Neetel Inside ニートノベル
表紙

見開き   最大化      


「イジメ?御冗談を!そんなものあるわけないでしょ!」

何の根拠もなくそう言って笑う初老の男性、もとい校長。


中学校だ。
公立のありふれた中学の、ありふれたワンシーン。
そこに2人の生徒の会話が聞こえる。

「ごめん……ごめん……。謝るから、もうやめてぇや…。」

「謝んなやキモい。お前学校来んなって言ったやろ。」

クラスの女子が、同じくそのクラスの女子の髪の毛を引っ張る。

クラスメイトは気付いているのか、多分気付いているだろうが、助けない。
助ければ自分が……といったそういう気持ちではないだろう。

自分が被害者でも加害者でもない、その安全さを噛みしめている
そんな気持ちか、もっと違う気持ちか、まあ別にそこの所はどうでもいい。

とにかく、その辺に歩いてる人に
「これってなんでしょう。」
と聞いたら
「イジメじゃないでしょうか?」
と帰ってくるだろう状況が、そこにあった。

イジメの理由って何だろうか。
あるっちゃああるし、ないっちゃあない。
気に入らない、生理的に受け付けない、どんな理由にせよ理不尽な理由だ。

しかし、イジメる側からしてみれば
イジメる対象の人物は、理不尽に不愉快な存在に感じたのだろう。

今回のケースでは、イジメる側は具体的な理由を定められないでいる。
ただただ理不尽に不愉快。

分かり易く言うなら、引っ込みがつかなくなった状態。


「あんまりよくないと思うで」

ひとしきりのイジメを見届けた後、クラスメイトの一人が言った。

「アイツが悪いねん」

いじめっ子はそう言った。

「ウザいしキモイ、顔も見たくない、イライラする。」
「じゃあわざわざ関わらんかったらえーのに……。」

こういった会話はたまに行われるが、いつも平行線だ。
お互い解決するなんて思ってない。
いじめは良くないよって言う事を周りにアピールするための儀式だ。

「でもホンマにいい加減にしとかなエライことになるで、志村さん。」

志村と呼ばれたいじめっ子は、友人の言葉には耳を傾けず
自分の席で指をコネコネしていた。

       

表紙
Tweet

Neetsha