Neetel Inside ニートノベル
表紙

アクティブニートと助手
3.5:ウソとエロスと肉食獣

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 俺は衝撃の瞬間を目撃していた。
 果たしてこんなことがあっていいのだろうか、いや、本当はあって当然なのだろう。それは一定の成長を遂げれば、動物界・脊索動物門・脊椎動物亜門・哺乳綱・サル目(霊長目)・真猿亜目・狭鼻下目・ヒト上科・ヒト科・ヒト属・ヒト種であれば、生理的欲求として、本能的に行ってしまうことなのだから。それはたとえ逸脱された、イレギュラーの存在である咲乃であっても、いや冷静に考えてみれば咲乃なら1日5回はしていても何ら不思議でないはずなのだ。何故俺は今に至るまでこの光景を目撃することがなかったのだろうか。
 ここまでくれば咲乃が一体何をしているのか、一定の教養を身につけた読者諸君ならもうお分かりだろう、しかし純粋無垢という四字熟語を具現化したような心を持つ、汚れなき清らかな少年少女達にはもしかしたら未だに理解が追いついていない可能性があるかもしれない。そんな清い読者層の為にも正確に且つ明瞭に、特定の単語を使って教えてあげるとしよう。
 奴は自慰行為に励んでいた。
 要するにオナっていらっしゃった。

       ※

 昨日前咲乃に気絶させられた(詳しくは本編3-3を参照)俺は、予告通りこの日の夕食を全て野菜料理にしてやった。しかし意外なことに咲乃は文句1つ言わずに、寧ろ若干笑みを浮かべながらその料理達を完食したのである。その様子を見た俺は遂に彼女は屈服したのだと、遂にコイツとの長きに渡る肉を野菜で洗う争いに、俺が勝利を手にするという形で終止符を打つことに成功したのだと、てっきりそう思っていた。
 だが、この咲乃が、三度の飯より肉と猥褻物のこの女が、そう易々と甘んじるはずがないのだ。しかし、未だかつて一度も見たことの無かった咲乃の予想外の反応に舞い上がってしまった俺は、咲乃がその時とんでもない作戦を胸の内に秘めていたことに全く気づいていなかった。全く持って思慮が浅かったと言う外に無い。今思えばあの笑みは悪魔の微笑みだったのだ。
 次の日、俺は咲乃に下剤入り牛乳を飲まされ生死の狭間を彷徨った。
 奴の作戦は実に卑劣だったというほかないだろう、風呂上がりに必ず牛乳を飲む俺の習慣を利用し、恐らくひもと先生辺りから手に入れたと思われる強力な下剤を入浴中に牛乳に混入し、さっぱりした微塵の汚れ無き風呂上がりの身体を、一瞬で汗と糞まみれにしやがったのだ。
 たかが1日だけ野菜料理にしただけで報復があまりにもえげつな過ぎる。反抗期の子供か親の財産を食い潰す更年期ニートでもここまでしないだろう。タチが悪いなんてもんじゃない、鬼の所業である。トイレに篭もって声にならない唸り声を上げている時、俺はハンムラビの教えなど奴の前では無に等しいことを再認識させられた。いや、俺が奴隷身分なだけか?
 そうして三回目の地獄(便所)からの帰還途中に、何故か咲乃の自室の扉が僅かに開いていることに気づき――現在に至るという訳だ。

