで、心身が文字通りすり減る思いがした。絶対に不用意に煽ったりしてはダメだと、私は心に刻み込んだ。

「でもジュンが本気で怯えてる顔、凄く可愛かったなぁ」

 うっとりとした表情でユキが呟いた。そんなことをご機嫌に言われても、どんな顔をすればいいかすら分からない。

「さて、じゃあもっと近くにおいで」

 黙ってユキの傍にいくと、そっと肩を抱かれた。ユキの匂いがした。抱かれながら、優しく撫でられた。

 私を撫でるその手の感触が、凄く心地よくて、身体の緊張が解けていく。

 ユキはずるい。私をこんなに安心させたり、怖がらせたり、自由自在だ。この首輪がなくたって、彼女は私の心を操れる。

 長い抱擁が終わると、唐突にキスをされた。触れるか触れないかの、躊躇うような口付け。私の唇にじんと熱だけを残して。

 もっと欲しくなるような、淡いキス。それを、幾度か。

 ユキは屈んで、私の首筋に柔らかい唇を当てる。その度に、トクントクンと鼓動が加速していく。

「手貸して」

 手を差し出すと、ユキは自分の手の平で受け取って、そのまま私の手の甲にキスをした。

「ぁ……」

 ユキのその仕草がとても官能的に見えて、意図せず声が漏れた。

「好き? これ」

 そう言って、もう一度私の手にキスをする。ほの暖かい彼女の唇が、少しずつ私の理性を焦がす。

「ちょっと、ぞくってします」
「好きなんだ」
「そう、ですね」

 そう聞くとユキは顔を綻ばせて、私の人差し指に舌を這わせた。

「あ、ちょっ」
「ん? いや?」
「嫌じゃないですけど……」

 そういうことをされると、私の知らない内に身体の芯が熱くなってしまうから……。

 だから、苦手だ。

「嫌じゃないなら、もっとする」

 ユキは私の指を唇で挟み、舌を当てた。二度、三度とされる度、自分が段々と熱にあてられていくのが分かった。

「ベッドに上がって」

 ユキに手を引かれ、ベッドに上がると、くるりと転がされた。

「耳を貸しなさい」

 覆い被さるように身体を押さえつけられ、間髪をいれずに命令される。私に拒否権はない。言われた通り、顔を背けるようにユキに耳を晒した。その刹那、甘噛みされた。

「っ……!」

 声を殺して、身体を駆け抜ける快楽を押し込めた。ユキにされた瞬間、前とは比べものにならないくらい、私は感じてしまっていた。指への愛撫が、思ったよりも私を精神的に昂ぶらせていたみたいだ。ぴんと身体を反らせた私の反応を見て、ユキは面白がるようにねちっこく耳に舌を這わせた。

 耳の裏側を炙るように舐めたり、あるいは指の時と同じように、耳自体を唇で挟んで舌を当てた。

「っは……」

 声を我慢しているから、口から押し殺した息が漏れてしまう。ここを責められると、昨晩のことを鮮明に思い出す。自分があんなにも感じてしまったことを。

 じゅんと、ソコが濡れるのがわかった。

「こっちを向いて」

 ユキと顔を合わせた瞬間、またキスをされた。唇を合わせるだけの、啄むようなキスが、今はもどかしい。

「どうしたの? そんな物欲しそうな顔して」
「……いえ、何も」
「そう?」

 唇に指を押し当てられる。冷ややかなはずの指先が、唇に触れた途端、じくりと身体を熱に浮かす。

「舐めなさい」

 完全な命令形。威圧的な声音。彼女の指先に舌を這わせると染みこむ従属感を、それが加速させる。

 私を犯す倒錯的な感情に、溺れてしまう。

 ユキは大人しく命令に従う私を押さえつけるのを止めて、すっと離れた。

「脱いで」

 ユキに素肌を晒すことは初めてだ。だからその命令に、一瞬躊躇した。

「恥ずかしい?」
「はい。……ごめんなさい」
「いいよ。ゆっくり剥いてあげるから」

 ユキが私のパジャマのボタンに手を掛け、一つずつ外していく。私には見ていることしか出来ない。全てのボタンを外され、前をはだかれた。

「綺麗な肌……」

 言いながら、彼女は私の鎖骨の辺りにキスをした。それから、段々としたへキスの位置をずらしていく。

「下着も取るよ?」
「ええ、お好きに」

 露わになった胸をユキの手が包む。

「ん……」

 そうっと揉まれて、私を襲う感覚に自然と声が漏れた。それ自体に性感を感じないのに、自分の胸を揉まれているという意識が、私に官能的な感情を強制する。

 反応が良かったと見えたのか、ユキは両手で私の胸を揉み始めた。

「っふぁ……」

 声が……出てしまう。私の身体なのに、制御できない。それに段々気持ち良くなってきた。クリトリスを触られた時とは全然違う、じわじわと追い詰めるような快楽が、毒のように浸食してくる。

