Neetel Inside ニートノベル
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春子がまた、いつものように“1組”で机に伏していると
後ろから不意に、自分を呼ぶ声が聞こえた。

自分に対しての呼びかけじゃなかったら恥ずかしいので、無視していると

「志村さん、志村さん!」

やっぱり、自分に対しての呼びかけらしかった。

「んー?」

「志村さん、話があんねんけど。」

1組のクラス委員、委員長?
いかにも委員長的で、いかにも
「みんなのリーダーやし!」
と言った感じの女が話しかけてきた。

「志村さん、もう一回自分のやったことについて考えようや。」

真面目な表情で彼女はそう言う、その顔に悪意はない。

「志村さんがやったことは凄い恥ずかしいことなんやで!」

真面目な表情で彼女はそう言う、その顔に悪意はない。

「反省しな同じ事繰り返すんちゃう?聞いてる?」

真面目な表情で彼女はそう言う、その顔に悪意はない。
その顔に悪意はない。

悪意がないからタチが悪い。

彼女の話は
テヲトリアッテ
ヒトリジャイキテイケナイ
アイテノキモチニナッテ
と言った感じの話だった。

別に間違ったことは言ってないので聞いておいた。

話し終えると、満足したのか、彼女は去っていった。
そして二度と話しかけに来なかった。

春子は、友達フラグかと一瞬期待した自分に嫌悪した。



秋、文化祭の季節になった。
1組のみんなはあれやこれや意見を出したり、忙しい。
みんなの役割はどんどん決まって行く。
春子は気にしないフリをして、じっと様子を眺める。

1組の担任の先生が春子の顔を見て呟く。

「志村さん…アナタも何か行動しなさいよ…。
さっきから何も発言してないじゃない。
もっと話題に入って行きなさい。」

やれやれと言った顔で春子を見つめる。

何で、やれやれって思われなあかんねん…。

普通こうなるやろ、3年間で出来あがった人間関係の中に放り込まれて
みんなは無視したり奇妙な目で見てくるのに、その中に嬉しそうに入って行けって?

それはな

そんなことが出来るのはな

狂人や

そんな事出来るやつがいたら、狂人や。


もう嫌になった。
じっとする事すら許されなくなった。
人として不自然な行動をとることを強要されはじめた。

もう終わりや


違う!


違うぞ。
全然終わりちゃうし。

この状態がいつか思い出になるときが来る。

「あんときはいややったなー」って言える日が来る。

だからこれからも
学校に通い続ける。

休んでたまるかよ、不登校とか絶対ならん、ならん。

       

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