帰路に着くとき、あいつから連絡が入った。
「もしもし、俺だよ。たけぼうか?」
声の主は、三年前の事件から俺の相棒になった
情報屋のたけぼうだ。
「うん、君から受けた依頼の情報を入手したよ。」
俺が、依頼を楓から受けてからたけぼうに情報を集めてもらっていた。
下手すりゃ藤堂と話すより多くの情報を貰えるだろう。
「吉良グループは、ここ十年で急成長したのはしってるよね。」
「ああ、それは知っている。」
「携帯事業だけではなく、薬品、食品、衣服、家電製品にいたるまで
様々なものに手を付けてどれも成功を収めている。その陰にはやはり
資金提供をしている所があったんだ。」
一代であの吉良グループを作ったんだ、やはり何か絡んではいると思った。
「今回は、僕も調べてびっくりしたんだけど三年前の事件に関係してることが
多々あってね。特にこの鳳凰会が多額の金額を出資してるんだけどここの前会長が
僕たちが殺した鴉馬正志なんだ。」
三年前、俺が担当していた事件がある。それを裏で操っていたのが鴉馬正志なのである。
通称鴉天狗と言われていたあのじじいは、秘密裏に開発していた薬の実験に罪のない人たちを
使って実験していたのだ。
「まさか、あの薬を作っていたのは吉良グループなのか!」
「ビンゴ、その通り。でも、分ったのはまだここまでなんだ。」
たけぼうの落胆した声が電話越しでも十分伝わった。
「まだお前の復讐は続くんだな。」
「勿論だよ、負の連鎖が終わるまでね。」
俺達は、あれから知った。多くの人の犠牲の上に今の俺たちがいることを
だから俺はなんでも屋の仕事を始めた。この世にまだある負を払拭するために…。