Neetel Inside ニートノベル
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リアルファンタジー

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「まぁ考えてみろよ、悪い話じゃないだろう」
親父の言葉が温かくも冷たくも感じた。
「……」
「ほんの少し期限が延びるだけなんだし、もう少しこの世界ってもんが見えるいい機会じゃないか?」
「……」
「なぁ、本当に少しだけだからさ」
俺はその哀願する親父の姿が無性に苛立って、開けかけた助手席のドアをバタン!と思い切り閉めた。
「っ!」
「このクソ親父!」
「お、おい。暁ぁ……」
よわよわしい親父の声を背に車の荷台の積荷をほどき、3世代も前の旧式のルビトールにまたがった。ジャラジャラと音を鳴らす鍵束をポケットから取り出し、こいつを起こすキーを鍵穴にねじ込む。火のついたこのオンボロは勢いよく呼気を吐き出し、エンジンの駆動音が小刻みに爆発する。
後ろから聞こえたガチャっとドアの開く音に一層の苛立ちを感じ、アクセルに力を込める。
「なぁ、アキ━━」
そしてけたたましい音で親父の声をかき消し、俺が地面を蹴ると同時にオンボロは加速を始めた。



行き先はもちろん決まってる。何をするかも決まってる。この世界の首領であり、俺の世界で一番の嫌われ者。松良ヶ原慎五郎のところに行って……


あいつの娘をかっさらう!!!

       

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