Neetel Inside ニートノベル
表紙

ストライクボッチーズ
俺と薬師丸朱音の関係は月とボルボックス

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俺の通う高校、公立新都高校は県内有数の進学校だそうで、OB・OGの中には東大に行った人も少なくないとか。
と言ってもそれ程のレベルに達している奴は通称「どMクラス」と呼ばれる趣味が受験勉強みたいな「特進科」出身者ばかりで、補欠合格という恥の極みで入学したような俺のブレインを含む生徒は「普通科」出身が殆どな訳で。
まぁ、それでも普通科の半分以上は一般人なら誰でも知ってるような有名私立・公立校に行くらしいけどね。
進学校というだけで高校というのは人気校になるものだが、新都高校はそれ以外にも更に2つの人気の要素がある。
その内の1つには制服がある。
斬新な考え方を校風に掲げているこの学校はつい数年前に制服を全く新しい物に変える事を決定し、何とその制作を若者に人気な有名ブランドに依頼、その結果ファッションに疎い俺から見ても思わず「なん…だと…?」と言ってしまうようなおしゃれな制服が完成し、その凄さは雑誌にも取り上げられた程であった。
そしてもう1つの人気の秘訣は「スポーツ科」である。皆さんご存知スポーツが出来る奴専用の学科だ。
新都高校は勉学と同様にスポーツも盛んで、国内外から好成績を残してきた有名スポーツ選手を指導者として雇い、アスリートの育成にあたっているのだ。その熱の入れようはどのジャンルにおいても全国大会常連校となるレベル。
中にはニュースのスポーツコーナーで連日取り上げられるようなプロの選手も新都高校に通っているが故に『有名人に毎日会える!』『有名人と友達になれるかも!』などという何とも○ンカスみたいな理由で受験をしてくる奴が実は少なくないのだ。とか言って俺の受けた理由も家から近かったっていうチ○カスな理由なんだけどな!
それはともかく、何故俺がここまでダラダラ無意味に己の通う学校を紹介したかというと、現在の俺の不幸な状況には単にコミュ能力がうんち君という理由ノットオンリーバットオールソウこの学校体制にも大きく原因があると声を大にして言いたいからなのよ!だって考えてみ?このダブル要素で受験しようとか考える奴なんてどう考えたってコミュ能力が高いリア充しかいないじゃないですか!ぼっち族との差別化が尋常じゃない所まで来ちゃってますよ!
え?だったら他の学校に行けばよかっただろカスだって?引っ越してきたばかりの俺にそんな余裕あると思うなよ!
とりあえずネットとか本に偏差値高い進学校って書いてればそれでいいと思うだろうが!一見真面目学校に見えるだろうが!
ところが箱を開けてみればどうよ?とんだパンドラの箱だよ!ミミックだよ!リア充の宝石箱やー!
しかも背が低い俺にはこのイケてる制服も着こなす所か制服に着さされちゃってるんだよ!制服負けしてんだよ!
もし高校を5段階評価出来るレビューサイトがあれば迷わず星0だね、アク禁食らうまで荒らしてやんよ。

