Neetel Inside ニートノベル
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春子の自宅

両親はどんな気持ちなのか、いい気持ちではないだろうけど。
春子に優しく接した。

「おかあさん」

「春ちゃん、山本さんのお家に謝りに行かへん?」

「…」

これはいずれやらなければならないことだと思った。
凄く怖かった。

でもやらなければならないことだ。

「…行く」

「そうやな、お父さんとお母さんも一緒に行くし。ちゃんと謝ろな。」

「春子」

今まで黙っていた父が口を開いた。

「オトンが今から言うことはな、道徳的に正しいかは分からへん。」

春子は黙って聞いた。

「人間なんて不安定な生きもんやし、理由もなく人を嫌いになったり攻撃したくなったりする。化学現象やねん。
 山本さんやったっけ?その子イジメてたんもそんな具体的な理由は無いと思う。」

春子は心の内を見透かされたような気がした。

担任の先生の「何でイジメなんてするの」と言う言葉が自然に反復された。

「でもな、…。」

それ以上父は言わなかった。

ただ春子はその「でもな」の後の言葉がどんなものなのか分かっている。
それをきっと父も悟って最後まで言わなかったんだろう。

「春ちゃんはもうおっきいから分かるもんな。」

隣に座っていた母が言った。

担任と話しているときはあんなに自分を守ることばかり考えていたのに。
両親と話した後春子は霧が晴れたようだった。

もうこんな間違いは絶対犯さない。
自分がやったことを悔いた。
心から反省することが出来た。
謝ろうと思った。

そして志村一家は山本の家へ向かう。

       

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