Neetel Inside ニートノベル
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HVDO〜変態少女開発機構〜
第二部 第四話「影が像を暴露する 二」

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 春木虎討伐計画概要

 第1目標
  春木虎(以下、目標)のHVDO能力による討伐
 第2目標
  木下くりの幼女化解除
 第3目標
  最高の快楽への到達

 
 決行日時 
  1月17日 17時より準備行動を開始 目標との接触は同日深夜1時
 決行場所 
  目標の潜伏している廃病院から萌田公園へと移動


 目標の特徴
  9つの能力を持つHVDO能力者
  性癖バトルの経験が豊富
  冷静沈着で的確な判断力
  極度のロリコン
  現時点で判明している目標のHVDO能力
   1.能力の対象が特定の質問にイエスと答えた場合、時間経過と共に対象は幼女化する
   2.1日に1度だけ小学生以下の人物の衣服を指定した物に変えられる
   3.完全に幼女化した対象から、差し引いた分の記憶を奪う
   4.射程内にいる戦闘可能なHVDO能力者と共に小学校空間に強制移動する
   5.対象者のリコーダーを舐めている間だけ対象者に姿を認識されない


 準備段階

 対象は究極のロリコンなので、私の裸を見ても興奮しない。よって、私の露出能力による羞恥を最大限まで引き出し、エロスを加える事によってこれに対抗する必要がある。そして露出を極めるには多くの人の「目」が必要である。

 1.ネット掲示板を利用し人を集める
 「ザ・ショウ」を使い特定の場所を指定して移動する為に、ある程度の人口密度を意図的に作る。
 決行日17時よりネット掲示板にスレッドを立て、私の裸を見てくれる人を募集する。いやらしい視線が多い方が望ましいので、出来る限り変態の男ばかりが集う板を選ぶ。
 詳細な場所に関しては明記せず、地元の人間だけが分かるように書く必要がある。同様に、決行日時も曖昧に表現する。肝心なのは、「ここに行けば何かエロい事が起きるかもしれない」と書き込みを見た人に漠然と思わせる事。信憑性を持たせる為、乳房の画像をアップロードする。最終的に集める人数は100人程度を予定して印象操作を行う。

 2.警察の押さえ込み
 十分な露出を行う為には警察の介入を遅らせなければならない。当日は、ネット掲示板から警察への通報が入ると予測される。三枝家の名前を出して周辺の巡回を緩めさせるプレッシャーを与えると同時、他のネット掲示板で別の場所を指定した犯行予告を乱発し、ネット通報の信憑性を一時的に下げる。
 ただし、守られた露出では興奮出来ないので、私兵による警備など武力の利用はしない。

 3.最大限の羞恥を引き出す
 ただ裸で人の前に出るだけの露出では、目標の討伐には至らない。念入りに肉体の手入れをし、性的興奮を引き出す衣装を吟味し、いやらしい演出を考える。見られて興奮すると同時に、「見られて興奮している事」に理解を得る形で攻撃を行う。
 よって、今回の露出において、私は人生を投げ打つ覚悟をしなければならない。


 決行段階

 1.目標との接触
 こちらから目標に接触した場合、目標は警戒をするはずである。警戒したままでは、目標は能力を私に使用しないので「ザ・ショウ」が発動出来ない。
 目標が警戒を解くに至る、納得する理由付けを自然な流れの中で作る事が肝要。受験に備えて木下くりの幼女化を解除する事が1つ。それからもう1つ、ご主人様の存在を利用する事によってこれを成す。

 2.露出
 準備段階、及び能力の発動に全て成功した場合、私はこれまでの人生で最大の羞恥を味わう事になる。その時、私が何を思い行動するかは、その時になってみないと分からない。

 3.事後処理
 考察の価なし。


 この計画書は、「発見される事」を目的に書かれている。
 これを発見するのはおそらく柚之原か、あるいはトムと呼ばれる能力者だろう。
 後者の場合は手間が省かれるが、前者の場合はその判断を介した上で決断をしてもらいたい。
 私が何の為にこの計画書を残したか、私が誰に1番自分の全てを見てもらう必要があるか、その判断は全て任せる。


