Neetel Inside ニートノベル
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中学で行われるであろう大体の行事も終わり、残るは受験のみとなった。

春子は正直言って頭がよい方では無い。
オブラートに包む必要もないので言ってしまうが、アホだ。
恐らくクラスでビリを争うほどだ。

そんなあほな春子も、受験はしなくてはならない。
いや、アホだからこそだ。
学校の成績も悪いので推薦を貰える訳がない。

…と言うか初めから無理だった。

イジメの加害者を推薦するわけにはいかないからだ。

春子はもともとそんな進学校へ行くつもりはなかったので、そこそこ頑張ればいい。
どんなアホでも行ける学校は県に1つくらいはある。
そこを目指せばいい。

正直、別に勉強もしなくてもいいかもしれない。

しかし、人生の通過点、1回くらいはしておくべき苦労。
そういう何だかフワフワした「義務」のようなものを果たすために
中学3年生は勉強しなくてはならないのだ。
どんな不良も、スポーツマンも、ガリベンも勉強する。
所詮中学生だ、親や教師から言われたら守る、勉強する。

よっぽどの異端じゃない限り勉強する。

ちなみに春子に異端になる度胸はない。

だから

勉強する。

「邪魔くさ…これいつ終わるんやろ、何でこんなんせなあかんにゃろ…。」

春子は机に向かって愚痴をこぼす。
学校から貰ったワーク的なものだ。
塾も通信教育もやってない春子にとって、これぐらいしかすることはない。

何回も聞いた本の名前、「新研究」。
「新研究」さえやってれば、大体いける、ってみんな言ってるし、やろう。

そんな感じだ。

でもアレや、「みんな」って誰やろ。
そういえば誰が言ってる?アレ?
先生とー…えー
アレ?

考えんとこ。

他にすることがない以上これをするしかないし。
遊んでるよりはマシだと思う。

それに、勉強やって、それで、みんなも勉強してて
「みんな勉強の事考えてる」モードって心地よい。

クラスとか仲良しとかそういうの考えなくていい。
いや、もう2度と考えなくていいんだ。こう高校行くし、みんなバラバラだし。
耐えたね、うん、もう終わった、もうペナルティは終わったから。

もういじめまがいみたいなこと絶対するわけないし
ペナルティも受けない。

もうないんだ。


そんな事を考えてるともう深夜になった。
勉強に身が入ってなかった。

でももう寝る、別にこの勉強は儀式だから。


春子はクラスメイトの夢を見た。
悪夢だった、どんな内容か覚えていないけど
理不尽で、不快で、気持ち悪かった。
そして目が覚めた、それだけだった。


春子は受験に合格し、高校生になった。

       

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