Neetel Inside ニートノベル
表紙

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 世の中の男性ほとんど全てと言っても過言ではないと、確信めいた物があるにはあるのですが、ここは遠慮の意味を含めて、自分が全責任を負う形を取り、「自分は」と主語を置かせてもらいます。自分は、「ハーレム」を望んでいます。
 五十妻ハーレム計画については以前も少し述べさせてもらいましたが、よりどりみどりの女性を手元におき、好きな時におしっこを漏らさせる尿サーバーとしての役割を担わせ、そして気分次第でコトを致してしまうというのは実に望ましき状況であり、下種だ低俗だと罵られようが、「それならお前はハーレムを欲しくないのか!?」と逆ギレして、夢に向かって驀進する意気込みさえ自分にはあり、ある意味1つの終着地点、ハーレムとは人生の究極であると日々思っているのです。
 そんなハーレムに必要な物は、まず自分好みの美少女たちを出来る限り沢山と、そしてその世界における絶対的権力です。今、この状況においては、前者は圧倒的に揃っているのですが、後者が絶望的にありませんでした。喩えるなら、元は女子高の学校が今年から共学になって、入学した男子が1人、他は全員女子という状況に近く、羨ましくは思われがちですが、ハーレムとはちょっと違うのです。
「ぷはぁ!」
 肉布団の中からかろうじて顔を出した自分は、周りを見渡し、状況の把握に努めました。ほんの数秒前、津波のように押し寄せてきた清陽高校茶道部の面々は、容姿のレベルが非常に高く、その極度に露出されて性的欲求を煽る服装、即ちノーパンノーブラの着衣はミニスカート単騎というビッチスタイルでなくても、こちらから是非にとお願いしたい粒ぞろいの集団だったのですが、いかんせん数が多すぎて、また、目的も明確に「進路の妨害」でした。
 ミツバチの狩りの様子を見た事がある人は、それを想像していただければ、今の自分の状況が分かりやすいと思うのです。体は他の蜂より遥かに小さなミツバチでも、群れが一丸となって襲いかかれば、自身のサイズを大きく上回るスズメバチを囲い、圧縮し、羽ばたきで生じる摩擦熱でもって焼死させる事が出来ます。
 望月先輩という女王蜂のHVDO能力で操られた彼女達、憐れで美しい働き蜂は、一切の躊躇が無い猛突進を繰り出し、抵抗も出来ずに突き倒され、あっという間に前後不覚の暗黒へと自分は叩き落されました。胸やら尻やら腹やら顔やら、とにかく女子の柔らかい部分で囲われたその空間の中で、自分は足掻きにもがきどうにか脱出したのです。「100人の女子」という字面にしてたかだかこれくらいの、現実における圧倒的迫力に、まともな思考など到底出来るはずがなく、本来であれば絶対に、これは名誉にかけても絶対に助けなど求めないはずの人物の無事を、あろう事か自分は祈ってしまったのです。
「春木氏! 無事ですか!?」
 春木氏は返事を自らの声でせず、しかしこれ以上わかりやすい方法は無いであろう答えを返してきました。つまりそれは、春木氏の毒牙が発動した事を知らせる、女子の喘ぎ声でした。
 あひぁ! というくりちゃんともハル先輩ともまたちょっと違った、名前も知らない女子のはしたない声を聞いて、自分はそちらを向きます。
 天守閣の真下に位置するこの部屋は、大きさにして教室2つ分ほど。そこに100人の女子が詰め込まれ、その中心に自分と春木氏は放り込まれているのです。上へと続く階段は遥か遠く20メートルは先で、自分は女子を陵辱する事はあっても殴るような真似はしない紳士ですから、やはり方法は1つしかないようです。


「僕の事を心配する前に、君は君の仕事をやってもらえると助かるんだけどね」
 女子の波から自分と同じように顔だけ出して流暢に春木氏は続けます。