       ※

「んっ……うん……んっ」
 布団に潜り込んでしまっている所為で、咲乃の詳しい様子を視覚的に判断することは叶わなかったがしかし、俺の聴覚は確かに、確実に咲乃が喘いでいる声を探知していた。
 だが、咲乃はテレビ(52インチの液晶)で男女が愛のないちんちんかもかもをしているブルーレイを見ている様子は無く、かといって咲乃愛用の6台のモニタが取り付けられたパソコンで某神兄様の如く抜きゲーを6本同時に進行している、という訳でも無かった。布団に潜り込み、ただ淡々と、無心に自慰行為に耽っていたのである。
「う……んん……はぁはぁ……ん……あっ」
 いや、実際咲乃のオ○ニーを薄い本みたく見せつけられたことは無かった(あくまで咲乃がドヤ顔で己の自慰自慢をするのでその内容を朧気な記憶からイメージしていただけである)ので、本当はどんな風にやっているのか(あれだけ口を開けば卑猥言語しか使わない痴幼女だからといって別に四六時中乳首をイジりながら生活している訳ではないので)知らなかったのだが、いざ咲乃の乙女タイムを覗いてみれば、それは想像を遙か越えた簡素さで、セルフ鬼畜SMプレイぐらいデフォルトでやっていると過信していた俺は思わず拍子抜けしてしまった。
「…………っん! はぁ……あぁ……」
 だがしかし先ほどから放たれる咲乃の純朴に満ち溢れた小動物のような喘ぎ声は、普段の咲乃からは窺い知れない故に、得も言われぬギャップ萌えの衝撃を与えられてしまった俺の息子は気づけばゆっくりと且つ大胆に、筋肉の収縮を確かめるが如くアップを始めてしまっていた。
 ふっ、ふふふ……、恐ろしいものよな、俺の性欲対象というのは艶やかな黒髪が腰まであり、前髪はパッツン、身長は俺以下で、平均よりやや太めで端正な眉毛を装備した顔立ちに、雅で透き通った物腰柔らかな喋り方、そして何より! 乳房はEカップ(ただし垂れ乳、シリコンは認めない)以上の100%国産の純正和製美女と決まっているというのに、間違ってもアホ毛が出現するまで放置した無造作ヘアーに、hydeを華麗に下回る○学生レベルの身長に複合された男の娘のようなバストを持つ自宅警備員などでは断じて違うというのに……! 最早女であれば何でもいいといのか息子よ! そうやって妥協に妥協を重ね続けていてはいつか和田アキコや谷亮子で欲情してしまう淫乱に成り下がってしまうぞ!
 父さんは、父さんは悲しいよ。
「うぁ……あっ、ああん…………」
 だが流石は数世紀に一度の逸材と呼ばれる俺の息子というべきか、通称アメ棒(アメリカンドッグ)は図太すぎる己の才能を過信しながら、恐らく臆するという言葉を知らないのだろう。ドヤ顔で力を込め始め、あっという間に御稲荷さんとの接続を解除してしまった。その猛々しき風貌たるやまるで戸愚呂弟を彷彿とさせる程、げに性欲とは恐ろしきものかな。
 …………しかし、本当にこれでいいのか? 咲乃の消臭力で消臭出来ないほど臭いエロ自慢でも微動だしなかったこの俺が、息子が、たかがコイツの、ましてや本人の姿すら見えていない、言わばmp3でAVを聞いている状態と何ら変わりないというのに。現実を、リアルを、実体を帯びてしまっただけで、いとも簡単に、過敏に反応してしまっていいのか!?
 否! 許される筈がない! これしきで反応していては無様な童貞の典型ではないか! 情けない! これでは童帝の名を欲しいままには出来ぬぞ!! 貴様は! このまま30となり魔法を! NEXTの力を手に入れ! ホグワーツに入学するのではなかったのか!!
 ならば! 咲乃の喘ぎ声如きで興奮している場合ではなかろう! さあ! この80%にまで力を増幅させてしまった、今やフランクフルトと双璧を成そうとせん我が息子の溢れんばかりのエネルギーを早急、速やかに鎮めようではないか!! あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声あれは羊の鳴き声羊の鳴き声喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサン喘いでいるのはオッサンオッサンオッサンオッサンオッサンオッサンオッサンオッサンオッサン――
「んくぅっ! はっ……そっ……聡ちゃ……ぁん…………」