――とまぁ、新都高校の闇を長々と語った訳であるが、そんな糞高校に対する不満も恐らく今日限りで収まるだろう。
それもあと1時間でな!いつもならこの時点でgkbrしてる所だが今はwktkしかせんとはな……。
口がニヤけが止められそうにないぜ……いや、もう止まっていないか?全く、上の口は正直だな……。
そして今確実に隣の女子にゴミを見るような眼で見られた気がしたけど今はその眼差しすら快感にしかならんな……。
…………って、あれ?もしかして俺ってスパンキングされて喜ぶようなタイプだったの?
そうか……そういえば俺の見てる奴っていつも男が女の足を舐m……ってあれ?もうチャイム鳴ってね?
だがその瞬間には俺の左手は弁当箱を握り終えており、チャイムが鳴り終わる頃には俺は廊下に立っていたのだ。
恐らく誰も気づかなかったであろう……、そのあまりの鮮やかで迅速な消失に今日俺が学校に来ていたかどうかすら怪しくなってるだろう……。
……え?そんなの誰も最初から考えてもいる訳ないだろ、だって?ははは、それ以上言ったら俺泣くからな。
そんなくだらない嘘を言ってる内にもう我が楽園についてしまったではないか、おっと、鍵まで開いてしまった。
――さて、我が楽園とはいえ今日から2年はお世話になるのだからな、一応入る時に挨拶でもしておくか、なんて☆
「おじゃましまーす☆」
「邪魔するなら帰って」
「失礼しましたー☆」
……って、は?
今確実に人がいましたよね?
動物界・脊索動物門・脊椎動物亜門・哺乳綱・サル目(霊長目)・真猿亜目・狭鼻下目・ヒト上科・ヒト科・ヒト属・ヒト種がいましたよね?
しかもまさかの新喜劇のノリで軽くあしらわれましたよね?
いや、それ以上にまさか俺よりも先にこの教室に辿り着いた者がいたというのか……
それもこのピッキングマスター藤原より早いスピードで鍵を解除していたというのか……!化物め……!
だが俺はここで引き下がる訳にはいかない……善悪の知識の木の実食べたイヴを追放するのだ!
そう意気込んでもう一度扉を開けるとそこにはやはり女が本を読んでいた。
ていうか座敷童子みたいな奴がいた。俺より背が高いというオプション付きで。
「おい!そこの座敷童子!ここは俺n「黙れグロメン」」
おいマジか……キモメンという自覚なら確かにあったが、ついにグロメンにまで到達していっていうのか……!心が折れそうだ……。
だが俺にだって絶対負けられない戦いがあるんだ……!立ち食い便所飯だけは……アカン……!

「すいません、ここでお昼ご飯を食べさせてもらってもよろしいでしょうか」

     

座視童子には諸説あるが主な特徴といえば見た目は5歳ぐらいの幼女で、おかっぱ頭に赤色の和服、悪戯好きという面もあるが一般的には座視童子を見た者には幸運が訪れる、という所謂家の福の神的な存在として認知されているのではなかろうか。
だが今俺の目の前にいるこの薬師丸朱音という名を持つ座視童子は見た目こそ最近まで流行したボブカットというおかっぱ頭に近い髪形に、165cmの俺より確実に5cmは高い身長、更に俺の巨乳レーダーが高レベル反応を示す程の豊満なお胸、顔面の方ももしAKB48にいれば全世界のオシメンの元気(金)を貰った現金玉で一瞬でセンターを取れるであろう、まさに座視童子の現代版にして大人版のような中々の外見なのであるが、キャラの方に関して言わせて頂くと、まぁとにかく口が悪い、それはもう絶対友達いないだろって勢いで口が悪い、つまり言ってしまえばこのドMさを職業に出来る段階にまでいる俺の心が折れそうになるレベルで口が悪い。仮にこいつとSMプレイをする事になったとしたら『足を嘗めろ』って差し出された足に何故か剣山がついていて、気づいた時には顔面が蓮コラみたいになっていると断言したい。
「心配しなくてもオタマロとシンボラーを足して2で割ったような顔面をしてるあなたと如何わしい行為になるなんて神が許さなくても私が許さないから。」
「おい待て、確かに今回の新作ポケモンは子供がドン引きしそうな明らかにキモいキャラが多いが、もし俺が本当にそんな顔だったら道歩くだけで子供が泣き喚いて、青い制服を着たお友達がたくさん出来てしまうだろうが」
あとストーリーの方も全国のJS・DS諸君にはちょっと難しい気がする。
「あら、友達いないんだから丁度いいじゃない。……もしかして不満だって言うの?人は見かけで判断したらいけないのよ?そんなゴミクズみたいな性格だから友達が出来ないのよ」
「まさか初っ端からその次元で言いたい放題言われるとは思わなかったわ」
大体それ以前に地の文に対してつっこみ入れてくるってどう考えてもおかしいだろ、しかも『神が許さなくても』の時点で俺の存在が許されてないよね?
「さっきから俺のガラスのハートを蟻を分解する子供みたいなノリで踏みにじってくれてる所悪いがそういうお前だって友達いないんじゃないのか?ここを根城にしようとしている時点でそうとしか思えないな、所詮同じぼっち一族なのにどう考えても人の事言えないだろ」
「とりあえずそのぼっち一族とかいうのが厨二病にもなりきれてないあまりに痛々しい粉砕骨折レベルの発言って事に気づいてもらえないかしら?聞いてて恥ずかしいを通り越して聞いてて中耳炎と外耳炎を併発しそうだから」
(朱音ェ……)
「生憎だけど私の場合、あなたと違って望まずして1人になったんじゃなくて自ら望んで1人になったのよ、一瞬聞いたら同じ意味に聞こえなくもないけど、それはもう夜の公園で強姦魔に襲われて服を無理矢理脱がされてしまうのと、夜の公園で服を脱いで全裸で正座している事ぐらい大きく意味合いが違うのよ?」
「よく分からないけどとりあえずお前は草○さんに謝っておいた方がいい気がする。」
そして全国のファンの皆さんごめんなさい。
「私からすれば人付き合いなんてものは間接的な関係性さえあればそれで十分なの、友達だの仲間だのそういった直接的な関係に得な事なんて一つもないわ、百害あって一利なし、よ。」
「……」
ぼっちなんて大概は俺みたいな本当は友達が欲しいけど複雑な事情で孤立してる奴ばかりと思っていたけど、馴れ合いという根本的な部分から嫌う奴だっているのか……。
やっぱりそういうのっていじめとか裏切りとかがきっかけになっていたりするものなんだろうか、仮にそうなら人間不信に陥って、そういう考えになるのは分からなくはないけど……。
ただ俺ってぼっちになるまでは人生無難に生きてきた方だからそういうのってあまり経験した事ないからなぁ……、まぁ、唯一あるとしたら春期先輩にmixi招待してやるって言われて付いて行ったら気づいたら2chやってた事ぐらいかな……。