「もう気づいているかもしれなけど、この人達にHVDO能力は通じないよ。この城の中は完全に望月ソフィアの支配下で、僕たちはあくまでも三枝さんの能力で割り込んできたイレギュラー。僕のHVDO能力はほとんど対象を取る必要があるからね、今回はあまり役に立てないかもしれないなあ」
 自分は慌てて今触れている人物を見て確認しました。触れているというのに「黄命」が発動しない。試していはいませんがきっと、第2能力W.C.ロックもこの城の中では使えないと思われ、唯一有効なのは、第3能力のブラダーサイトだけでした。
「でも逆に言えば、この人達に直接的に影響を与えないHVDO能力なら使えるという事になる」
 台詞の直後、今度は春木氏がいる方向とはまったく逆の方向から、「ひあぁ!」という声があがりました。本来は揉む側の肉塊に逆に揉まれながらも首を曲げると、人波から這いあがり、また飲み込まれていった1人の少女がちらりと見え、自分はその姿に見覚えがありました。
「くりちゃん!?」
 と反射的に叫びましたが、この状況、そして直前の言葉から察するに、それは例の春木氏の召喚能力、自分が偽くりちゃんと呼ぶ、どんな命令にも従順な「理想の幼女」のようでした。
「単純に、ノルマは1人あたり33人だ。さあ、とっととやってしまおうか」
 心底楽しそうにそう言って、再びダイブする春木氏。偽くりちゃんの方も本格的にコトを始めたと見え、瞬く間に周囲は阿鼻叫喚、いえ阿鼻「嬌」喚の渦に飲み込まれていきました。
 そして自分は気づいたのです。
 遥か下、肉眼での確認は出来ませんが、制服のズボンの突っ張り具合といい、そこにあたる誰かのふとももの反発具合といい、確実かつ必然的に、自分のおにんにんはおっきおっきしてしまっている。現実逃避に柔らかい言い方を選びましたが、この様子だと爆発までは秒読み段階、というかむしろ射精してしまいそうだ、という驚愕ですが当然の事実。
 あまりに異様な状況に飲み込まれて、うっかり自分は忘れていました。いくら高品質のハーレムもどきだろうが、どんな事でもし放題だろうが、勃起してしまったらそこで終わりなのです。この城自体は紛れも無く望月先輩のHVDO能力であり、この「女が密集した空間」で興奮してしまったなら、それは自分の敗北になります。
 慌てて落ち着こうとしましたが、まともに身動きさえ取れない、目を開ければ卑猥な物や、かわいい顔やらが飛び込んできて、かといって目を瞑ったら瞑ったで今度は女子女子した物凄い思春期の良い匂いが強調される。鼻をつまんだところで全身をくまなく包むやわらかプリズンが強烈に本能を刺激し、まさしく八方塞がり。こんなもん勃起しない方がおかしいという地獄だか天国だか判断に困る状況においては、今更瞑想などまるで無駄です。
 とはいえ、春木氏はきちんとヒントを掲示してくれました。といっても、これしか今打てる手は無いので、当然選択肢なども最初から限られているのですが、自分は懐から先ほどもらったばかりの尿の入った瓶を取り出し、ラベルも確認せずに一気に飲み干しました。
 出来る事なら、3本とも自宅に持ち帰って、ゆっくりじっくり時間のある時におもらし妄想のお供に一献傾けたかったのですが、こうなれば止むを得ません。ようはこの「望月先輩に支配された人達」を対象に能力を発動しなければ良い訳ですから、この能力だけは今も自分は使えるはずなのです。
 第4能力ピーフェクトタイム。
 持ち時間は5分。問題は、この間にノルマ33人を絶頂に導けるかどうかという事です。


 自分など、所詮はチェリーボーイの、人より捻れた性癖を持っただけの小童が、何を生意気に、と思われてしまえば非常に恐縮なのですが、それでももし耳を傾けてもらえるならば、あくまで自分はこのように思う、という保険をつけて、こう言いたいのです。
 愛撫とは即ち、対話である、と。