第四話 影が像を暴露する 二

 ステージの上に立ち、光を浴びた三枝委員長はまさに妖艶の一言に尽き、中学校の制服が演出しているのは、幼さよりむしろ卑猥さで、取り囲むようにして見る男達の、荒ぶる吐息と不埒な期待が蒸気となって、彼女に向かって一直線に集まっていくようでした。
 自分の位置からは遥か前方、観客達の最前列に春木氏の後頭部を見つけました。自分がこれ以上前に進めないのとは逆に、人の圧力によって外に脱出する事は不可能なようでしたが、仮にそれが出来たとしても、春木氏ほどの一流の変態であれば、これから始まる三枝委員長一世一代のショウを見逃すような真似は絶対にしないはずです。
 三枝委員長の言葉に嘘はない。自分はそう思いました。恥ずかしい姿を見てもらうと言ったのですから、それはもう三枝委員長自身がドン引きするような見せ方をするに違いありませんし、また、例え相手が春木氏といえども、本気で勝つ算段で、全力を尽くして露出プレイの真髄へと向かうでしょう。三枝委員長の辞書からはおそらく、手加減や妥協という言葉が軒並み消え失せているはずです。
 いつも完璧に手入れされているブレザーを脱ぎ、無造作に足元に落とすと、自分を含む観衆の注目は「次はどの服を脱ぐのだろう」という事に集中し、三枝委員長はそれに最も奴隷らしい、実に男心を理解した答えを見事に導き出しました。
 そう、パンツです。
 シャツ、スカート、ニーソという3種の神器を揃えた御姿を、足元に落ちたブレザーが演出しているその構図に、あえてタイトルをつけるならば「禁断の放課後」といった所でしょうか。今は性欲に支配された汚らしい男達は、その誰しもがかつてはどこかの学校の生徒であり、同級生とのエロ妄想に花を咲かせていた時期があったはずなのです。よって、制服姿は出来るだけ長く堪能したい。堪能しつつも、次のステップに進みたい。服を着つつ、もし今先生が来ても言い訳が出来る範囲で、なおかつ性的進歩を見せて欲しいという男の本能的欲求に答える100点満点の解答。今、目の前にいる女子がノーパンであるというただそれだけの事実は、時に性器を直接目撃するよりも興奮する代物なのです。
 おお……。おおっっ。おお!! お゛お゛お゛お゛!! という具合に、三枝委員長のパンツが下がるのと反比例して、観衆のボルテージは上がっていきました。何をやらせてもパーフェクトな三枝委員長の事ですから、複雑怪奇で倒錯傾向にある男の性的欲求を読み取る事など、最早造作もない事なのでしょう。三枝委員長は、脱いだパンツ(純白で、かわいらしいリボンのついている、おそらく高級素材で出来たオートクチュール)を手に持ってぎゅっと握り締めた後、誰からともなくほぼ無意識に手を伸ばした観客達に向けて、それを放り投げました。
 幸運にも三枝委員長の脱ぎたてほやほやパンツを掴んだ男性は、ノータイムでそれを自らの鼻に押し付けて、何度も何度も深呼吸をして、周りの人間はそれを羨ましそうに眺めていました。
 ノーパンになった三枝委員長は、スカートの前部分をぐっと押さえ、あざとささえ感じられる内股で観客を見渡しました。そこにいる1人1人の顔を確認するように、頬をやや朱に染めながら、過剰なまでにパンツ穿いてない事を、布1枚の下はおまんこ丸出しである事をアピールするその姿に、確かに自分は興奮していましたが、「もしやここで今自分が勃起してしまったら、三枝委員長に負けた事になり、またEDに逆戻りするのでは?」という事実にはっと気づき、途端に恐怖風が横っ面を殴り、戦慄を背骨にぶち込まれた気分になりました。
 これは三枝委員長が春木氏を倒すために用意された舞台であると共に、自分のご主人様としての素質を試す、修羅のある場でもあったのです。


