Neetel Inside ニートノベル
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byex2ゲーム
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 どこにもリンクしていない秘密の掲示板で、
犯人たちは勝利の余韻に浸りつつも次の計画を練っていた。

     

949 主犯(笑) 11/03/01 20:01:13 ID:ktMr+RT30
警官さん警察の動きはどうなっていますか?


950 警官 11/03/01 20:02:54 ID:tEh5YRfU0
佐野が遅行性の毒により死亡、一文字は射殺。
さらに病院に搬送されていた重体の種田も治療の甲斐なく死亡したため
警察側の死者は6名に上りました。
チェックメイト後の狙撃で本部長大久保大和は
一命はとりとめたものの肩を負傷、退院のめどはまだたっていません。
みなさんもテレビで見たと思いますが、
大久保はこのたびの失策を理由に辞任を表明しました。


951 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:03:51 ID:tkm6MB2z0
>>949
さて、俺たちが勝ったんだから約束通り組閣しようぜ
じゃー俺、 防衛大臣


952 警官 11/03/01 20:04:00 ID:tEh5YRfU0
やめれ。そういう厨房な考え方。
といいつつも俺は外務大臣がいいなぁ。


953 other 11/03/01 20:05:31 ID:rUFrgRGE0
断固法務相一択ですよ


954 みゆき 11/03/01 20:05:40 ID:yrH/z9D30
私は財務大臣


955 893 11/03/01 20:06:14 ID:sIcovjzG0
じゃあ農林水産相


956 主犯(笑) 11/03/01 20:07:18 ID:ktMr+RT30
漏れはアニメ漫画布教大臣を新設するお


957 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:07:45 ID:tkm6MB2z0
軽っ!!!
AKBみたいに総選挙やろーぜ


958 主犯(笑) 11/03/01 20:08:02 ID:ktMr+RT30
漏れはAKB48よりAK47のほうがいいなぁ


959 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:09:38 ID:tkm6MB2z0
ちょwwwwwwwwww
カラシニコフ銃 wwwwwwwwww


960 主犯(笑) 11/03/01 20:10:50 ID:ktMr+RT30
そろそろまじめにやるか

しかし案外らくしょーだったな


961 警官 11/03/01 20:10:52 ID:tEh5YRfU0
はい、私が犯人側の人間であることに気付くこともありませんでした。
どちらの打ち手も犯人サイドなのだから、
私たちが勝つのは当たり前です。
八百長。
できレース。
実に詰まらない試合でした。


962 other 11/03/01 20:13:24 ID:rUFrgRGE0
まぁ、そういうなって
それより次のゲームを決めなくちゃだな。
オフ会しようぜ。


963 警官 11/03/01 20:14:37 ID:tEh5YRfU0
待ってください。
あなたはまだ見習いでしょ。
信用できませんね。
そもそも警察にいったん捕まったのに
どうやって出てこれたんですか。


964 other 11/03/01 20:15:56 ID:rUFrgRGE0
玉木さんが俺のことを知らないと証言してくれたんだよ。
こうやって秘密の掲示板に入れるようになったんだから、
そろそろ見習い期間終わりで
本メンバーに入れてくれよ。


965 警官 11/03/01 20:16:02 ID:tEh5YRfU0
まぁ、そうですね。人員不足もはなはだしいですから、
私は本メンバーに入れてもいいと思いますが、
リーダーはどうお考えですか。


966 主犯(笑) 11/03/01 20:17:15 ID:ktMr+RT30
異議なし
他の皆さんはどうですか


967 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:17:53 ID:tkm6MB2z0
リーダーがそう言うならいいんじゃね?


968 other 11/03/01 20:18:37 ID:rUFrgRGE0
ありがとう。
ところで玉木さんからこれからの行動計画を預かってきたんだが、
情報量が膨大すぎてここにはあげられないから、
やっぱオフ会やろう。
そこで渡すからさ。


969 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:19:19 ID:tkm6MB2z0
マジで?!
正直言って玉木さんの書いたウェブ小説だけが頼りだったからな。


970 警官 11/03/01 20:20:26 ID:tEh5YRfU0
確かにもう私たちの計画は成ったも同然ですし、
そろそろ頭を突き合わせて綿密に計画を煮詰める時期かも知れませんね。


971 主犯(笑) 11/03/01 20:22:14 ID:ktMr+RT30
そこまで言うならやろうか、オフ会。
とりあえず都内在住の人だけでいいんで、
いま僕が居候させてもらってる893さんのアパートに3月6日集合ってことで。
住所と地図は後日送ります。


972 四辻の悪魔(ニート) 11/03/01 20:27:52 ID:tkm6MB2z0
俺、地方在住だけど行くよ。
みんなの顔みたいもん。



     