……ていうかさっきからずっと不思議と言いますかね、疑問に思ってた事があるんですけどね、いやね?俺からそれば凄く都合のいい事なんですけどね?寧ろありがたいといいますか。
ただですね?これっておかしいと言いますか、もしこれが現実に起こっているとするなら富○先生が話も絵のクオリティも一切下げずに連載を3年続けるぐらいあり得ない事に……って、え?もう読者も薄々気づいてるからとっとと言えって?じゃあはっきり言わせて頂きますけど。

何で俺さっきから普通に女の子と話せてんの?

いや確かに会話と言えるような会話はしてませんよ?会話のキャッチボールしてる相手って実はダルビッシュなんじゃね?っていうぐらい毎回えげつない変化球しか飛んできませんよ?
でも普通コミュ不足な俺達ボッチーズはですね、男ならまだしも女の子から会話のボールが投げられでもしたらですね、興奮してる間にボールが顔面にクリティカルヒットして「デュフwww」ってなって、相手ドン引き、はい終了ですよ?
まぁ心配しなくてもボール来ないですけどね、寧ろ砲弾飛んできますけどね。
しかも俺序盤で『女は皆タイラントだ(キリッ』みたいな事言ってますよ?設定崩壊早過ぎじゃね?
……え?そんなの大人の都合でどうにでもなるだろ、だと……?
ふふっ、成程確かに言われてみればそうだな、大体この手の事は多くの漫画や小説でもよくある手法だしな、それどころか暗黙の了解なのが当たり前なぐらいだ。
それにこのまま俺が何も喋れない設定だったらそれこそただのコミュ不足のガキが女の子の前で黙々と飯を食うだけの鬼シュールな話になってしまうしな、う○この方がまだマシな演技してしまう事態になってしまう所だったぜ。全く、大人ってズルいなぁ。
そうと決まればありがたく素晴らしきSM会話を続行させて貰うとしようか……って、ん?
「……」
彼女はいない――と、そして時計は――13時35分……か、授業開始時刻は――13時30分、でもチャイムは――あぁ、そういえば今日は機材の点検とかで鳴らないんだっけ――。

結末は言うまでもなかろう。

     

『6月といえば?』
と質問すれば大抵の人はジメジメとした湿気が鬱陶しい梅雨や、企業戦略臭がドリアン並に臭いJune Brideを連想したりするのではないだろうか。
俺からすれば幸せな結婚生活など所詮婚約者同士のさじ加減だというのに何を好き好んで企業主導のフォークダンスを踊りながらこんな糞蒸し暑い時期に結婚式を挙げねばならんのだ、と言いたい所だが、まぁ当の本人様達がそれで満足していらっしゃるのであれば個人のご意見とやらを尊重して一々首を突っ込むなんて野暮な真似なんてするべきじゃないのですけどね。
――と、順調に魔法使いに近づいてるこの私めが講釈を垂れた訳ですが、今頃全国のリア充カップル共は俺を指さしてpgrしている頃だろう。イオナズン覚えたら覚えとけよ。