 雄達の放つむんむんの熱気に身体を焼かれるのを嫌がるように、三枝委員長が体を後ろに捻ったその瞬間、スカートがひらりとめくれ、ほんの僅か、2フレームほどの時間だけ、丸いお尻の生肌がちらりと見えたような記がしました。とはいえ全ての人がそれを確認した訳ではなく、人数にしてステージに近い20人、つまり全体のおよそ4分の1ほどが認識した極々些細なエロスでしたが、しかしそれが演出の妙という物でした。
 ちらっと見えたお尻を目撃した人々が反応し、「見えた!」という声が出て盛り上がると、見られなかった人たちもその見えたという反応に呼応し、まるで水面に広がる波紋の如く興奮は広がっていきました。ほとんどの人がきちんと見てもいないお尻に対して勃起し、妄想をかきたてる訳ですから、今この空間に妄想具現化装置を設置したら瞬く間にタモリ倶楽部の様相を呈するはずです。
 ここで一旦、ステージ上のプッシーキャットから目を離し、この観客達の考察に移ります。何故なら、自分も少しは冷静さを取り戻さないと愚息が暴走してしまう恐れがあるからです。
 思うに、今いるこの観客達は、おそらくネットで集められた人物達ではないでしょうか。容姿、思考、雰囲気には多くの共通点が見受けられ、人間をおおまかに分類したのなら同じ所に属している事は間違いないのに、1人1人お互いに面識があるようには思えず、しかし「目の前の女の子がこれから何か変態じみた事をして、それを自分は見逃さない」というある種「闘志」ともとれるような認識を共有しており、これは即ち、「目的のみを知らされている他人達」という事で、また、自分が見る限りでは、そこに意識された演技のような物は一切なく、気にならない程の無秩序さで満ちていて、三枝委員長が金に物を言わせて雇ったエキストラではない事は確かでした。
 棄却。
 三枝委員長はこのステージにおいて、これまでの自分を捨てるつもりだという事が窺い知れます。
「ご、ご主人様……!」
 ステージ上で、後ろを向いたままの三枝委員長が、震える声で自分の事を呼び、自分は否が応にもそちらを向かざるを得ません。
「ご主人様……! これ以上やれと仰られるなら……やります。やりますけれど、やっぱりやめろと仰られるなら、ステージに上がってきて、私の事を止めてください……!」
 一瞬、疑問符が浮かび、それはすぐ様エクスクラメーションマークへと変化しました。
 無論、というか言うまでもなく、自分は三枝委員長にこのような方法で恥を晒せと命令した覚えはないので、彼女自身が進んでその身を業火に捧げている訳です。つまりこれはどういう事かというと、三枝委員長は今の台詞において、「無理やりにやらされている感」を巧みに演出したのです。
 自ら喜んで股を開くビッチよりも、嫌がりながらも股を開くやまとなでしこの方が支持率が高いというのは周知の事実。何らかの命令によって仕方なく露出された局部は、3割増しの興奮度が観測されるという調査結果も出ています。
 しばらくの間、観客達はまるでお互いに牽制しあうように顔を見合わせていましたが、名乗り出てくる者がいないと見て煽りを始めました。「……げっ!」「……-げっ!」「……脱ーげっ!」「脱げ!」「見せろ!」「ぺろぺろ!」段々と大きく、多様になっていく声に反応し、三枝委員長は観念したようにスカートの裾をゆっくりとめくっていきました。
 三枝委員長のお尻が白日の下に晒されるその刹那、ステージに乱入する者が現れました。
 もちろん、自分ではありません。もちろん、春木氏でもありません。
 ステージに立ち、観客達を見渡したその小さな影は、くりちゃんでした。いえ、正確に言えば、幼女になったくりちゃん、という事は、既に本物のくりちゃんの幼女化は解除されたはずですから、春木氏が召喚していた偽くりちゃんという事になります。
 三枝委員長のカウンター能力によってここに瞬間移動してきたのが「3人」だった事を自分は思い出しました。春木氏と、三枝委員長と、そして偽くりちゃん。春木氏の能力は封印されたはずなので、新しく召喚された訳ではなく、元から出現していた所、「消えろ」という命令が下る前に移動してきたからまだ消えていないという事なのでしょう。ステージに立った偽くりちゃんは、三枝委員長に向かってこう宣戦布告をしました。
「私のご主人様からの命令です。これから私はあなたと露出で勝負します」
 ちなみに偽くりちゃんは、全裸に給食のかっぽう着という超マニアックないでたちで、後ろから見ると白いお尻が丸出しでした。
 おそらく、三枝委員長のカウンター能力が発動するその瞬間、春木氏は偽くりちゃんをこの姿に着替えさせたのでしょう。やはり百戦錬磨の春木氏、侮れません。そして今回の性癖バトルは、露出バトルへと形を変えて、更なるド変態ゾーンへと突入していくようです。

       

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