「感じてるの? 乳首勃ってる」

 言われた通りだった。恥ずかしくなって目を逸らしたら、それを咎めるように、乳首を摘まれた。

「……っく」

 さっきよりも少しだけ鋭い快感が走ったけど、なんとか声を殺せた。でも両手で胸の先をくりくりと転がされたら、もうそんな抵抗は意味を成しそうになかった。

「ん……あ……」

 じわじわと徐々に快楽に浸(ひた)されていく気がした。段々、身体が本気で感じ始めている。

 ぷっくりとした乳首を、今度はユキの唇に挟まれた。生暖かくぬめる感触が、更に私を快楽で苛む。

 そのまま、片手で乳首を転がされ、もう片方は、舐められたり、吸われたり、舌で転がされたり、甘噛みされたり。

「はッ……ぅ……」

 呼吸が乱れてしまいそう。昨日はそんなに感じなかったのに。前戲で興奮させられていると、こんなに違う感覚なんだ。

「下脱がすよ」
「……いえ、自分で」

 まだ敏感な所を触ってもいないのに、こんなペースのままいいようにされたら、どうにかなってしまう。一旦彼女の主導権を奪いたくて、自分で脱いだ。衣類は、もうショーツしかない。それもうっすらと濡れてしまっている。

「濡れてるね」

 ユキの指は私の下着の上からスリットを這い、すぐに一番敏感な箇所を捉えた。

「お嬢様、そこは……」
「何?」
「やめ……んぅっ!」

 やめてと言おうとした瞬間に、ユキの指がショーツごとクレバスに沈み込んで、クリトリスを擦りあげた。今までのとは段違いの性感に襲われ、身体がぴんと反り返る。

 指を押し込められた瞬間、下着が愛液でべとべとになっていたことに気付いた。分かってはいたけど、予想よりもずっと濡らしていたみたい。羞恥心で頬がかっと熱くなった。

 そんな状態で、下着の上から肉芽を擦られるのは耐え難いものだった。ただでさえ恥ずかしくて逃げ出したいのに、粘液に塗(まみ)れたざらざらの下着の感触でクリトリスを扱かれる。このままされているだけで、達してしまいそうなほど気持ち良かった。

「ッん! ……はッ……ぁ……んぅ……――あッ!」

 ユキの責めには全く容赦がない。指をぎゅっと秘所に押しつけ、抉るように私の肉芽を擦ってくる。

 まだほとんど時間も経ってないのに、呼吸は完全に乱され、意識は朦朧としてきていた。

「イキそう?」

 嫌な質問だ。前もそうだった。全部分かっていて、答えなければいけない状況で、その責め苦を緩めることなしに聞いてくる。こうやって身体に快楽の味を覚えさせながら、理性を少しずつそぎ落とすような問答を繰り返す。そうまでわかっているのに、どうしようもできない。せめてもの抵抗は、嬲られるままに声を上げないことくらい。息をとめて、嬌声を押し殺して、じっと与えられる快楽に耐えるだけ。そうでもしないと、私が保っていられなくなってしまいそうだから。

 布の上からぐりぐりとクリトリスを押さえつけられて、頭の中が次第に快楽で満たされてしまいそうだ。そうなってしまえば、もう私は抗うこともできない。

「まだ……はっ……う……平気、です」
「余裕があるみたいで責め甲斐があるよ。それじゃあもう一回指を舐めて。なるべく唾液を絡めるようにね」

 言うと彼女は私の口元に手を差し出し、しなやかで綺麗な指を唇に載せた。

「ん……」

 私が彼女の指を口に含んだら、思いもかけない声が聞こえた。聞いたこともないユキの艶めかしい声が、微かに、でも確かに聞こえた。彼女の指は私の口内を蹂躙し、私はそれを受け入れ、舌を絡めていた。まるで彼女に支配されているような、倒錯的な感覚に陥りそうだった。