それはさておき、実はこの質問。新都高校の生徒にすると変わった返答をするのだ。

『6月といえば?そりゃ世紀末――いや、期末テスト――かな』



6月末。
俺は現国・古典・漢文・数学Ⅱ・数学B・英語・世界史・現代社会・生物の教科書達に見下されながらこのセルロースの塊が突然謎の光と共に擬人化しだして『そんな問題も出来ないの!?理解しようと勉強しないからいつまでたってもあんたは馬鹿なのよ!』とテンプレを忠実に描いたようなツンデレっ娘に生足で頭を踏まれ、罵られながらもテストのヤマを教えてくれるという奇蹟が起きねぇかなぁという妄想、というかただの現実逃避に99割の力を注ぎながら明日始まる世紀末テストに向けての試験勉強を半泣き、っていうかほぼ泣きながらやっていた。
世紀末テストいうのは単に一学期の期末テストの事なのであるが、新都高校の生徒はとある理由からこのテストに対し敬意を込めて『世紀末テスト』と呼んでいる。
その理由は名前からもう気づいた人もいると思うが新都高校の期末テストは色んな意味で終わっているからだ。どれ程終わっているかというと、元気玉で確実に死んだと思っていたフリーザ様が生きている事に気付いた時のあの絶望に満ちた顔をしていたクリリンの精神状態ぐらい。
その特徴としては問題の難易度は言わずもがな、恐ろしきはこれら全教科を一日で終わらすという鬼畜行為から始まり、テスト毎の休憩時間は昼休みを除いて通常の10分というブラックっぷりが挙げられよう。これだけでも我らオチラー(落ちこぼれ)のライフは0だというのに、極めつけはテスト範囲の発表がまさかの3日前という失禁しようとしたら尿道縛られる勢いの拷問プレイなのである。もうライフが逆限界突破しちゃいましたよ杏子さん。
勿論これは学校側からすれば日頃から勉強する事を習慣づける為に意図的にしているのは明白なのであるが、オチラーからすれば日頃はゲーム、テスト期間は昼からゲームなのである。
まぁ真のオチラーであれば授業までもバックれるのが至極当然なのでしょうけどね、心も息子も短小な俺は規則には従順なのでございます。オトン コワイ。
1年時は男の定番3徹する事によって欠点をギリギリの所で免れたのであるが、今回は尖○諸島の衝突事件レベルに深刻な妨害を受けてしまったが故に拘束している内に前日まで何一つ手を付けていなかったのであるツタージャは俺の嫁。
故に午前授業が終了してからかれこれ3時間と20分、完全なる文系脳を持つ俺は数学に差し掛かった所で歩む事を止め、考える事も止め、息をする事さえ止め、憂ちゃんが『お兄ちゃん大丈夫!?』と言って俺の元に駆けつけ、勉強を教えてくれるのを待っているという訳だ。
「キモさも底を抜けると犯罪になるのね」
「待て、確かにこのキモさは公然猥褻で捕まっても言い訳出来ない気がするが、想像の段階に止まっているのだからどう考えても未遂――、って、あ、待って!携帯は取り出さないでください!すいません!申し訳ありませんでした!もう二度とキモい妄想しません!許してください!」
ていうかいつの間に心を読む能力がデフォになってるんだよ……、こいつとずっと一緒にいたら人生のレールの終着駅は出家な気がするわ。
――っていやいやいや、何でこいつが失楽園にいるんだよ、俺が授業終わってすぐここに来た時にはいなかった筈だし、それ以前に午前授業なんだから、ぼっちならぼっちらしく終わったらハウスへ直帰だろJK。俺は帰ったら絶対ポケモンするからここでやってる訳だけど。
「借りていた本の返却日が今日なのよ、まだ読み終えてないから学校で読み終えて返そうと思ってここに来たらあなたがいただけよ、アヘ顔で涎垂らしながら妄想なんかしているから気付かなかっただけじゃないの」
『べっ、別にあんたがいると思って来た訳じゃないんだからね!』とか言うかなって3microぐらい思ったけど当然お面の方が否定されました。そんな顔してたら俺毎日職質攻めだわ。
「本ってお前明日からテストだぞ?いくら日頃から勉強してても高得点を取ろうと思ったら前日に読書なんてしてる余裕なんてないだろ……」
