担任に呼び出された。
空き教室に春子、担任、そして山本。
元お嬢様女子大生みたいな担任の先生。
「志村さん、どう言うこと?」
どう言うこと…って
何で聞くよそれ。
山本は泣いている。
イジメてました、って言うしかないよな。
それ以外言うことないし。
でも、今それ言ってしまうと、開き直ってるって思われたりしーひんかな。
担任は黙ってる。
春子は担任のその一連の所作が、何かとても無責任なものに感じた。
「イジメてました。」
「何でそんな事したの?」
おっと
流石にどう答えたら良いか分からなくなった。
担任は何を期待してるんだろう。
どんな答えを期待してるんだろう。
正直に胸の内を話すのか、反省してます的な言葉を織り交ぜるのか。
何を言ってももう非難される気がした。
気がする、というか、多分確実に非難される。
でも、よく考えたら仕方ないか。
イジメって悪いことやし、罰的なものは必要なわけで、今のこれがそうなんや。
春子は、客観的にそう思うことで自己防衛出来た。
「分かりません」
一番無難だけれど、一番担任が納得しなさそうな言葉を選んでしまった。
「分からへん事ないやろ!?」
担任はそう言った。
春子は、じゃあもしお前ならどう答えんねん、と思った。
私はイジメなんてしません!って言うんやろどうせ。
もしもトークできんのかお前は!
春子は頭の中の妄想で勝手に怒っていた。
山本は泣いている。
山本よ。
おまえは今安全圏にいるんやぞ。
自然界では攻撃側が安全圏
でもこの文明社会では人に攻撃すること認めてへんねん!
攻撃した奴はな!
社会から攻撃されるねん!
だから、攻撃されてるお前の方がむしろ安全圏やねん!!
そこから先は何があったのか覚えてない、記憶が飛ぶ。