Neetel Inside 文芸新都
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新都社作家の小説の書き方アンソロ自慰
とある先生編/岩キノ

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 小説の書き方について、私のような猪口才作家が持論を云々かんぬん書き連ねたところで、ただ皆様のお目汚しになるばかりでしょう。
ええそうでしょう。どうせそうでしょう。嗚呼そうでございましょうよ。
 しかしながら私とて、一国の文豪集いし京の都にて人生のひと時を過ごした者でございます。彼らとの交流、それはそれは深かったと自負しております。
 彼らの赤きペンダコから知り得たディテールくらい、皆様にお話することぐらいはできるでしょう。
 
 その中でもこのたびは、実に類稀な才能の持ち主である一人の文藝作家に焦点をあて、その方の執筆作法をご紹介したいと思います。

 かつて絵画の世界に身を置きながらも、私がサロンにてこの方から受けた影響は数知れず。おそらく当時、自作の絵にもそれは表れていたことでしょう。
 例えば自分の絵画へ前衛性を問うため、京都大学レポートボックスから拝借した紙ぺらをキャンパスに貼り付け、見事輝ける単位Fを取得し、川端署にて業務妨害なる功績の特別勲章を授与された時はこの上ない栄光の瞬間でした。
 いえいえ、ここで私の絵画人生の一片はどうでもようございましたね。
 早速本題へ参ります。
 
 ではまず、希代の文豪とまで謳われるこの方を、以後それらしく先生と記しましょう。 
 
 先生は常々書する際、実に調和を重んじる方でした。
 その心はおそらく、いかなる小説も起承転結の調和によってその質を問われ、読者の満足を得ることができると考えておられたのでしょう。
 故にまずPCを起動する前には必ず作風にあわせ、ご自身で日本橋へコンデンサーを買いに行かれました。
 PCを使うからにはハードにも精通していなくてはいけません。これぞ正しき新時代の作家。日本橋アニメイトの店員は皆先生の読者です。
 また紙媒体を使用するに際しても、オゾンホール拡大を懸念し、ご自身の寝所にて散在する使用後の散り紙を漉き直し再利用なさるあり様。
 まさにその姿は地球に優しい文藝人。現代の作家はこうでなくてはいけません。南極ペンギンも先生の著書だけは愛読していると聞きます。

 他にも先生の小説作法へのこだわりはございます。

 非常に裕福なご家庭でお育ちになった先生。その生い立ちから毎日とても規則正しい生活を送っておられました。
 そうあることこそが傑作を生み出す条件であったようです。
 学生時代先生は毎朝規則正しくアルバイトに向かわれ、帰宅後必ずセカンドスリープをなさり、三時に大学付近のお食事処で重めのおやつを召されておいででした。それから出町柳界隈で軽くウォーキングをご堪能になった後、大学へ就寝の挨拶にむかわれ帰宅。
 その日常はいかにも京大生らしい学業を主体とした多忙極める秒刻み生活でした。
 どうやらこの規則正しきルーティンこそ、天才的文士としての本領を発揮させる要素であったと思われます。
 そんな先生ですので、小説をお書きになる前は決まって毎日基礎体温をつけておられました。
 私のような小者には計り知れませんが、おそらく先生には作品を産み出すための特殊なバイオリズムがおありになったのでしょう。オギノ式を採用なさっておられました。
 閉店間際の喫茶店で『たまごクラブ』を熟読なさっていた姿もよくお見かけしています。
 その時店員たちが放っていた先生への冷たい目線、今でも忘れられません。しかしそんな彼らも皆先生の読者です。
 その後先生はカレンダーに蛍光ペンで印を入れ(排卵期なのでしょうか)、ようやく執筆を開始なさっておられました。
そして今日、先生の作品は多くの人々の目に触れることにあいなっています。

 私のような未熟者が現在新都社にて小説を執筆するにあたり、この先生のように直向きな精神とこだわりの作法は実に学ぶ価値ありと認識しております。
 しかし、多くの優秀な新都作家の皆様にはごく当たり前で不要なことかと存じましたが、少しでもどなたかのお役に立てればと思いage更新に至りました。

 この度のご一読誠にありがとうございます。
 今後の文藝繁栄を心よりお祈りしつつ、ではこれにて。



 岩倉キノコより



       

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