Neetel Inside 文芸新都
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くじで出たお題で小説書こうぜ企画
reverse/Re:birth/53

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reverse (逆・反対・裏・裏面・不運・失敗・逆転・もんじゃ焼き製造(ゲロですね)/Re:birth/53

 本当に失敗だ、失敗以外の何物でもない。妊娠検査薬の印を見ながら私は頭を左手で抱えた。陽性を示すそれは、嬉しい気持ちよりも切ない気持ちを湧き起こす。申し訳無いが貴方の事は誰も望んでいないのよと思ったけれど、もう仕方ない責任をとってもらおうと心に決めた。母は強しだ。生む事は反対されるだろうけれど生んでやる。堕胎なんて許すものか。その後彼に妊娠を告げると、彼氏は驚いた顔をした後に決心したような顔をして、わかりましたと言った。全部わかってくれるのなら良いのだけれど、何を了承したのだろうと笑いたくなる気持ちを堪える。自分の未来の道が一つ決まったことを悟った。破滅の道でないことを願いたいのだけど、きっと難儀な道だ。きっと私よりこの子が。それでも、私は私を生み直してやる。
 それからしばらくして彼とはデートをして、チェーンのコーヒーショップに入った。投げやりとなった私の開き直り具合は中々のものだ。彼は私の左手に光る指輪を見て、一瞬苦虫を噛み潰したような顔をした。私はそれを気にする事なく、いや、見ていないようにその手でカップを掴んで口に運んだ。重量感があって甘すぎるコーヒーは喉や食道を通って胃に入る様子が手に取ってわかる。何故そんな顔をするのか、私がもう身を固めたのは了承しているはずだ。最近の私は酷く不感症で不干渉だ。彼は寸劇のように私の左手を握って、好きですリコさんと呟いた。そんな事わかっていますと答えたかったけれど、にっこりと笑っておいた。笑ってさえおけば男は大抵好意的に解釈してくれることがこの年になるとわかってきた。案外世の中は適当にやれば生きていける、馬鹿相手であれば。急に今飲んだコーヒーが胃から食道を逆流してきた。口元を押さえると急いでお手洗いに駆け込んだ。便器に胃の内容物を嘔吐すると、気持ち悪さがさらにこみ上げた。ああ、とぞくっとした。そんなわかり易い方法なんてとらなくていい、私はわかっているよとお腹を見つめた。洗面台で手と口をゆすいでペーパーで顔を綺麗に直すと何も無かったように席に戻る。ごめんなさいと言うと、彼は体調悪いんですか?大丈夫ですか?帰りましょうとカップを片付けに入った。その店は彼に支えられながら後にした。
 浮ついていながらも、身が固まってしまった今となっては、生活は酷く平坦で色褪せたものだ。左手の薬指にそれ相応のお値段のする指輪をはめて、あんなつまらない男の女だと世界中に証明する。ただ、寿退社を強制はされず、共働きは認めてもらった。認めて貰うって表現も不愉快だけれど。そんな時に彼に出会った。会社の飲み会で行った居酒屋のようなダイニングバーでトイレの前で蹲っていて声をかけた。完全に壁に身体を預けてスニーカーの裏面がこちらから見えるように体育座りをしている。こちらを見上げた顔は顔色が悪く涎も垂れていて一瞬引いたが、顔は好みで大丈夫ですかと背中を撫でた。その後私も酔いが回っていたのもあって、刺激の無い生活に嫌気が指し始めていたのもあって、彼を出口で待たせて飲み会を抜け出した。介抱と称して彼の家に上がりこんだ。指輪は運んでいる途中で引き抜こうと思ったけど彼の身体が想像より重くて私も余裕が無かった。何て軽い女、どうしようもない女、と思いながら介抱をした後に抱かれた。前戯にかける時間の長さと丁寧さに以前の私なら絶対キープをかけるのにと思った。出会った時期が不運だ、もういい、存分に中出しすればいい。久しぶりに何度も達して先に外泊するとメールしておいた自分に感謝して彼の頭を抱いた。酒のせいにすればいい、何もかもただの遊びだ。この年では酒をどの程度飲めばどうなるのか把握出来るのに見え透いた嘘で自分を正当化する。
 結婚式の日は快晴で良い門出になるねと私は晴れない心で笑いかけた。彼は私と同じ笑顔を私に向けた。私のウェディングドレス姿を見て、とても綺麗ですねと言った時と同じ顔で。私も形式通り彼のタキシードを褒めておいた。第一歩目から仮面夫婦みたいと小さな溜息をついて締め付けられて少し痛いお腹を触った。三十路間近で彼氏と駆け込むように結婚することになった私は友達から大逆転だねとお祝いを受けた。大逆転。ああ、そう、結婚が成功すればねと毒づきながら友達を凍らせたのはいい思い出だ。じゃあ僕行きますねリコさんと彼は私を置いて部屋を出て行った。こういう時は頬にキスでもしておくものじゃないのかしらと、裏の顔を隠して私は手を振った。何のためにメイクさんなんかが席を外してくれていると思っているのかしら鈍感。私は神に愛を誓う前にブーケトスを全力で投げることを誓った。結婚式すらストレス発散に使おうとしているなんてお笑い種だ。