「あむ……はふ……」

 唾液の粘性が高いのか、ちゅく、という酷く淫靡な水音が口から零れた。口から離れないユキの指を愛撫しながら、そっと彼女の顔を盗み見た。

 紅潮した頬に、潤んだように見える瞳。彼女の端正な顔は艶美に彩られ、普段よりもずっと色っぽく見えた。

 ユキと目があった刹那、トクンと心臓の音が聞こえた。まるで――に落ちたみたいに、その刹那見つめ合う。でも咄嗟に過ぎったその単語を、私は塗りつぶした。だってきっとそれは、望んではいけないものだと思ったから。何か痛んだ気がしたけれど、麻痺した痛覚は、その出所を教えてくれない。

 私の口から引き抜かれた彼女の指に、糸が引いている。ユキは妖しく艶やかに笑って、その指をぺろりと舐めた。なんて淫らな光景だろう。こんな綺麗な人が、こちらまで伝染するほど興奮しているのが、手にとるように分かった。

 彼女の手がショーツの中に潜り、刺激されて充血したクリトリスを二本の指で挟まれた。
唾液と愛液を潤滑剤に、それは繊細に私を責め立てる。

「っん……! っ――あ……」

 両の指で左右からそっと肉芽を擦られる。挟んで摘まれ、ちょっとだけ引っ張られる。交互に根本から擦りあげられる。皮を剥かれ、優しく扱かれる。分かるだけでそれくらいの責め苦。その動作を私が刺激に慣れないように、ランダムに切り替えられる。

「ん――っ!! っく……あぅ……ん……はぁっ!」

 声を我慢するのも辛くなってきた。息を止めて、必死に声を出さないようにしてたけど、もうそれも限界。酸素を求めて息を吸おうと思うと、自然と嬌声が漏れてしまう。乱れた呼吸すら、熱っぽく漏れていく。自分が感じているのが、嫌というほど分かってしまう。

 ぞくぞくと蓄積されていく快楽に、もう私の身体は抗えそうになかった。昨晩刻みつけられた絶頂の感覚は鮮明に覚えている。それが近づいているのも、もうはっきりと自覚できる。

 そんな時、震える身体を苛んでいたユキの指が、不意に止まった。

「はっ……はー……はー……」

 気付いたら肩で息をしてしまっている。昨日よりも今日はずっと敏感だ。触られると、自分でも信じられないくらい感じてしまう。

「どう……したん、ですか?」
「あんまり気持ち良さそうだったから、よく見ていたくて」
「そんな、」
「最後までして欲しかった?」
「そういうわけじゃ……」
「そうかな? まぁいいよ。じゃあそれも脱いで」
「……はい」

 一糸纏わぬ姿にさせられた。身につけているものは、ユキに掛けられた漆黒の首輪だけ。じっとユキに見られるのが恥ずかしくて、両腕を抱えるように前を隠した。

「そういう恥じらいも可愛いよ。でももう少しこっちにおいで」
「私だけ裸なんてずるくないですか?」
「そうね。私も脱ごうか。素肌で抱くと気持ちいいし」

 そう言うとユキはあっさりとショーツ以外を脱ぎ捨てた。白磁のような白い肌は、ほんのり上気していて、ひどく蠱惑的だと思った。そんな姿のまま、彼女は再度私を手招く。

 招かれるまま、私は彼女の横に寝転がった。きゅっと肩を抱かれ、肌が触れると、なんだか今までよりもずっと近くにユキを感じた。素肌で抱くと気持ちいいと言っていたユキの言葉も、今なら良くわかる。それはとても甘い優しさに満ちていた。

 そのままバードキスを一度だけされた。でもそれじゃあ寂しくて。

「もっと……」

 気付いたら、口に出してしまっていた。

「ん?」
「あ、いえ! 違うんです、今のは……」
「キス?」
「…………」

 気付いたら私から求めてしまっていた。だけど、肯定はしたくない。一度求めてしまえば、それからはもう、歯止めが効く自信がない。

 でもユキはそれを許してくれない。私の顎を掴んで、挑発するような言葉で誘う。

「して欲しいの?」
「…………」

 答えに窮していたら、リードを以て首輪を引っ張られた。その存在が、私が彼女のものだということを、否応無しに教示する。元々私の自由意思はないのだ。

 だから私は頷いてしまう。

「言葉にして」
「キス……してください」

 目を閉じた。すぐにユキの唇が、私の唇に触れた。暖かくて、柔らかくて、気持ち良かった。

 ユキの舌がゆっくり私の口内に入ってくる。舌を自ら絡めた。ユキの熱っぽい吐息を、直接吸い込んでしまう。それが、絡まる唾液の水音が、温かい口内の感触が、私の身体の芯に心地よい微熱を生む。

