Neetel Inside 文芸新都
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 ぬるり。先端が沈み、そこから一気に挿入された。加悦には柔らかな棒状の異物が体内に侵入した感覚が、昴には自身の最も敏感なところに厚い肉壁が纏わりつく感覚が、脳に到達する。
「ああ、あああっ!」
 最奥に到達したと同時に加悦の理性が破裂し、糸が切れたマリオネットのように事切れた。昴は崩れ落ちる加悦の腰を掴み四つん這いを維持させる。
「……イった?」
「だって、ずっと激しく、して……でも、直前で焦らされたりしたら……イっちゃうよぉ」
 責めているわけではなく、絶頂を迎えた言い訳だった。そんな加悦の様子に昴の興奮はむくむくと湧き上がる。
「動いていい?」
「うん。でも、優しく、ね?」
「ん、わかった」
「んん、はぁぁ」
 絶頂を迎えたことで締めつけが増し、ペニスをぱくぱくと甘噛みする膣内を前後にゆっくりと動き始める。敏感になっている加悦はその動きの一つ一つに反応してしまう。
「ああ、すごく気持ちいいよ」
「私も、気持ちいいっ。ほしい、もっと、ほしい」
 少しずつ動きが速くなってきた。枕に埋まる加悦からは昴の顔は見えなかったけれど、速まるテンポと荒い息づかいから、いつもの余裕のない表情をしているのだろう、加悦はそう思った。
「……加悦は淫乱だなぁ」
 腰を掴んでいた手が、潰してしまうような力で乳房をぐにぐにと揉みしだき、その痛みで加悦の顔が歪んだ。それだけではない、もう片方の手はかりかりと腰を優しく引っ掻き、その動きに合わせて加悦の体はぴくぴくと震えてしまう。
「私、淫乱……?」
「自分ではどう思う?」
 服はほとんど着たまま、最低限に剥かれて、卑猥な単語を言い、後ろから突かれ、絶頂し、さらに恋しくなっている。
 今だって痛いぐらいに胸を揉まれている。腰からも爪による鋭い痛覚がやってくる。でも、それでも、今は、すごく、気持ち良かった。
「私、淫乱……淫乱、だよっ」
 認めた。気持ちが楽になった。体も応えるように熱くなっていく。
「ほしいの! 昴くんのおちんちんで、感じ、あっ、ああぁっ!」
 加悦の言葉は最後まで続かなかった。昴の腰の動きは加速し、ぱんぱんと音が部屋に響く。昴の汗が加悦の背中に落下し、加悦はだらしなく唾液を垂らし枕に染みを作る。
「あ、イく、イクよ、加悦っ」
「うん、うんっ」
 いよいよ限界が訪れ、昴は低いうめき声と共に加悦から引き抜き、避妊具の中へ大量の精液を吐き出した。精液溜りのそれは、明らかにいつもより多かった。
「はぁ、はぁ……気持ちよかった」
「うう、服、汗でべとべと」
 ベッドに沈む加悦を後ろから抱きしめ、頭を撫でる。汗で服や髪が肌に張りついたその姿はエロティックで、昴の静まりかけていた加虐欲を刺激する。当の加悦は限界で、動き気力もなかった。
「そろそろお湯が溜まりそうだけど、立てる?」
「うん、たぶん……」
 試しに立ち上がろうとしたが、バランスを崩してまたシーツの海に沈んでいた。
「ううう、うー……」
「ちょっと休憩すればいいよ」
 恥ずかしさから顔を隠す加悦を、昴は何度も頭を撫でた。
 
 2人はたっぷりとお湯が張った湯船に入っていた。昴は脚を伸ばしてゆったりと浸かり、加悦は体を昴に預けるよう座っている。昴の手は加悦の腰、そして、当然のように胸に置かれていた。
 普段はシャワーで済ます加悦は、湯船で脚を伸ばせることをとても幸せに感じていた。しかも自分の後ろは昴がいて抱き締めてくれている。これ以上の幸せはなかった。
「たまにはホテルもいいね」
「ん、そうで、しょ?」
 昴はずっと湯船の中で加悦の胸を触っている。体温の上昇からか普段と比べると感じにくいが、それでも体は素直に反応してしまう。
「こらっ、胸いじりすぎっ」
「ごめんごめん」
 胸から離れた。しかし今度は下半身へ伸びた。
「こ、こらっ」
 暴れても腰を押さえられているので動けず、手はすぐに秘所へ到達した。そこは湯船の中でぬるりとした別の液体を帯びていた。
「あれ? 濡れてる?」
「終わったあとはしばらく濡れてること、知ってるでしょっ」
 ぐるりと体を返し、昴の手を振りほどいて向きあう。そして仕返しと言わんばかりに、加悦はペニスを握った。それは先ほどの同じ屹立を見せていた。
「ねぇ……ちょっとだけ、ほしい」
 しゅこしゅこと上下にしごき、興奮状態を確認してそれをまたぐ。
「めずらしいね……いつもは怖がるのに」
「ふ、ふぅぅぅ、ううっ」
 加悦は返事を待てなかった。自ら咥え込み、歓迎した。ありのままのペニスの感触が膣から子宮へ響いていく。
「ナマ、気持ちい、い?」
「気持ちいいけどさ、やっぱり、怖いよ」
 普段の加悦は避妊具なしでの挿入は滅多に応じなかった。けれど今は、少しだけ気持ちが緩んでいた。ただ本当に少しだけで、挿入してからは一度も動かなかった。
「もうちょっとしたら上がって……続き、しようね?」
 はむり。このあとの交わりを約束するように、2人はキスをした。
 加悦は倦怠期解消の一つ『環境の改善』の成功を実感していた。お互いとても興奮できたし、とにかく満足だった。
 次はどうしようか。湯船で少しのぼせながらも、次の案を考えていた。
 
 

       

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