 マイ戸愚呂イズ120%。
 というか、よくよく平静になればちゃんちゃらおかしな話だ。一体何を必死になってキモい童貞で居続ける必要があるんだ? 俺は咲乃の恋人だぜ? 逢瀬からの本番の1つや2つあって当然だろう。なのに、何故今まで恥ずかしがって拒否してきたのだ? 咲乃が掃いて捨てる程提案してきたC行為を全て棒に振ってきたのは、ただ臆病者だっただけじゃないのか? ホグワーツに入りたかったから? 全く持って笑止。ホグワーツとかフィクションですから!
 ――だがそれももう終わり。もう何も恐れる必要などない、ただ純粋に、流されるまま身を任せればいいのだ。童帝? 知るか、そんなお下劣な称号チェリー同士で奪い合っていろ。
 それでは読者童貞諸君、俺は一足先に神秘の世界を堪能させて貰うとするよ。さらばだ!
 そして俺は勢いよく扉を開け、脇目も振らずベッドへと駆け抜ける――
 この時の俺の脳から分泌されたドーパミンの量は凄まじいものであったであろう、下手すればドーパミンの洪水で脳が溺死していたかもしれない、ないけど。
 いずれにしてもそれほどまで発情していたという訳だ。端から見ればそれはもう、さながら童貞に耐えきれなくなった童貞が童貞喪失のために強姦に走ったように見えたことだろう。
 だが人間なんてそんなもの、3大欲求の前に、抗う手段など持ち合わせていないのだ。
 故に、だからこそ、咲乃は卑劣だったと言わざるを得ない。
「さあ咲乃、奇跡のカーニバル、開幕だ……!」
 この場合に使うべき四字熟語か甚だ疑問だが、俺は一心不乱で掛け布団の端を掴む。
 そして――
「そおおおおおおおおれええええいいいいいいいい!! …………って、え?」
 なん……は? ボイス……レコーダーと……抱き……まく……ら?
「え……な、なにこれ」
「なるほどなるほど、最近の聡ちゃんの蒐集している裏AVにはロリペド物が一切無かったから随分心配していたのだけど……うん、これなら何の問題も無さそうだね」
「あ……は……さ、さき……の?」
 ……あれ、これって要するに。
「それにしても、聡ちゃんの息子は本気を出すと初期状態から20㎝も伸びるのか、これは嬉しい誤算だね、けれどそのビーストモードで本物の幼女に襲いかかったら強姦致傷どころか強姦致死になってしまうよ。全く……これに懲りたらもっと性欲を制御出来る様になり給えよ?」
「せやな。で、これは一体何の真似だ」
「うん? まさか抜いてもいないのに賢者モードなのかい?」
「いや、そりゃ抜かずとも賢者モードになるがな、息子もポークビッツになるわな、なんやこれ、どないなっとるんや、ドッキリなんか? 隠しカメラでもあんのか? S級素人の企画か何かか? わての純朴な性欲を弄んで何が楽しいんや」
「言語が民国仕様になっているよ聡ちゃん。うーん、そうだね……本当はエプリルフール用のネタとして仕込んでいたネタのつもりだったのだけど……もう2ヶ月以上も経っているからねえ……どうしたものか……、まあ強いていうなら聡ちゃんの性欲がちゃんと機能しているか確認する為の読者の希望1割私的な欲望9割の調査みたいなもの――かな」
 ……よく分からんが簡潔に言えば咲乃の悪質な悪戯って訳か……いや、それともまさかこれも野菜料理への報復の延長戦なのか……? だとしたらとんでもない奴だな……どんだけ根に持ってんだよ……これは今度ロイヤルホストにでも連れて行ってご機嫌取らないとな……。
「はあ…………もういいや。それにしても、ありがちな悪戯の割には無駄に手の込んだことをしたんだな、演技とはいえここまでリアルな喘ぎ声はそこらの女優でもそうそう出来ないと思うぞ? もしかしてお前、そういう方面の才能もあったりするのか?」
「はははっ、聡ちゃんは何を言っているんだい? 幾ら何でも僕がこんな巧みな演技出来るはずがないだろう。この声はマジでオナニーした時に出た声を録音しただけに過ぎないよ」
「はっはー、そりゃそうだよなあ、いくら万能な咲乃でもこんな女優レベルの演技が出来る訳ないもんなー……………………………………………………えっ?」
「え?」

       

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