 ユキの手が下半身に伸びて、指が一本、ずるりと私のナカに入り込んできた。胸ともクリトリスとも違う、独特の性感を感じた。胸ほどもどかしくはないが、クリトリスほど鋭角的な感じじゃない。指を出し入れされると、重く響くような性感が堆積されていく。

「凄いね。ジュンのココ、とろとろになってる」

 ユキが揶揄するような声で言う。その声音は嬉しそうだけど、日頃よりずっと嗜虐的な響きがある。そんな言葉も責めの一つだろう。羞恥心を煽って、思考を鈍化させ、彼女の主導権をより確実にしてしまう。

 ユキの指が、膣の内壁を擦りながら、何度も何度も挿入される。初めはそんなに強い性感じゃなかった。でも幾度も繰り返される内に、それは確かな快楽として私の中に育っていった。

 クリトリスで与えられる刺激は良くも悪くも刹那的だ。すぐに感じてしまうけど、すぐにその波は引いていく。でも膣で感じる快楽は、ずんと私の中に滞る。その上にさらに次の快楽が積み重なっていく。

「ふっ……は……ん……」

 指を入れられると、ぞくっと性感の杭を打ち込まれる。抜くときに指で膣壁を擦られると、また一つ杭が。もうさっきから何十回と繰り返されている。その度に、ぞくっ、ぞくっと、快楽の水位が上がっていく。その水位は下がらないし、その緩やかで、けれども終わりのない責めから逃れる手段はない。

「――っ! ……んっ! ……っく……あっ」

 ユキは私を見つめたまま、その手の往復運動を繰り返すだけだ。私の秘所からくちゅくちゅと淫靡な音を立てて。

 私の愛液でべとべとになった指が、ちょっとペースを上げた。押しつけられた手の平で、クリトリスも刺激される。鈍痛のような甘い刺激の中に、刺すような快楽が混じる。

「っつ……っん!! ……だめ……んっ、は……これ……」
「いい顔になってきたね」

 サディスティックな笑顔を浮かべて、ユキが囁く。

 快感の水位は上昇し続け、もう気を抜けば達してしまいそうだった。一度上げられたペースは、それ以降変わっていないが、留まり続ける快楽なら十分過ぎる追い込みだ。その上、今は一番敏感な箇所も往復の度に刺激されている。

「あっ――っく! ……んんっ!!」

 ダメ。もう無理……! 気持ち良すぎて……!

「んっ! っや……ああ!」

 頭の中が徐々に快楽で満たされて、何も考えられなくなっていく。

「イッちゃ……イ……くぅ……!」

 だからもう、駈上って来るその衝動に押し流されるだけ。

「あ……あ、あ、……っやああ――!!!」

 ユキに抱かれながら、身体が何度も跳ねた。頭が真っ白になって、気持ちいいということしか分からなかった。彼女の腕の中は暖かくて、絶頂が去ったあとは、ずっとそこにいたい気持ちになった。

 ユキが私の髪を梳くように、柔らかく頭を撫でてくれる。彼女の横で余韻に浸っているのは、どうしようもないほど心地良い。依存してしまいそうだ。

「良かった?」
「……はい」
「そう」

 ユキは満足そうに優しく微笑んだ。さっきまであんな顔をしてたのに、もうこれだ。卑怯だと思う。ずるい。そんな顔をされたら、私は首輪を外された時、文句の一つも言えない。

「ジュン」
「なんですか?」
「私も、切ないんだ。シてくれないかな?」

 前言を撤回したい。ずるいとかじゃなく反則だと思う。そんな色っぽい表情で迫ってきたら断れるはずない。しかも命令出来る立場にありながら、あえて疑問形で聞いてくる。まるで自分がどこまで望んでもいいのか、測りかねるみたいに。

 脳裏に、指を口に含んだ時の、ユキの表情が浮かんだ。「ん……」と彼女の口から漏れた声は、どれほど艶めかしかったことか、忘れるはずもない。

「ええ、仰せのままに。お嬢様」

 この首輪が付けられている限り、私はユキのもの。だから、あなたの望むままにする。

 鼓動が高鳴る。その理由には目を背けた。

       

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Neetsha