Neetel Inside ニートノベル
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春子はなかなか寝付けないので1階に下りてきた。

「起きたんか―?」

母親が聞く。この親は、自分の子供が修学旅行をサボっているのに何も言わない。
分かってる、あえてそこには触れないでいてくれるのだ。

朝ごはんは特に作られているわけでなく
食卓にバナナ、おやつ、名前の良く分からないレトルト食品(まずそうだ)
そんなものが並べられている。

ただ別に「食え」と言われてるわけじゃなくて、ただただ、置いてある。
別に喰っても怒られなさそうだし、喰わなくても怒られなさそうだ。
そういう、いかにも「休日」って感じの居間。

妹の由紀は学校に行ってるからいない。

それがいつもの休日とは違うけれども
妹は休日はいつも部屋に籠っているので、あんまり普段と光景は変わらなかった。

「ゆーちゃん(由紀の事だ!)がなー、春ちゃんにこれ渡してって言っててん。」

封筒のようなものを渡された、手紙か?

「なんなんこれ」

「さあ?ゆーちゃんが見たらアカンで―って言ったからお母さんも見てへん」

うちの母親はそういうのには律儀なので、「見てない」と言ったら本当に見てないんだろう。
春子は手紙の内容が気になったのでバナナをほおばりつつ二階に上がろうとした。

「ちょ!あかんで!」

急に母親が怒った。

「ボロボロこぼれたらアカンからここで食べー!」

「んー・・・はよ読みたいねん!気になるねん!」

「あかん!」

「もー!ほんならここにバナナ置いてく!」

「あかん!食べてしまいー!」

あああああああああああくそ!
春子はイライラしながらもこれ以上言うのをやめて急いでバナナを食べた。
そして二階へあがっていった。

自分の部屋に入ると春子は深呼吸して、封筒の中身を確かめた。
中にはA4くらいの紙が入っていて、3つ折りにされていた。

「なんやろ…」

春子はその紙を開いてみると


「うんこ」


と紙にはそう書いてあった。

「…」

由紀らしいなと思った。
由紀はコミュニケーションが下手糞だけど
由紀なりに自分の事を励まそうとしてくれたんだろう。

春子はちょっと元気が出た。
このちょっとは大きなちょっとだった。

いつか逆の立場になった時
出来る限りの努力をしてやろうと思った。

       

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