Neetel Inside ニートノベル
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さて、話を戻そう。

志村は高校生になった。

「春子」ではない、いや、春子だけど、でも、志村だ。
「志村」だ、あんな奴。

志村は、陰キャラになったのだ。

中学生のころからあまり友達が多い方でも無かった。
中学のころから陰キャラだった。
だが、今はそれすらもはるかに凌駕した陰キャラへと変貌を遂げたのだ。


高校一年生の春、志村は、友達をつくるタイミングを見誤った。

高校というのは中学と違い、同じような「レベル」の生徒たちが集まる。
学業レベルにおいてもそうだし、民度のようなものも、大体同じレベルだ。
その中で友達をつくることは、中学時代に友達をつくることよりも容易い。

…にもかかわらず、
志村は友達を作りそこなったのだ。


理由はそんなに難しい事じゃない。

志村は、中学時代の出来事がトラウマになってしまったのだ。

イジめ、そしてイジめられた事が…だ。
(正確に言うとイジめられた訳ではないが、
志村はアレを「イジめと限りなく等しいもの」と定義している。)

人と関わるとき、相手が自分に対してどう思っているか、
必要以上に勘ぐってしまう。
本当は自分と喋るのが嫌なんじゃないか。
早く切り上げたいんじゃないか。
自分なんかと喋るより、他のみんなと喋りたいんじゃないか。

人に極力話しかけないことによって、
「自分と話す」という「苦行」からクラスメイトを解き放つ。

そんな気分なんだろう。


本当は、そんなことする必要全く無い。
厚顔無恥に、何の気づかいも無く、面の皮を厚く、厚く。
いや、それすらも考えず、ただただ無作法に人と話せばいい。
人と話すことには、本来何の技術もいらないのだ。
いやいや、むしろ逆。
「相手に無配慮に関われば関わるほど、人気者になれる。」
ぐらい思っていてもいいかもしれない。
(高校ぐらいだとそんな感じでいいだろう。)

だが、十代であり、陰キャラであり、あらゆる経験に乏しい志村が、
この事に気づくのは、まだかなり後である。

       

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