Neetel Inside 文芸新都
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アイドル下克上!
下克上その二

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今日の仕事はケツ丸出しだった。いや、丸出しは言い過ぎか。ケツの面積3/4くらいが露出していたと言えば適正だろうか。
私、小山内香織が華々しく事務所所属のアイドルとなったのはほんの数ヶ月前の事だ。
デビューするまで、そもそも芸能界というものに全く興味が無かった私は、
事務所に所属すればゴロゴロ仕事が入ってきて、ジャンジャン金を稼げて、
即座にCDデビュー、オリコンチャートを賑わす、写真集が出てバラエティに呼ばれる…
そんなシンデレラストーリーが実際にあるものだと思っていた。

……いや、自分がそこまでうまくいくとは思って無かったけど、
もしかしたら私もシンデレラになれるかもしれないとどこかで思っていた。
まさかここまでうまくいかないとは、正直思っていなかった。
今のアイドル業界の厳しさを、身をもって知った。

「君は17歳現役女子高生、Gカップブサカワアイドルとして売り出していくから。そのつもりでね」
初めて会ったマネージャーに開口一番にそう言われた時の私は、
真夏のアスファルトの上でカラカラに乾燥したウンコを踏みそうになった時の様な表情をしていたと思う。
17歳現役女子高生まではいい。Dカップという現実をGカップと詐称したのも……まぁいい。
でもなんだブサカワって。ブサカワってなんだ。
私の怪訝な表情に気付いたのか、前川と名乗るマネージャーの男はこう続けた。
「いや、今ブサカワって需要あるからね?君みたいにまだド素人だと理解出来ないかもしれないけど、
完全に整っちゃったモデル系美人より、手の届きそうな一般人系がウケるのよ、今は。
ブサカワっていうのも、ロリカワ、正統派美人とかと同じで売りになるジャンルの呼称なの。
だから、不細工とかそういう意味じゃないから誤解しないで」

何が誤解しないでだ。誤解も何も、前川は遠回しに私が不細工ということを肯定しているじゃないか。
手の届きそうな一般人系ってつまり、私は美人じゃないと。
ロリカワでも正統派美人でも売る事が出来ないから、不細工に無理矢理可愛いをつけてブサカワで売り出そうと。

自分が美人じゃないのは、17年間で実感して生きてきたつもりだった。
でも、「原宿でアイドルにスカウトされる」なんて事が自分の身に起こったから、
”私は自分を可愛いと認識していなかっただけで、本当はすっごく可愛かったんじゃないか!?”
そんな気分になっていたんだ。

       

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