 3月6日犯人グループは初めて顔を合わせるべく、
アパートの二階にある893の部屋に続々と集まってきた。
「ちーっす。四辻の悪魔(ニート)です。えー、本名は西浦春風です。」」
「otherこと小谷直です。」
「ハンドルネームは893。本名は菊池源吾。」
「あれっ、みゆきたんは?」
「みゆきさん、今回はパスだって。」
「まじかよー。野郎ばっかじゃねーかよ。」
「あと、誰だっけ。」
「警官さんじゃね。」
「おそいなぁ。
 遅れなるなら、連絡ぐらいしろよ。」
誰に言うでもない西浦のぼやきに答えるように呼び鈴が鳴る。
「おっ、うわさをすれば。」
 ドアを開くと、入ってきたのは本物の警察官たちだった。
ものすごい勢いでなだれ込む三人の警察官のうち、
しんがりをつとめていた山口が、ドアを開けた西浦の腕をつかみ引き倒した。
先頭の内藤は人質になっている総理大臣の孫を押さえつける。
「内藤さん、何やってんですか。
 その子は人質でしょ。」
桜田総理を保護していた杉村が止めに入る。
「いや、人質になっている間に犯人の協力者になってしまう場合もあるんだよ。
 そういうことでしょ内藤さん。」
山口がフォローする。
「ちょっと違う。この子が犯人グループの主犯だからだ。」
杉村も山口も驚きのあまり動きを止める。
その隙をのがさず菊池源吾が窓から飛び降りて脱出しようと窓枠に足をかけたが、
いち早く気付いた小谷に取り押さえられた。
「小谷、お前裏切ったのか。」
「刑事さん。
 僕は捕まっていただけで何も知らないんです。」
「もう芝居はよせ。ネタはあがってるんだ。
 君は人質ではなく主犯なんだろ、桜田安政くん。」
「聞かせてください。なぜ僕が犯人だと思うんですか。」
たじろぎもせず桜田安政は聞き返す。
「最初に引っかかったのは、第一のゲームで野口刑事が見つけた車両連結部の穴だ。
 なぜ犯人は危険も顧みず現場に戻り野口刑事を殺害したのか、
 ずっと気になっていた。
 野口刑事の残した最後の言葉で気がついたんだ。
 "車両の連結部分に穴が開いています。大きさは5……。"
 野口刑事は5cmの穴が開いていると言いたかったんじゃないだろうか?
 携帯を通すだけでいいのだから、
 そのくらいの大きさの穴を開けるだけでいいはずだ。
 だが、実際にあいていた穴は30cm。
 つまり最初5cmだった穴を犯人は戻ってきて穴を30cmに広げたんだ。
 何のためか。
 おそらく穴の位置が低い位置にあいていたから。
 一番に子供の君が疑われる可能性を残したくなかったんだね。
 主犯を君にするとすべてのことにつじつまがあうんだ。
 例えば連結部分の窓2枚越しに隣の車両をうかがっていたのに、
 野口刑事は間の連結部分に隠れていた犯人を見つけることができなかったのは、
 背が低い君がしゃがんでいたからだ。
 もっと言ってしまえば、最初の事件のとき昼間の路上で誘拐されたのにもかかわらず、
 目撃者がひとりもいなかったのは、君がまったく抵抗しなかったから。
 誘拐事件として考えている限り、正解にはたどり着けなかった。
 本当は誘拐事件なんて起きていなかったんだから。
 起きていたのはただの家出だ。」
小学六年生と思えないほど、桜田安政は冷静に反論する。
「僕みたいな子供が犯人?
 そんなの、あんたの妄想だろ。
 証拠は。」
「これが証拠だ。」
内藤は内ポケットからビニール袋に入った折れた注射針を取り出した。
 あきらかに桜田安政の顔が青ざめている。
「この注射針は野口刑事が殺されたときに体内に残っていたものだ。
 種田刑事が生前この注射針を医師や医療機器メーカーの関係者に見せて回ったが、
 同型の針の注射器を見つけることはできなかった。
 ところが、まったく思いもよらぬところから糸口が見つかったんだ。
 死体にわくウジの成長具合を見て、死亡時間を割り出す検死官というのがいる。
 警視庁でも変人で有名な奴だ。
 その検死官にこの針をみせたところ、子供用の昆虫標本作成キットに
 入っている注射針だと教えてくれた。
 標本を作る際、この注射器で防腐剤を注入するそうだ。
 そして君の部屋からも同型の注射針が見つかった。」
そう言うとさらに内ポケットからビニールに入った注射針を取り出した。
「ハハッ。別に僕の部屋にそれがあっても不思議じゃないよ。
 僕の趣味は昆虫採集なんだから。」
「その検死官はこうもいっていた。
 野口刑事の体からヒスタミン、セロトニン、アセチルコリン、
 ホスホリパーゼ、プロテアーゼ他、各種のペプチドなど複数の毒物が見つかったが、
 この毒の組成がオオスズメバチが針から出す毒と同じだと。
 中毒死だと思われていた野口刑事の死因は、
 本当はアナフィラキシーショック によるものだったそうだ。
 君の部屋から見つかったこの注射針にもわずかだが同じ組成の毒が見つかった。
 オオスズメバチから毒を採取、濃縮するために使ったんじゃないのか。」
桜田安政は答えなかったが、その沈黙が内藤の推理の正しさをものがたっていた。
そして力なくに両手を差し出した。
「12時16分、桜田安政確保。」
小さな手首に手錠がかけられる。
「刑事さん。最後に聞かせてください。
 警官さんは……柳田さんは無事ですか。」
「自殺したよ。」
「じゃあ、あの書き込みは。」
「チェスの一件の後から書き込んでいたのはこの山口刑事だ。
 山口刑事とこちらの協力者になってくれた小谷直の二人で、
 君たちを一ヶ所に集めるように誘導した。」
桜田安政は今までこらえていたのか、急にハラハラと涙を流した。
「そうですか。柳田さんは自殺を…。警察官でありながら僕たちとグルになって、
 同じ警察の仲間を死に追いやったことに自責の念を感じていたのだと思います。」
 内藤は分からなくなった。
桜田たち犯人グループは本来、互いに名前も知らないし顔も分からない。
なぜ相手のために泣いたり死んだりできるのだろう。
「確かに僕達は他人です。だけど一つだけ共通点があります。
 僕達の居場所は世界中のどこにもないということ。
 だからネットの世界に逃げ込むしかなかった。
 そんなかりそめの世界すら、大人たちは奪い取ろうとするんだ。
 どんなに非力な者でも手を取り合って立ち上がるよ。」

       

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