二十五日は一日アルバイトをして過ごした。例年通りなら荒んで過ごしたろうが、今年はそうでもない。
 きっと、彼女のおかげだと、そう思うことにする。
 プレゼントガールとは結局なんだったのか。
 神様の贈り物、気まぐれ、聖なる夜の奇跡。だがやっぱり、サンタの贈り物だと考えるのが一番良いだろう。
 彼女達は、それぞれ一人一人がクリスマスプレゼントであり、そっと僕達の心に大切な物を残してくれるのだ。
「ただいま」
 いつもと同じ時刻にアルバイトから帰宅した。
「お帰り」相も変わらず母は寝間着姿でテレビを見ている。
「何見てるの?」
 ふと画面を覗き込む。ニュースの様だ。
「色んなアパートの空きが急激に埋まったんですって。ちょっと遅い不動産業界へのクリスマスプレゼントかしらね」
「ふぅん」
 割とどうでもいいニュースだ。僕は曖昧に頷く。
 その時、インターホンが鳴った。
「お客さん? こんな時間に」母が眉をひそめた。
 確かに、もう夜の十二時だ。この時間帯に人が来るとは考えがたい。
「僕が出るよ」
 恐る恐る玄関の鍵を開け、扉を開いた。
「どちらさ……」言いかけて黙った。それもそのはずだ。
 彼女がいた。
「いやぁ、マスター、お久しぶりです。大体二十四時間ぶりです」
「なんでいるんだ」突然の事に、当惑した。
「何でって、会いに来たんですよ。バイトで疲れてると思って、彼女であるこの私が」
「そうじゃなくて」僕は一区切りして言った。「帰ったんじゃないのか、天界に、自分が生まれた世界に」
 すると彼女は怪訝な顔をした。
「なんでそうなるんですか」
「プレゼントガールなんだろう? クリスマスが終わったら消えるんじゃないのか?」
「嫌だなぁ、そんな事私一言も言ってませんよ? それに一体どこの世界に人に渡したプレゼントを回収しちゃう人間がいるんですか。プレゼントはプレゼント、未来永劫その人の物です」
「じゃあ今日一日何やってたんだよ」
「何って、住む場所を探してたんですよ。アパート借りてきました。これから生活するんだから、色々大変なんですよ」
 先ほどのニュースを思い出す。すべてのプレゼントガールが住む家を探し出したとしたら、アパートも空きが大量に埋まるだろう。
 そうか、不意に僕は悟った。
 だから軍資金一千万か。
「そういうわけでこれが私の住所です。いつでも遊びに来てくださいね」
 住所と地図が書かれた紙を渡される。
 そして彼女はにっこり笑った。
「これからよろしくお願いしますね、マス」
 僕はドアを閉め、鍵をかけた。
──了