 究極的な事を言えば、性行為に言葉は必要ないはずなのです。罵倒だとかおねだりだとか、その辺のプレイを除けば、男女であり、合意があれば、例え異国の人とでもセックスは出来るはずで、器官が一致してれば異星人ともいけるはずなのです。
 そしてこれはセックスのみならず、愛撫にも言える事だと自分は考えています。普段、コミュニケーションといえば、基本的には音や字や絵を介して行われる物ですが、夜伽においてはそれらの要素が占める批准は比較して低くなり、その代わりにキャパシティを埋めるのがつまり、接触、いわゆる愛撫であるという訳です。
 然らば、人と人、男と女、あるいは異種同性の場合でも、相手の体に触れる、体温を伝え、反応を感じる。このルーチンを凄まじく細かい時間内で繰り返す事により、最初のインプット、つまり「触れる」という行為を変化させていき、アウトプットである「反応」を見極め、肉体の内部にある気流を感じ取り、再び「触れる」を変化させる。
 これは理論というよりもむしろ経験によって培われた反射の勝負であると思われます。あくまで指の技ではありますが、バイオリニストが体の開き方を微妙に調整して音の響きに変化をつけていくのと同じように、全身を使わなければならない行為なのです。
 この1ヶ月、自分がしてきた百合のお手入れは、つまり無駄ではありませんでした。
 まずは1人目、ショートボブでやや垂れ目気味な、長いまつげが印象的な女子。選んだ理由はたまたま真正面にいただけですが、胸の大きさも申し分なく、別の出会い方をしていれば、と思うに足る美しさでした。
 自分は後悔と自責の念を深呼吸して一気に振り払うと、左手を腰に回し、ほかの人と重なった身体の輪郭をはっきりとさせ、吐息がかるくらいに顔を密着させて、瞳に映る光を捉えました。やはり望月先輩が操っているというのは間違いないらしく、眠っているように虚ろな、つまり普通の状態ではなかったのですが、かといって全く反応が無い訳ではなく、右手を股間に忍ばせると、僅かに潤み、光が広がりました。
 愛撫を対話と表現したのは、そのコツが普段何気なくする「会話」と同じであるという意味です。自分が話したい事だけを捲くし立てても、相手が付いてこなければ意味がなく、それは自己満足という物ですし、かといってこちらからアクションを起こさずに日和っていては、会話に弾みがつきません。重要なのは、相手が必要とする物を瞬時に察知し、それを的確に与えるという事であり、この部分が自分の考える愛撫の極意と完全に一致します。
 生えそろった陰毛をかきわけて、恥丘の山なり部分に指を這わせると、漏らすような吐息を短く出したのを確認しました。本来であれば、ここはもう少し焦らしも混ぜつつ、ぷにぷにの感触も楽しみつつ核心に迫っていくのが定石ですが、今は時間が無さすぎますし、また、この女子達は、どうも自分達が来るまでお互いに慰めあっていたと見え、多少いきなり強めの刺激を与えても抵抗は無いように感ぜられましたので、そうしました。
 形、質感、部位ごとの感度は違えど、機能はほとんどハル先輩の百合と同じであり、望月先輩の能力が原因で鍛えられた指が、今望月先輩を追い詰めるのに役に立っているというのには、何とも言えない因果を感じました。


 中指の第1間接までを侵入させ、自分はこれでも紳士ですから、万が一にも処女膜を破ってしまわぬように気をつけて(ハル先輩のを毎日弄るようになってから、念入りに爪の処理をしておいたのがここにきて功を奏しました)いたのですが、やはり、少し前に女子同士で何かしていたという自分の読みは正しかったらしく、既に入り口はぬるぬると、受け入れ態勢万端の状態だったので、思わず一気に根元まで行ってしまいそうで危うく、親指を支えにして耐えました。
 そのままの位置がずばり、クリトリスを、包皮の上からつつく形になり、一際大きく反応されたのが目を瞑ってても明白だったので、これは好機と膣内のほんの入り口まで侵入した指の小刻みなピストン運動を開始し、同時に親指で圧迫しつつも突起部分を弄り、いよいよ抑えきれない喘ぎ声が流れ始めました。
