Neetel Inside 文芸新都
表紙

坂の短編を入れるお蔵
女のストーカーに監禁され、淫猥な悪戯をされた挙句に悟りたい(自らの性癖を暴露するアンソロジー)

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 ああ、淫靡な女性ストーカーに拉致監禁されたい。

 そんな事を考えていたのが悪いのだろうか、気がつけば僕は体を椅子に縛られていた。リビングの様な広い部屋で、白い壁紙と真新しいフローリングの木の香り、そして柔らかい蛍光灯の明かりだけが視界を埋める。

「ど、どこだここは?」声を出すと思ったよりも反響して驚く。ふと下半身がスースーするので見てみると僕はズボンをはいていなかった。下着も。丸出しだ。
「ようこそここへ」
 突然声が聞こえたかと思うと、女性が僕の目の前に姿を現した。Tシャツにホットパンツをはいている彼女、布越しでも分かるそのボディラインは巨乳好きの僕としては歓喜の雄たけびを上げたいほどの物だった。
「誰だ君は?」僕はなるべく平静を装って尋ねた。
「誰でも良いじゃない。強いて言うなら、ストーカーかしら。あなたのストーカー」
 ストーカー? 僕の? こんな別嬪(べっぴん)さんが? 最高だ。
「今から一週間、あなたは私の玩具になるの」
「何? 僕を、どうするつもりだ!」とりあえず抵抗しておく。順応が早いのも問題だからだ。
「そのうち分かるわ」
 彼女は部屋を出て、どこからかスープの入ったお皿を持ってきた。コーンスープだ。僕の大好物だ。
「ところであなたお腹空いていない?」
 そう言われて初めて自分が空腹であることに気付いた。返事するように胃袋が鳴き声を上げる。
「一日寝ていたんだもの。そりゃあ減るわよね。じゃあ私が食べさせてあげる」
 彼女はスプーンを手に持つとスープをすくい、前かがみになった。シャツの間から素晴らしい谷間が見える。僕は生唾を飲んだ。
「はい、あーん」
「た、食べるか! そんな露骨に怪しいスープ、もしかしたら毒でも入っているかもしれないじゃないか」
 僕はわめく様にして言った。すると意外なことに、彼女はあっさりと身を引く。
「そう、それじゃあ今日のご飯はなしね。でも人間って、空腹には勝てないものよ」
「僕はそんな誘惑には負けない……!」

 二日目にして僕はスープを食べた。たいそう美味しかった。空腹には勝てないものである。
 食事を終え、一息ついていると妙に股間が熱を帯びるのが分かった。何だこれは。いちもつが肥大化する。
「あらあら、もう効いてきたみたいね」
「貴様、やはり何か盛ったな?」
「あら、私はただあなたが元気を出すように精力材を入れただけよ? まさかそこが元気になるとは思わなかったけど」
 彼女は言うと唇が当たりそうな程僕の息子様に顔を近づける。かすかな熱と、鼻息を感じ心臓が早鐘を打つように鼓動する。
 彼女はそっと撫でるように僕の息子様に吐息を吹きかけた。体中を電気が駆け抜ける。
「決して触れてもらえない苦しみ、あなたに味合わせてあげる。そう、私意外の女に目が行かなくなるまで」
 彼女は僕に向かってお尻を突き出す。ホットパンツが食い込み、ヒップラインが露わになった。何てことだ、ああ、何てこと。
 僕は手淫が出来ない辛さを初めて悟った。

 三日目になると彼女は体のボディラインを強調しながら僕を悩殺しようとしてきた。それでも決して陰部には触れない。触るフリをしたり、舐めるフリをする。口に含もうとしてやめる事もあった。

 四日目になると僕の目の前にテレビが置かれた。映し出されたのはアダルトビデオだ。食事に入れられた精力材のせいもあり、僕は四六時中発情する羽目になった。ビデオが消えたら彼女の淫猥な悪戯が始まる。しかし決して刺激を与えてはくれない。
 気が狂いそうだった。

「ぬ、抜いてくれ」
 五日目、僕はとうとうそう声をだした。むしろ今までよく持ったものだ。
「あら、何かしら?」彼女はしらばっくれる。
 その姿に僕は切れた。
「早く抜いてくれ! い、いや尿道を攻めてくれ! その長いつめで僕のいちもつをツンツンしたり、乳首で撫でてくれ!」
「嫌よ。どうして私がそんな事しなければならないの」
 彼女はそういいながらも、シャツをたくし上げて下乳を見せてくる。
「うわぁ! あががががが! おごごごごご! ふぎぎぎぎぎぎぎ!」
 僕は椅子を大きく揺らして抵抗した。口からは涎が無限大に漏れ出でており、既に精神は崩壊寸前だった。いま縄が解ければ僕は彼女を一晩中犯すだろう。
 そんな僕をあざ笑うように彼女は部屋を出て行った。
 まだ、終わらないと言うのか。この地獄は。
 
 その日の夜。目の前で勝手に流れる無修正ビデオを眺めながら僕は性欲が渦巻く思考回路の中、考えた。
 僕は典型的な草食系男子だったはずだ。女子の手を触れるだとか、そんなことはまるで考えていなかった。自分には無理だと思っていたんだ。
 でも、こんな目にあうくらいならもっと頑張っておけばよかったんじゃないだろうか。
 思考は僕の頭をグルグルと巡り巡る。
 少しずつ、光が脳裏を満たす。

「あら、今日は大人しいのね」
 彼女が谷間に挟んだスプーンで僕にスープを飲ませてくる。僕はそれを、静かに啜る。
「どう思う? もう少し引っ張れば私の綺麗な乳首、あなたにも見えるのよ」
 僕は静かに微笑んだ。彼女は怪訝な表情をする。
「何? 何を笑っているの?」
「世界は、今日も美しいですね」
 僕の言葉に、彼女は眉を潜めた。
「昨日、気付いたんです。どうして私がこの様な目にあっているのか。極限に追い込まれた状況で、ただ己を律する事にのみ精力を滾らせました」
 僕はゆっくりと天井を見上げた。
「そこにあるのは、ただひたすらの『無』でした。諸行無常とは正にこの事です。物事の始まりには必ず終わりが来る。だからこそ美しいのです。そして私は、昨日、終わりを迎えました」
 ゆっくりと、彼女を見据える。
「あなたの乳首など、取るに足りませんよ」

 次の日、僕は解放された。
 実に一週間ぶりのズボンとパンツも返してもらった。
 彼女は、ただ穏やかに去っていく僕を放心しながら眺めるだけだった。

 この世界には生きていて辛い事がたくさんある。
 それでも、この経験は僕に教えてくれた。
 全ての始まりには、終わりがあるのだと。
 さぁ生きよう。明日へ──。

 ──了

       

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