Neetel Inside ニートノベル
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 ひさびさに棺を開けてみると懐かしい顔がある。腐敗などしない。とても不思議だ。死者は腐るはずなのに。俺がおかしくなったのか、何度もまばたきをして、いくつもの棺の中を覗き込んでみるが、誰一人として腐ってなどいない。腐っていてくれたらいい。腐って、見るに耐えず、すべて夢だったと肩を落として捨て台詞を吐いて逃げを打ちたい。俺にはこんな友人はいらなかったのだと、死ぬようなやつは最初から信用できなかったのだと思うために俺はこの丘に来た。腐った死者を見るために。終わった夢を笑うために。なのに誰もが、生前の顔を残していた。目を開けているやつさえいた。俺を見ていた。何も変わらなかった。俺が覚えている、あの顔のまま。たくさんのことを忘れてしまって、もう何も思い出せないのに、この丘にもやっと来たというのに、ここで、俺の友人は眠っている。
 起きているのは、俺だけだ。




       

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Neetsha