 それにしたって時間が足りません。ピーフェクトタイムの有効時間5分間の間でノルマ33人を達成するには、単純計算で9秒で1人イかせなければならないのです。無論、ピーフェクトタイムが切れれば、こんな状況、性癖どうのこうのなど関係なく勃起するしかありませんし、2本目、3本目の尿投入が予想されますが、そうやすやすと秘宝を手放すのは実に忍びなく、身を切られるような気分になります。
 こうなれば、形振りなど構っていられません。自分の才能と、これまでやってきた事を信じ、前に前に突き進むしかないのです。
 1人目の女子が絶頂に達し、へたりこむと同時、自分はあいた空間に身体を押し込めて、姿勢を低くし、腕を伸ばして場にあるコインを総取りするが如く女達の腰を引き寄せました。集団も体勢を崩して自分の動きに倣い、戦闘風景はいよいよ酒池肉林の境地へと達しました。
 左手で誰かの性器を探し、右手で誰かの陰核を弾き、左足で誰かの乳房を揉み、唇と舌で愛液をすする。まさしく八面六臂の淫術無双。投石覚悟の大犯罪を、自分は無我夢中でやり続けます。
 女子の中には同クラス、あるいは同学年で何度か顔を見かけた事のある者もおり、こんな事をしてしまって、明日学校で顔を合わせるのは恐ろしいような恥ずかしいような、望月先輩の支配下にある時の記憶が曖昧である事を切に願いつつ、作業速度を加速させていきました。
 女の海を掻き分けて、快楽をばら撒きつつ前に進む大航海。HVDO能力を得てからというもの、自分はそれまでの人生では考えられないほど酷い目にもエロい目にも会わされて来ましたが、まず間違いなく、この時点で最高レベルの試練を前にして、精一杯に死力を尽くしました。体裁など気にする余裕はなく、ただ目の前のおまんこをいかに効率的に裁くかに集中した結果、驚くべき結果が出ました。
 ヘヴィヘヴィヘヴィペッティング、終了。
 気づくと自分の周りには、全身の力が抜けて横たわった女子達の山が出来上がっていました。
 両腕はほとんど麻痺し、肩があがらなくなっていましたが、どうにか自分はやり遂げたのです。
「僕が36人と彼女が31人こなしたから、君はちょうどノルマ分の33人を処理した事になるね。お疲れ様」
 と、満身創痍の自分に向けて、余裕綽々の春木氏と偽くりちゃん。この人物の万能さというか、三枝生徒会長にも通じる無敵さは一体何なのだと理不尽に思いつつも、自分は答えます。
「相手が高校生なのによくやれましたね。生粋のロリコンの癖に」
 春木氏は嬉しそうに笑って、目を細めて答えます。
「だから勃起せずにやれたんじゃないか。相手が全員小学生だったら流石の僕でも負けてたよ」
 イラつきつつも、半分納得。何よりまず嘘ではありません。
「驚いたのはむしろ五十妻君の方だよ。空の瓶が1つしか無いって事は、例の能力は1回しか使わなかったみたいじゃないか。気づいていないようだけど、既に10分経ってるよ」
 思わず自分は股間を握り締めました。春木氏の発言が本当ならば、とっくにピーフェクトタイムの効果時間は切れていた事になり、それでも勃起せずに済んだのは、自分がいかに真剣だったかです。相手を絶頂に導く事を究極的に考えた時、そこに個は無くなり、明鏡止水の気持ちで行為を行える。自分はまた1歩、真の変態に近づいたような気がしました。
「春木氏、行きましょうか。望月先輩を倒しに」
 恨みも怒りもありませんし、むしろ感謝したいくらいでしたが、けじめはつけなければなりません。既に報酬も受け取っていますし、ついでにくりちゃんの事もあります。自分の言葉に対し、春木氏は少し意外そうな、しかし楽しそうな顔をして、「良い表情をするじゃないか」と言いました。

       

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