因みに難易度はMARCHと早慶の間ぐらい。結構意地悪な応用問題が多かったりもするので半端な勉強で挑んでしまうと下手すれば勉強してない奴より点が下がる可能性もある程なのだ。
「私をそこらにいる『俺全く勉強してないわー』とかいいながらちゃっかりそれなりにいい点数を取ってくる程度の奴らと一緒にしないでもらえるかしら、しかもそれをあなたになんか心配されるなんてショックのあまり明日のテストで全教科満点を取ってしまうじゃない」
じゃあ問題無いだろが。
にしてもこいつ典型的な勉強出来るキャラなのは分かってたけど、それ以上って事は普通に学年TOP3ぐらいに入る実力があったりするのか?まぁ証拠はないから信用は出来ないが……。
それにしてもよく本を読むのは知ってたけど、一体どんな種類の本読んでるんだ?
えーっと……え……Ernest Hemingway?外国人作家か、して作品名は……A Farewell to Arms?武器って事は何か戦争関係の本か?結構歴史好きだったりするのか、……って、ちょっと待て、普通外国人作家の本なら翻訳した作品名が書いてある筈だよな……つまり普通は日本語が書いてある筈なんですけど……どう見ても英語しか書いてませんよね……。Oh…
「薬師丸先生、この不才なる私めにどうか勉強を教えてください」
「死ね、氏ねじゃなくて死ね」
これ以降あるとしたらヤクザの組長の一人娘に手を出した事がバレた時しかないだろうと思うぐらいもはや芸術とも取れる可憐な土下座を机の上でしたら頭部との距離約1mmの所にカッターナイフが突き刺されて死ねって言われました。いや、流石にMでも死は快感になりませんよ?
「頼む!俺このテストで欠点を取ったら留年にかなり近づいてしまうんだ!全部じゃなくてもいい!英語と数Ⅱと数Bと古典と漢文と生物を教えて頂いたら残りは何とか自力でやるから!」
「まさかほぼ全部じゃないっていう突っ込みが出来ない微妙な教科数を言ってくるとは思わなかったわ。まぁ、そんな中途半端なボケをした所で状況は変化しないけど」
じゃあ最高に面白いボケをしたら勉強教えてくれるの!?って言おうとしたけど多分言った瞬間コンパス辺りで眼球がほじくられる気がしたから止めた。
「大体こんな無様な状態に陥るまで何もしてこなかったのはあなたの責任でしょ、普通の人なら真面目に授業受けて、予習・復習していればそれなりの点数は取れるものよ、まぁこの状態に至る事があなたの性癖と深く関わっているならこれ以上は何も言わないけど」
「お前は俺の性癖を拡大解釈し過ぎな気がする」タリバンでもそこまで教義を拡大解釈してないわ。
「確かに俺に責任があるのは当然分かってる。だけどお前は余裕があるんだろ?だったら少しぐらい勉強を教えてくれたっていいじゃないか、慈善活動だと思って頼む!」
人間って追いつめられると平気で屑発言するよな、紀元前からその事実に気づいていた荀子ってやっぱすげーな、って発言後に後悔しながら思ったり。
「やっぱり人ってそんなものよね、分かってた事だけど」
ずっと表情が無い彼女はそこでも一切変える事なく、当然そう呟くと隣の椅子に置いてあった鞄を肩にかけゆっくりと立ち上がる。
正直もうこの時俺の思考回路はぐちゃぐちゃだった。
あぁ、やっぱり俺ってこんな性格だから友達出来ないんだろうなぁとか、とりあえずこいつに謝らなきゃいけないとか、ここで帰られたら明日のテストが真剣に洒落にならないとか、孤独――とか。そんな状態だったからこそ俺の狂ってしまった脳内会議は1つの結論を下し――、その次の瞬間には彼女の腕を無意識に掴み――こう叫んでいた。
「お前の奴隷になるから!だから勉強教えてくれ!」
「……は?」

下僕とか手下とかいくらでも言い方はあった筈、いや、それ以前にもしかしたら別の解決方法があったのかもしれない、だけど仕方ない、俺はまだ自己中でMで単細胞なのだ。

       

表紙

山田真也 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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Neetsha