わが地獄(仮)
時間旅行
時間旅行を体験すると誰もが俺を羨ましがる。あなたはどこへでも行けるし、どんな時代も味わえる。なんて素晴らしいのだろう! 瞳をきらきら輝かせ、手を揉み組みながら、俺の時間旅行機を珍しそうに見上げる。決してどういう仕組で時間移動しているのか、分解して中を見せてくれとは言わない。俺はひとしきり時間旅行をさせてから、同行者にいつも聞く。どうです、あなたの言うように、これがそんなにも素晴らしい体験だとするならば、元の時代に戻るのはやめて、私と時間旅行者になってみては? ええ、そもそも私は流刑の罪人でして、どうあがいても元の時代に戻ることはできません。それが私の罰なのです。ですがあなたの言うように、本当に時間旅行が素晴らしいものであるのなら――同行者はいつも最後まで聞かない。笑顔で、目を細くして、計算された角度の頬の歪み、そして白く一度も汚れたことがないとでも称賛されたいかのような歯並びを見せて、俺に言うのだ。
いいえ、結構です。
時間旅行?
誰も俺のことを知らず、俺のことに興味を持たず、干渉することもできず、ただ過ぎ去っていく絶対に変更できない運命の連続を顔に塗りたくられることが悪夢でないのなら、教えてほしい、何が本当の苦痛なのかを。