さて、段落ごとにリバースしてみましょうか。
お話が豹変出来ていれば幸いです。以下、どうぞ。



 結婚式の日は快晴で良い門出になるねと私は晴れない心で笑いかけた。彼は私と同じ笑顔を私に向けた。私のウェディングドレス姿を見て、とても綺麗ですねと言った時と同じ顔で。私も形式通り彼のタキシードを褒めておいた。第一歩目から仮面夫婦みたいと小さな溜息をついて締め付けられて少し痛いお腹を触った。三十路間近で彼氏と駆け込むように結婚することになった私は友達から大逆転だねとお祝いを受けた。大逆転。ああ、そう、結婚が成功すればねと毒づきながら友達を凍らせたのはいい思い出だ。じゃあ僕行きますねリコさんと彼は私を置いて部屋を出て行った。こういう時は頬にキスでもしておくものじゃないのかしらと、裏の顔を隠して私は手を振った。何のためにメイクさんなんかが席を外してくれていると思っているのかしら鈍感。私は神に愛を誓う前にブーケトスを全力で投げることを誓った。結婚式すらストレス発散に使おうとしているなんてお笑い種だ。
 浮ついていながらも、身が固まってしまった今となっては、生活は酷く平坦で色褪せたものだ。左手の薬指にそれ相応のお値段のする指輪をはめて、あんなつまらない男の女だと世界中に証明する。ただ、寿退社を強制はされず、共働きは認めてもらった。認めて貰うって表現も不愉快だけれど。そんな時に彼に出会った。会社の飲み会で行った居酒屋のようなダイニングバーでトイレの前で蹲っていて声をかけた。完全に壁に身体を預けてスニーカーの裏面がこちらから見えるように体育座りをしている。こちらを見上げた顔は顔色が悪く涎も垂れていて一瞬引いたが、顔は好みで大丈夫ですかと背中を撫でた。その後私も酔いが回っていたのもあって、刺激の無い生活に嫌気が指し始めていたのもあって、彼を出口で待たせて飲み会を抜け出した。介抱と称して彼の家に上がりこんだ。指輪は運んでいる途中で引き抜こうと思ったけど彼の身体が想像より重くて私も余裕が無かった。何て軽い女、どうしようもない女、と思いながら介抱をした後に抱かれた。前戯にかける時間の長さと丁寧さに以前の私なら絶対キープをかけるのにと思った。出会った時期が不運だ、もういい、存分に中出しすればいい。久しぶりに何度も達して先に外泊するとメールしておいた自分に感謝して彼の頭を抱いた。酒のせいにすればいい、何もかもただの遊びだ。この年では酒をどの程度飲めばどうなるのか把握出来るのに見え透いた嘘で自分を正当化する。
 それからしばらくして彼とはデートをして、チェーンのコーヒーショップに入った。投げやりとなった私の開き直り具合は中々のものだ。彼は私の左手に光る指輪を見て、一瞬苦虫を噛み潰したような顔をした。私はそれを気にする事なく、いや、見ていないようにその手でカップを掴んで口に運んだ。重量感があって甘すぎるコーヒーは喉や食道を通って胃に入る様子が手に取ってわかる。何故そんな顔をするのか、私がもう身を固めたのは了承しているはずだ。最近の私は酷く不感症で不干渉だ。彼は寸劇のように私の左手を握って、好きですリコさんと呟いた。そんな事わかっていますと答えたかったけれど、にっこりと笑っておいた。笑ってさえおけば男は大抵好意的に解釈してくれることがこの年になるとわかってきた。案外世の中は適当にやれば生きていける、馬鹿相手であれば。急に今飲んだコーヒーが胃から食道を逆流してきた。口元を押さえると急いでお手洗いに駆け込んだ。便器に胃の内容物を嘔吐すると、気持ち悪さがさらにこみ上げた。ああ、とぞくっとした。そんなわかり易い方法なんてとらなくていい、私はわかっているよとお腹を見つめた。洗面台で手と口をゆすいでペーパーで顔を綺麗に直すと何も無かったように席に戻る。ごめんなさいと言うと、彼は体調悪いんですか?大丈夫ですか?帰りましょうとカップを片付けに入った。その店は彼に支えられながら後にした。
 本当に失敗だ、失敗以外の何物でもない。妊娠検査薬の印を見ながら私は頭を左手で抱えた。陽性を示すそれは、嬉しい気持ちよりも切ない気持ちを湧き起こす。申し訳無いが貴方の事は誰も望んでいないのよと思ったけれど、もう仕方ない責任をとってもらおうと心に決めた。母は強しだ。生む事は反対されるだろうけれど生んでやる。堕胎なんて許すものか。その後彼に妊娠を告げると、彼氏は驚いた顔をした後に決心したような顔をして、わかりましたと言った。全部わかってくれるのなら良いのだけれど、何を了承したのだろうと笑いたくなる気持ちを堪える。自分の未来の道が一つ決まったことを悟った。破滅の道でないことを願いたいのだけど、きっと難儀な道だ。きっと私よりこの子が。それでも、私は私を生み直してやる。


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以上です。読んで下さってありがとうございます。
リバースと聞いて某結婚前後のコピペを思い出しました。
しかし、色々無理がありました……。

       

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